@AUTOCAR

写真拡大 (全4枚)

1日では回りきれないスケール感

北京モーターショー(オート・チャイナ2026)の規模はまさに圧巻だ。その基本データを見るだけでも驚かされる。展示会場は全長1.2kmに及ぶ17のホールにまたがり、そこに1500台近い車両が展示されていたのである。

【画像】BYDが高級車を続々展開! 専門ブランド『デンツァ』の最新モデル【ZとZ9 GTを詳しく見る】 全38枚

2日間のプレスデーでは、181台の新モデルと71台のコンセプトカーが発表された。少なくとも主催者側はそう主張している。残念ながら、筆者がどんなに熱心に働いたとしても、すべてをチェックすることは到底不可能だっただろう。


『マイリトルポニー』とコラボしたBYD『元プラス(アット3)』    AUTOCAR

こうした数字だけではこのショーの規模は十分に伝わらない。2年前に北京で開催された前回のオート・チャイナ(上海と毎年交互に開催される)以来、中国国際展覧センターの隣に、まったく新しい、より大規模なコンベンションセンターがオープンしたのだ。まるで映画『フィールド・オブ・ドリームス』の劇中でトウモロコシ畑が野球場になったように、ショーは両会場を埋め尽くすほどに拡大したのである。

中国の野心を示したのは、新しい展示センターの壮大な建築様式と規模だけではない。ホール内での国内メーカーによる展示や新車発表もまた、野心あふれるものであった。中国企業は、もはや欧米の自動車大手企業を模倣しようとはしていない。彼らの自信は、積極的なグローバル展開や技術開発に表れている。

これは理にかなっていると言える。中国政府が近年、自動車産業の発展を推進してきた理由の1つは、自動車産業が経済の他のあらゆる分野を活性化させる力を持つからだ。

存在感を示したBYD

EVにはバッテリー、モーター、半導体、コンピューター、AIシステムなどが必要だが、他産業から自動車分野へ進出してきた多くの中国メーカーは、その大部分を自社で生産している。例えばリープモーターは、自社のモデルに使用される部品の65%を自社生産しているという。このような垂直統合は、「チャイナスピード」とも言われる2年未満のモデル開発期間を実現するための重要な要素であり、急速な成長の理由の1つでもある。

全盛期のフランクフルト・モーターショーは、その規模感の大きさで知られていたが、北京モーターショーと比較すれば霞んでしまう。フランクフルトの規模が、大きく豪華な展示ブースで互いを凌駕しようとするドイツの大手企業によって牽引されたのと同様に、北京の成長もまた、しのぎを削り合う中国の大手企業によって牽引されている。


BYDの高級ブランド、デンツァが発表したスポーツカー『Z』    AUTOCAR

BYDは、傘下のさまざまなサブブランドと共に、1つの展示ホールを単独で埋め尽くしていた。そうでなければ、BYD『オーシャンV』コンセプト、デンツァ(騰勢)の『Z』、カーボンファイバー製ボディを持つファンチェンバオ(方程豹)の『フォーミュラX』、そして米国の玩具『マイリトルポニー』とのコラボレーションによってピンクの毛皮に覆われたBYD『元プラス(日本名:アット3)』を展示するスペースを、どうやって確保できたというのだろう?

BYDは他にも、高級ブランドのヤンワン(仰望)やライドシェアリング企業のリンフイ(領匯)など、サブブランドを急速に拡大している。これは、ここ数年の中国自動車業界における大きなトレンドの1つを象徴していると言える。市場が成長と発展を続けるにつれ、新たなセグメントが生まれ、それに対応するために大手企業もブランドラインナップの拡大に乗り出しているのだ。

サブブランドが増え続ける理由

もちろん、欧米の自動車大手も数十年にわたり同様の戦略をとってきたが、ゼネラルモーターズやフォルクスワーゲン・グループ、ステランティスといった企業は、数十年かけて買収、合併、統合を繰り返しながらポートフォリオを拡大してきた。一方、中国企業は想像力と行動力を駆使して、記録的なスピードで独自のブランドファミリーを構築しようとしている。

ボルボやロータスを傘下に収めたジーリー(吉利汽車)など、既存ブランドを買収した企業もある一方で、BYDのように、あらゆるニッチ市場に対応するために新たにブランドを創出している企業も少なくない。


BYDのミニバンコンセプト『オーシャンV』    AUTOCAR

しかし、英国から訪れた記者が、似たようなデザインの膨大な数のクルマを眺めても、どのブランドがどのセグメントを狙っているのか、正確に見極めるのは難しい。ニオ(上海蔚来汽車)、オンボ(Onvo)、ファイアフライ(蛍火虫)の関係性。ジーカー(Zeekr)とLynk & Coが狙う市場。アイト(問界)とLuxeed(智界)のプレミアム志向の違い。いずれも、車両のデザインからはほとんど手がかりが得られない。

未知のブランドも少なくない……

英国では中国ブランドの進出が続いており、特にBYD、リープモーター、ジーリー、ジェイクーといったブランドは認知度を高めつつある。しかし、それさえも単純な話ではない。

ディーパル(深藍)は中国では独立したブランドだが、英国では親会社である長安汽車のエンブレムを付けて販売されている。デンツァの英国ラインナップには、ファンチェンバオのモデルをリバッジしたものが含まれる。そして、依然として謎に包まれたブランドも存在する。ドリーミー(Dreame)やボヤ(嵐図)をご存じだろうか?

気になる方のために説明すると、ドリーミーは掃除機メーカーであり、最高出力1900ps超のセダン『Next 01』を携えて自動車事業に参入した。一方、ボヤは東風汽車の高級ブランドであり、全長5.2mのSUV『X8』を発売したばかりだ。

ロゴやモデルが曖昧なものも多く、これらのブランドをすべて特定・識別するのは困難だ。欧米車の露骨な模倣はとっくに過去のものとなった(ポルシェ・タイカンを彷彿とさせる電動セダンは少なからず見られる)。しかし、中国のセダン、SUV、ミニバンはどれも、見慣れた、そしてどこか画一的なデザインに収束する傾向がある。

(翻訳者注:この記事は「後編」へと続きます。)