日本の観光名所と化した、朝のプラットフォーム。地獄絵図である。

はたして乗れるのかと長蛇の列で待つ不安感、乗れても車内で四方から圧迫される不快感、乗り換え時の全力疾走、壮絶な椅子取りゲーム、さながらサバイバル通勤ともいえる。

そんな中でも、混雑度が最も激しい通勤区間ってどこなのだろうか?国土交通省が公表しているデータからランキング形式でご紹介しよう。

※参照:平成26年度「東京圏における主要区間の混雑率」(国土交通省)



混雑率とは・・・

国土交通省では以下のように定義している。

・混雑率100%
・・・定員乗車(座席につくか、吊革につかまるか、ドア付近の手すりにつかまる事ができる)

・混雑率150%
・・・広げて楽に新聞を読める

・混雑率180%
・・・折りたたむなど無理をすれば新聞を読める

・混雑率200%
・・・体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める

・混雑率250%
・・・電車が揺れる度にからだが斜めになって身動きができず、手も動かせない。

混雑率180%あたりになってくると、手すりも掴めないかもしれない。
それでは、早速都内通勤電車混雑ランキングトップ10を見て行こう。



第9位(同率):混雑率178%
総武線(快速) 新小岩駅 → 錦糸町駅

ピーク時間 7:34〜8:34


第9位は、JR総武線(快速)の新小岩駅→錦糸町駅間。

千葉県サイドの住民が東京へ通勤する最もメジャーな路線の一つといえば総武線。そしてこの快速は、各駅と違って千葉駅から錦糸町駅に至るまで停車する駅はかなり限られており、所要時間の短縮には絶大な効果がある。が、時間を得たバーターとして、途中下車する人が少ない尋常ではない混雑の恐怖と対峙することになるのだ。




第9位(同率):混雑率178%
千代田線 町屋駅 → 西日暮里駅

ピーク時間 7:45〜8:45


同じく混雑率178%で第9位は、東京メトロ千代田線の町屋駅→西日暮里駅間。

東からは松戸・柏・茨城県民と葛飾区民を乗せた常磐線、北からは足立区民と埼玉県民を乗せた東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)からの乗り換え客が多く、北千住駅で昇天することになる。
町屋駅では京成本線からの乗り換え客も合流し、超満員電車の出来上がりというわけだ。そして西日暮里駅で山手線や京浜東北線に乗り換えをするという図式だ。




第8位:混雑率182%
東海道線 川崎駅 → 品川駅

ピーク時間 7:39〜8:39


第8位は、JR東海道線の川崎→品川駅間。

川崎駅から品川駅に出るのであれば、東海道線、京浜東北線、京急本線の3路線が考えられるが、それぞれ所要時間に差がある。東海道線ならば約8分、京浜東北線、京急本線(特急)ならば約14分と、一つだけ飛び抜けて速い事がわかる。

さらに遠くの横浜駅から通勤する人もいるだろう。彼らも京急本線や横須賀線を使用できるが、最も早い約16分で品川駅まで到着する東海道線を使用する人が多い。

そして、当然の帰結として、この区間が混みまくるのである。




第7位:混雑率185%
田園都市線 池尻大橋駅 → 渋谷駅

ピーク時間 7:50〜8:50


第7位は、東急田園都市線の池尻大橋駅→渋谷駅間。

池尻大橋の一駅前、三軒茶屋駅で既に混雑率はハイボルテージ。神奈川県民と町田市民、世田谷区民を乗せた東急田園都市線の通勤電車は、三茶で世田谷線の乗り換え客をさらに受け止める。

そして恐ろしいのは、渋谷についた後のホームでもグダグダに巻き込まれる点だ。夏などは、もう一生暑い。地獄である。


6位〜4位:西→東、南→北のあの区間!



第6位:混雑率189%
小田急小田原線 世田谷代田駅 → 下北沢駅

ピーク時間 7:46〜8:48


第6位は、小田急小田原線の世田谷代田駅→下北沢駅間。

この時間であれば、JR南武線登戸駅辺りまでで座るのは難しくなりそうだ。神奈川県民で満員になった小田原線の通勤電車は、住宅街を通り狛江市民、世田谷区民を乗せていく。

下北で渋谷へ向かう人は井の頭線へ乗り換えるが、それまでに降車が少なく、この区間がピークになるのだろう。




第5位:混雑率191%
中央線快速 中野駅 → 新宿駅

ピーク時間 7:54〜8:54


第5位は、JR中央線(快速)中野駅→新宿駅間。

東京の西側最大級の路線である中央線は、新宿の手前、中野駅でピークに達する。ここでよく問題に挙がるのは杉並三駅(高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪)に快速が停車することだ。

よく混乱されるが、中央線快速はこの三駅に休日は通過、平日は停車するのだ。もしも逆ならば、意外と混雑が緩和されるのではと思わなくもない。




第4位:混雑率192%
横須賀線 武蔵小杉駅 → 西大井駅

ピーク時間 7:34〜8:34


第4位は、JR横須賀線の武蔵小杉駅→西大井駅間。

横須賀線は混雑するイメージがあるのは確かだが、少し違和感が。というのも、西大井駅には横須賀選の他に湘南新宿ラインが通っているが、武蔵小杉駅も同じく通っているのだ。

つまり、西大井駅で乗り換える人は少ないはず。であるならば、武蔵小杉駅→品川駅の区間の方が混雑しそうな気もするのだが、何故なのだろうか。

どうやら湘南新宿ラインは、宇都宮線系統や高崎線系統などがあり、場合によっては停車されない駅もあるらしい。つまり、新宿へ行きたい人は、あえて武蔵小杉で電車を待たず、西大井駅で乗り換える人もいるということだ。


いよいよトップ3の混雑率区間を発表!トップは混雑率200%!



第3位:混雑率197%
京浜東北線 上野駅 → 御徒町駅

ピーク時間 7:50〜8:50


トップ3入り、まずは京浜東北線の上野駅→御徒町駅間。

高崎線や常磐線、宇都宮線などからの乗り換え客が多い上野駅、ではなぜ御徒町駅までか。御徒町駅は山手線と京浜東北線のみで一見降車客は少なそうだ。

しかし、実は都営大江戸線「上野御徒町駅」に乗り換える事も可能なのだ。この為、この区間が最も混雑するようになっている。
「朝の上野駅」。響きだけで抵抗感を覚える感じだ。




第2位:混雑率199%
総武線(緩行) 錦糸町駅 → 両国駅

ピーク時間 7:34〜8:34


2位は、総武線(緩行) の錦糸町駅→両国駅間だ。

第9位(同率)では、総武線快速の新小岩駅→錦糸町駅間がランクインしていたが、その乗り換え客が一気に総武線各駅に乗り換える為にここまで混雑率が高い値になったのだろう。電車に乗り込む姿は、スポーティーですらある。

そして3位でみた御徒町駅と同じく、両国駅で都営大江戸線に乗り換える乗客が多いためこの区間の混雑率が高いと捉えられる。




第1位:混雑率200%
東西線 木場駅 → 門前仲町駅

ピーク時間 7:50〜8:50


1位は東西線の木場駅→門前仲町駅間だ。

キバとモンナカの間。圧勝である。西船橋から乗車してきた千葉県民で溢れた通勤客は、木場駅でピークになる。そして門前仲町駅では、3位2位と同様に都営大江戸線への乗り換え客が出てくるため、この区間が最も混雑するということになるのだろう。

東西線はこの結果を受け、ホームや車両の改良を計画・実施しているようだが、はたして混雑は緩和されるのだろうか。



いかがだったであろうか?
こうしてみると、やはりベッドタウンから都心へと通勤する路線に集中していた。

運行本数を増やせば良いのではと安易に思ってしまうが、事情があるのだろう。
注目すべきは、トップ3がいずれも都営大江戸線への乗り換えが絡んでいそうだという事。大江戸線。比較的新しい電車なのに、この設計はどういうことなのであろうか。

といっても、各社の努力で、昭和20年前くらいと比べると随分と緩和されたという路線も多い。マクロに見れば、これから人口が減っていく時代。電車に乗らない高齢者も一気に増えていく。数十年後は、「昔は駅員が乗客を詰め込んでたもんだよ」なんて会話が来る日もあるかも??