Image: Framework

もうメモリ危機前に戻ることはないんでしょうね…。

シュリンクフレーション」って言葉、聞いたことありますか? 「シュリンク(縮小)」と「インフレーション(値上げ)」を組み合わせた造語で、企業によるステルス値上げを表す現代用語として頭角を現してきました。

お菓子やドリンクあたりが代表的ですよね。中身が減るのに値段は上がる。納得感ゼロどころかマイナスの消費者ひとり負け現象。それがシュリンクフレーションです。

シュリンクフレーションの波は、特に2026年に入ってから、スマホやパソコンの部品、ハイエンドのゲーム機にまでおよんでおり、値段が上がるだけでなく、性能まで下がってきています。

メモリ部品の大半を生産している大手半導体メーカーといえば、ビッグ3のSK Hynix(エスケイハイニックス)、Samsung(サムスン)、Micron(マイクロン)あたり。3社とも、AIデータセンター建設に欠かせない広帯域メモリ(HBM)の生産に向けて事業をシフトしてきました。大手テック企業によるデータセンター建設プロジェクトをめぐっては、全米各地の小さな町で住民の反発を招いています。

Pixel 11シリーズに忍び寄る劣化の波

シュリンクフレーションの猛威は、Google(グーグル)のような大手スマホブランドにも及んでいます。そこそこ信頼できるTelegram(テレグラム)の情報提供者「Mystic Leaks(ミスティック・リークス)」は、PhoneArena(フォンアリーナ)経由で近日発売が予定されているPixel 11シリーズのスペックとされる情報を多数投稿しました。

次期Pixel 11 Pro XLには新しいカメラセンサーが搭載されるかもしれないものの、目玉機能は特に見当たりません。同時に、Pixel 11 Pro FoldのRAMは12GBにダウングレードされる可能性があります。これは、前モデルのPixel 10 Pro Foldの16GBより4GB少ない容量です。新しいFoldの価格設定が2025年モデルと同じかそれ以上になれば、Googleは価格を正当化するのに苦労するでしょう。

Image: Adriano Contreras / Gizmodo
Google Pixel 10 Pro Fold

さらに、今後発売されるPixelのスマホは、好評だった(?)体温計機能が廃止され、Nothing Phone (3)のGlyph Matrixに似た小さなRGB LEDアレイに置き換えられるかもしれません。Googleの最新のミドルレンジモデルであるPixel 10aは、Pixel 9aと比べて目立ったアップグレードがないにもかかわらず、価格は500ドルです(日本ではどちらも7万9900円)。

問題は、テック企業に残された選択肢がかつてないほど少なくなっている点です。性能を犠牲にするか、値段を上げるかの2択しかありません。合わせ技を繰り出す企業もいます。

修理可能な高級ノートPCを製造するFramework(フレームワーク)は、ここ数ヶ月でRAMモジュールを何度も値上げしました。同社の新型ノートPCであるFramework 13 Proは、これまででもっとも高価なモデルのひとつですが、その大きな要因は、LPDDR5X RAMやM.2 SSDの価格高騰です。

NVIDIA(エヌビディア)は最近、ノートPC向けにモバイルGPU「RTX 5070」 の12GB VRAMバージョンを発表しました。理論上は、ローエンドGPUでもグラフィック性能を底上げできる手段のようですが、Framework Laptop 16のRTX 5070 12GB搭載版は1,200ドルもします。8GB版より500ドルも高い計算になります。

Motorola(モトローラ)は、価格の引き上げとメモリ容量制限の両方を選択しました。フリップ式折りたたみスマホ、Razrの2026年モデルは、2025年モデルの700ドルから800ドルに値上げされました。そして、ストレージは256GBから128GBに半減。それでも、アメリカの消費者にとって、フリップ式折りたたみスマホとしては依然お得な部類ではあるのですが、もっと安い旧モデルを探したほうがいいかもしれません。

2026年モデルのRazr+は、2025年モデルと同じQualcomm Snapdragon 8S Gen 3のチップを搭載しています。少なくとも、MotorolaはRazr+のバッテリー容量を4,000mAhから4,500mAhに増強しました。しかし、2倍望遠レンズの代わりに5,000万画素(50メガピクセル)の超広角レンズを搭載している点を除けば、基本的には昨年のモデルと比べて代わり映えしません。

Image: Motorola

ゲーム機もPCパーツも、容量と性能が犠牲に

昨年10月、小型・軽量版のPlayStation 5(スリム版)は、システムストレージが1TBから825GBに縮小しました。文字どおりスリムになっちゃったんですね。

メモリの高騰は、大手ブランド以上に中小企業を苦しめています。ニッチなレトロ携帯ゲーム機メーカーであるAYNは先月、人気があるデュアルスクリーンの「AYN Thor」のストレージをダウングレードしたと発表しました。現在、ストレージはUFS 3.1を使用しており、読み取りと書き込みの速度はUFS 4.0をはるかに下回っています。その後、同社はRAMに16GBのオプションを追加し、最大1TBストレージ構成の価格を550ドルに引き上げました。

PCパーツも、価格を抑えるためにスペックを落とす方向に進んでいるようです。

台湾のPC関連部品メーカーであるASRock(アスロック)は、DRAMメーカーと協力して、「手頃な価格」のDUDIMM DDR5モジュールを独自で開発しました。

ザックリ説明すると、この種類のRAMスティックは、標準的なDDR5メモリスティックに比べて、帯域幅と密度がそれぞれ半分しかありません。Intel(インテル)の愛好家向けの販売を担当するジェネラルマネージャーであるRobert Hallock氏によると、これらのパーツはIntel600、700、800シリーズのチップセットに搭載される見込みです。

Image: Adriano Contreras / Gizmodo
Apple Mac Mini 2024

DDR6の登場は2028年以降

韓国のテックメディアであるThe Elecの報道によると、次世代のRAM規格であるDDR6は、現在3大RAMメーカーすべてで本格的に開発が進んでいるそうです。

新規格では、データ転送速度が最大8.4Gbpsになるといいます。DDR6が市場に登場するのは、早くても2028年になる見込みです。

同時に、各メーカーは、あと2年以上はRAMの価格が下がらないと消費者に伝えています。その間、私たちのガジェットは値上がりと性能低下のスパイラルに陥ることでしょう。

安泰なメーカーは1社もありません。あのApple(アップル)でさえ例外ではありません。Appleは最近、600ドルだったエントリーレベルの2024年モデルのMac miniの販売をひっそりと終了しました。

現在、Appleの小型デスクトップは、800ドルの512GBモデルを選ぶ必要があります。退任予定のティム・クックCEOは、最近の収支報告会で、チップ不足が「複数のMacモデル」に影響を及ぼしていると言及しています。

こういった状況を鑑みると、いまのメモリ不足によるシュリンクフレーションが続こうと、ほとんどの人にとっては手が届かないであろう次世代の高速メモリが登場しようと、私たちのような平均的な消費者は、エンドレスなしわ寄せを耐え忍ぶしかないんでしょうね。しわ寄せじゃなくしあわせをください。

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