新型日産アリア、リーフと共に過ごした約2週間(後編)【日本版編集長コラム#82】
アリアと同様に清々しい雰囲気の室内
現在、日産自動車がラインナップする3台のEV、『アリア』、『リーフ』、『サクラ』。そのうちアリアと5日間、リーフと10日間、計2週間ほど共に過ごすことができた話、その後編である。
【画像】ルミナスターコイズのボディカラーが映える!3代目となった新型『日産リーフ』 全132枚
アリアからリーフに乗り換えて最初に思ったのは、運転席から見た景色の違いだ。リーフはSUVというよりはハッチバックやクーペとの中間にあるクロスオーバーであるから、アリアほど見晴らしがいいわけではない。

取材車は『日産リーフB7G』で、ボディカラーはルミナスターコイズ。 平井大介
しかし、少し高い着座位置は乗り降りがしやすく、デザインはアリアと同様に清々しい雰囲気で、いいものに乗っている感覚がある。
先に惜しい点を書くと、アリアでは左の手元で操作できたシフトが、スペースの問題かセンターコンソールのスイッチ式になっていること。アリアのそれは操作性も良好だったが、リーフでは駐車場で何度か切り返す時など、手を伸ばしてスイッチを押すのが面倒に感じることがあった。
また、アリア、リーフ共に2本スポークのステアリングであるのも惜しい。180度回転している時に、ほんの一瞬だが考えてしまうことがあるのだ。デザインで上下がわかるように工夫されてはいるので、機会があればデザイナーやエンジニアにその理由を聞いてみたいと思う。
その一方で、グーグル搭載のインターフェイスは使いやすく、ここまで進化すると、いずれメーカー純正ナビゲーションは消滅するのではないかと思うほどだ。他にもヘッドレストに搭載するボーズ製のスピーカーは音楽や案内音が聞きやすいなど、室内で快適に感じる場面が多かった。
日本の路上で使いやすいサイズ
今回の取材車は『B7G』で、全長4360mm、全幅1810mm、全高1565mm、ホイールベース2690mm、車両重量1920kgとなる。参考までに『アリアB9 eフォース』を再掲載しておくと、全長4595mm、全幅1850mm、全高1665mm、ホイールベース2775mm、車両重量2180kgとなり、リーフはふたまわり小さい数値。
これが日本の路上では実に使いやすいサイズで、あと15mm全高が低ければ立体駐車場に収まる点はいかにも惜しいが、筆者の自宅周辺ではベストサイズだった。

全長4360mm、全幅1810mm、全高1565mmと、日本の路上では実に使いやすいサイズ。 平井大介
B7Gの航続距離は670kmで、これはプロパイロット2.0装着車の数値。非装着の場合は685kmとなり、B7Xグレードでは702kmとなる。アリアB9 eフォースが610kmで、2WDのB9でも640kmだから、航続距離ではリーフのほうが上だ。
事実、4月中旬の気候で100%充電時に515kmの航続距離表示が出ており、乗っていて、これは長距離移動が多い筆者でも実用レベルにあると感じた。
動的質感が高い
また、乗り味も絶妙であった。足まわりはアリア同様に硬くなく、車両重量の重さをデメリットに感じさせない。クルマの動き方もEVらしさもありつつ、普通の乗り物として高級感がある。もっと言えば動的質感が高いのだ。
実は今年の初めに、プライベートで先代リーフをレンタカーで借りる機会があった。そこで思ったのは、クルマとしてダメではないのだが、デザインや乗り味が素気なく、運転に対する興味がだんだん薄れていくことだった。
しかし新型にはそれがなく、変な書き方になるが日々乗っていて『嫌にならない』のだ。ボディカラーのルミナスターコイズも好きな色合いで、アリアに続き、個人的にかなり気に入ってしまった。
プロパイロット2.0のハンズオフに感心
さて、前回2台分をまとめて記すと書いた『プロパイロット2.0』の話だが、今回アリアで500kmほど、リーフで1000km以上走ってみて、そのよさを実感することができた。特にハンズオフの機能だ。
まず、プロパイロットへの移行がボタンひとつで簡単であること。そのボタンもひとつだけ青で視認性が高いこと。メーターやヘッドアップディスプレイに表示される色が、ハンズオフ可能を青、不可能を緑と分けているのがわかりやすいこと。周辺の法定速度や工事などの規制に応じてちゃんと解除されること。

以前の取材で試したハンズオフの様子(周囲の安全を十分に確認して実施しています)。 平井大介
また、その時の車両の動き方もかなり自然で、段々とステアリングから手を放した時にリラックスできるようになった。これは他社銘柄と比較しても、かなりきめ細かな制御と感じている。
それにしても、ステアリングとアクセルを操作しないことが、これほどまでに疲労を軽減するとは驚きだった。今回は静岡県東部の自宅を起点に、北は那須塩原、西は名古屋まで走行したのだが、高速道路ではひたすらハンズオフを使用したほど。
また、アリアでもマイチェンで採用された『インテリジェントディスタンスコントロール』は制御が絶妙。ただ、アリアよりリーフのほうが減速、停車の仕方が多少、急すぎる感じがした。回生の効き方の違いかもしれない。
しかしながら、ワンペダルモードである『eペダル』を筆頭に、回生ブレーキの効き方は両車とも自然で、これはEVにいち早く取り組んできた日産の経験値が活かされている部分だろう。
進化の余地がある車線変更
一方、ウインカーと連動して自動的に車線変更をする機能は、まだ進化の余地ありと感じた。
いったん車線変更を始めようとして、しかし何かしらの理由があるのか、キャンセルになる場面が何度かあった。こちらも周囲の安全確認をした上で使用しているので、その理由がわかりにくかったのは気になった。

リーフのデザインに関しては賛否両論あると聞くが、個人的には『賛』の立場だ。 平井大介
また、車線変更が後ろから迫って来たクルマを避けることが理由で、そこでキャンセルされると、一度ウインカーを出したにもかかわらず同一車線に留まることになり、危ないと感じる場面があった。
誤解しないで頂きたいのだが、これはクルマに頼りすぎるのがよくないという話だ。あくまで運転しているのは自分であると、改めて自覚する出来事になった。
2台とも日本に適したEV
さて、アリアとリーフの2台を通じて感じたのは、日本に適したEVであるということだ。
制御が自然であったり機能の操作性がきめ細かであったり、一緒に過ごしていて心地よく感じる場面が多かったのは、両車が日本製であり、自分が多くの作り手と同じ日本人だからだと思う。水が合うと例えるとわかりやすいかもしれない。
また、それを包み込むデザイン性の高さも効いている。リーフのデザインに関しては賛否両論あると聞くが、個人的には『賛』の立場だ。
もちろん補助金があるとはいえ、B7Gで599万9400円という600万円級の価格をどう考えるかという側面もある。B5であれば500万円を切るグレードもあるが、当然航続距離は短くなる。
こういった課題も全て理解したうえで、アリアもリーフも『魅力的な乗り物』に仕上がっていたと結論付けたい。そう、『EV』ではなく『乗り物』だ。そこには、EVを積極的に選ぶ理由が確実に存在したのであった。
