大学時代から憧れだった46歳夫が出勤前駅のホームで…もう一つの顔を知った43妻の号泣と決断

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「お酒を飲み過ぎ、理性を喪失して浮気をする人は少なくありません。その中には、アルコール依存症になりかけている人もおり、調査でそれがわかることもあります」こう語るのは、キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さん。彼女は、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。

山村さん連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにしていったのかも含め、さまざまな事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮をしながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。

今回山村さんのところに相談に来たのは、43歳の契約社員・真帆さん(仮名)だ。46歳の夫が朝帰りし、浮気を確信して連絡をした。夫との間には7歳の娘と10歳の息子がいる。夫がおかしいと思うきっかけは「飲酒」だった。

憧れの先輩と結婚して15年

大学の先輩・後輩として夫と出会った真帆さんは、20歳で交際をスタート。夫は容姿も素敵で憧れの先輩でした。夫は大手流通企業に、真帆さんはIT企業に就職し、真帆さんが28歳のとき結婚、2人の子供を授かります。2人目が産まれたとき、真帆さんは退職し、3年の育児期間を経て、契約社員として大手企業の子会社のシステム管理部門に就職しています。

真帆さん夫婦は、結婚早々に都内市部の一戸建てを購入し、15年間、幸せに過ごしてきました。1年前に夫が外資系企業に転職したことで事態は変わっていきます。給料は約2倍になりましたが、夫に変化が訪れたのです。それがわかったのは、3カ月前。真帆さんは駅のベンチでストロング系チューハイを飲む夫の姿を見かけたこと。ショックを受けた真帆さんは以降、夫に対して腫れ物を触るように接するようになりました。

夫は真帆さんの異変に気づいたようで、さらに酒量が増えるようになり、朝帰りも増えました。それと同時に生活費を15万円から5万円に減額しています。

夫は真帆さんを頻繁に求めていましたが、並行して別の女性と関係を持っているのではないかと疑っているのです。

真帆さんに離婚の意思はなく、まずは夫との話し合わなくてはなりませんが、そこには浮気の証拠が不可欠です。夫婦関係の再構築のために、調査をすることになりました。

朝からコンビニへ行き……

夫の朝帰りが多いのは、金曜日と知り、朝6時から張り込みを始めました。真帆さんの自宅は、駅から徒歩15分の閑静な住宅街にあります。1階にガレージ、2階、3階が住まいという典型的な戸建て住宅です。家の周りの掃除が行き届いており、国産のコンパクトカーもキレイな状態です。几帳面な真帆さんの性格が伺えました。

朝6時30分に夫が出てきます。真帆さんが「みんなが憧れていた」というように、身長は180センチ以上あり、精悍な顔立ちをしています。体も引き締まっており、髪の毛もふさふさ。白いシャツにグレーのジャケットを着こなしており、見た目はお酒を飲む人とは思えないほど、ダンディです。

最寄駅から都心に向かう電車に乗り、乗り換え駅で下車。そのまま会社に向かうのかと思っていたら、改札を出て5分ほど歩いてコンビニへ。

ストロング系チューハイの350ml缶を購入し、かなりの早足で駅へ戻ってから、男性トイレに入って行きました。ペアの男性探偵が追うと、個室に入ったと言います。それから3分ほどして出てきた後に、探偵が確認すると個室の中はアルコール臭がして、床には空き缶が置かれていたとのこと。察しがいい夫は真帆さんに飲酒しているところを見られたと感じていたのかもしれません。だから、個室で飲酒したのだと直感しました。

飯島直子似の若い女性と「幼子」

夫はオフィスがあるビルに入り、18時に出てきます。小走りで駅に向かうと、自宅とは真逆の郊外に向かう電車に乗り、30分ほどの駅で下車。15分ほど歩き、昔の団地という趣の古いマンションの2階の部屋にノックもせず入ってきました。鍵をかけていないようです。

このマンションはセキュリティがなく、外から中の様子を窺うこともできます。メッシュ素材のカーテン越しに、夫が3歳くらいの男の子を抱き上げている様子を撮影。それから30分後、ポロシャツと短パン姿になった夫と男の子、そして温和そうで癒し系の雰囲気の目が大きい30代後半の女性が出てきて、近くのスーパーマーケットへ。飯島直子さんにそっくりでびっくりしました。

餃子の材料と高級いちご、紙パックの焼酎をカゴに入れ、4000円程度の支払いは夫がしていました。女性は茶髪や肌見せが多い服装などがギャル風で、知的な雰囲気をたたえた夫とタイプは異なりますが、3人は幸せそうです。夫は男の子と手を繋いだり、片手で抱き抱えたりしつつ、時々女性の尻や胸を触っている。その度に女性は反応し、夫もニヤニヤ嬉しそうにしていました。

廊下側の窓が少し開いており、会話がところどころ聞こえました。女性は料理が苦手らしく、夫が餃子の作りからを教えながらホットプレートで焼いて、男の子に食べさせていることがわかります。

性行為のあと、駅で酩酊

21時に男の子が眠ってしまうと、夫と女性は待っていたかのように性交渉を始めていました。この時点で、夫はかなり酒を飲んでおり、女性に対して「かわいいね」と何度も繰り返していました。11時30分の終電の時間近くになると「今日はやばいんだ。家に帰らなくては」とまっすぐ歩けないような状況で駅に向かっています。

なんとか電車に乗り、乗り換え駅まで向かい、自宅に向かう電車に乗りますが、途中駅で降りてトイレにこもり、おう吐しています。駅員さんの促しもあり出てきては、トイレの洗面台で顔を洗い、水を飲んでいる。

駅員さん2人に囲まれて正気に戻ったらしく、「タクシーで帰ります」と言い、駅前に1台だけ待機していたタクシーに乗り、自宅方面に走っていったことを見届けました。私たちは追跡の空車がなかったので、調査はここで終わりです。

「こんなの見たくありません」

以上を真帆さんに報告すると、手が震えて嗚咽していました。「こんなの見たくありません」と叫ぶように言い、号泣している。私は寄り添うことしかできませんでした。

20分後ど経って、気持ちが落ち着いたのでしょう。手が震えながらも「こんな様子を見ても、夫と離婚する気になれないのです。今晩、夫と話してみます」と言います。

私はすぐに話すよりも、気持ちを整理してからの方がいいとアドバイスし、真帆さんの今の気持ち、これからどうしたいかを、紙に書いてもらいました。そこには「許せない」「気持ち悪い」などの言葉と共に「離婚はしない」と書かれていたのです。

真帆さんは、「夫婦カウンセラーとして仕事を依頼したい」と言い、翌日に今の気持ちと小れからどうしたいかを話していただいてから、夫との話し合いをすることに。

その夜、真帆さんから「夫が会社を辞め、女性と別れるという話になりました」と電話があったのです。

まともに生きている妻に恥ずかしくなった

夫の仕事のプレッシャーは真帆さんの想像以上で、そこまで頑張った夫に尊敬の念を持ったこと。また、生活費の減額は女性との交際に使っていたことが判明したそうです。夫は人一倍真面目できちんとしたいというタイプ。お酒を飲まないと口数が多くないということを見ても、外資系でアグレッシブな同僚たちに気おされてしまったのかもしれません。

「夫は私に朝の飲酒を見られたことを察していました。そして態度が変わったこと。私が“まとも”に生きていることに対して恥ずかしくなったそうです。私と性交渉しても心あらずになっていたこともわかり、気楽に付き合える人を求めるようになったそうです」

女性は34歳で離婚歴があるシングルマザーで、介護の仕事をしているそうです。子供の父親役と性交渉の相手ができる“イケオジ”を求めていた。夫と女性はマッチングアプリで出会い、お互いの利害が一致したことで男女の関係になった様子。

「小さな子供がいるから、家でしか性交渉ができない。すると相手の女性の生活に入り込むようになりますよね。すると、元夫から養育費の支払いがなかったり、生活が荒れていたりと“悲惨”な部分が見えてきた。夫は情が移ると、すぐ過度な献身をしてしまうところがあります。男の子に本やおもちゃを買い与えたり、調理道具を揃えてあげたりしていては、そりゃウチに入れるお金もなくなるというもの」

夫は一時的に2つの家庭の“父親”になっており、「そんな自分を楽しんでいた」と告白。

「身勝手ですよね。でもなんかその気持ちがわからなくもない。それよりも山村さんが指摘するように、夫がアルコールや性に依存してしまう傾向があるのは問題だと思いました。これから夫婦で依存症への理解を深めていくことにしたのです」

依存症の治療は、なにより家族の理解が大切です。ですが真帆さんは最初、思わず線を引いてしまい、夫は敏感にそれを感じ取った。しかしいまこうして事情が明らかになり、真帆さんも依存したくなる背景を知って一緒に治療することを決断した。夫の治療が一緒に始まったのです。

夫はその後、別のIT関連会社に転職し、真帆さんも元の会社に正社員として復職することが決まったそうです。真帆さんは「一度家族になったのですから、その手は離しません」と苦笑していましたが、その強さがあってこその、夫であり、家族なのだと感じました。真面目で頑張り屋の真帆さん夫妻に、きっと健やかな未来が訪れると信じています。

今回の調査料金は30万円(経費別)です。

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