現在はフリーとして活動する、元TBSアナウンサー木村郁美さん(53)。TBS時代はレギュラー9本を抱え、局内で「影武者いる説」が浮上するほどの多忙ぶりで知られた。だが、そんなめまぐるしい日々の裏側には、今では考えられないような経験が待ち受けていた。

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 木村郁美さん ©文藝春秋

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飲み会で胸を触られて大泣きしたら「そんなんで泣く?」

 その過酷なスケジュールは心身を蝕んだ。多忙のあまり帯状疱疹が出たほか、生理が8か月もストップ。本人は「来ないと楽」とさえ感じていたが、ある日、公衆トイレでふと涙が溢れ出したことで「このままでは子供が産めない」という恐怖に気づき、病院へ向かったという。

 また、マスコミの世界に入ってからは、セクハラ被害にも直面した。

「胸を触られたりとか。飲み会の最中とかにそんなことをするんですよ。ビックリして、ほかの人に相談したら、『え、そんなんで泣く?』って言われて」

 当時の感覚を象徴するような言葉だ。大泣きして相談した相手に「それくらい普通だよ」と言われ、「衝撃でしたね」と振り返る。帰りの電車で泣いたこともあったという。

ロケ先のホテルで「入らないでください!」と押し問答したことも…

 被害はそれだけではなかった。ロケ先のホテルでも、部屋のドアを挟んで「入らないでください!」と押し問答したことがあったと明かす。

「どうやりくりして、うまいことかわしていくか。そういうことを覚えちゃうんですよ。でも、若い頃はそんな術を身につけることが異常だって気付かないんですよ」

 かわし方を体で覚えていく一方で、木村さんはこうも語る。「かわし方を覚えられない子もいて。とっても真面目でまっすぐだから、そんなことできないんですよ。本当はそれが当たり前なんですけどね」と。

 自分がさほどひどい目に遭っていないほうだという自覚はある。それでも、「やっぱり近年とは違い、ハラスメントに鈍感な時代だったと思います」と、当時の空気感を冷静に分析する。

 母親には後々になって話したが、渦中では「心配をかけたくない」という思いから口を閉ざしていた。アナウンサーになったことをとても喜んでいた母に、「まあ、頑張るしかないか」と自らに言い聞かせていたという。

 トータルで振り返ればアナウンサー時代は楽しかったと語る木村さんだが、生理が止まるほどの激務とセクハラが当然のように存在した時代の実態は、インタビュー本編で語られている。

(「文春オンライン」編集部)