長良川でクマが渡り歩く姿 岐阜・関市で異例の目撃情報11件、小学生の社会科見学が中止に
暖かくなり、冬眠明けのクマの出没が全国で相次いでいます。岐阜県関市では、これまで目撃情報がなかった地域でもクマが見つかり、警戒感が高まっています。
川岸の岩を渡り歩く、黒い動物。
4月30日、関市の長良川で撮影されたクマの映像です。
「1mから1m20cmくらい。エサを探しているのか、何かを探しているようなキョロキョロした感じ。意識して気をつけていないと危ない。恐怖を感じる」(クマを目撃した人)
5月13日午前7時半すぎ。関市の職員が乗り込んだ車には「熊警戒 パトロール実施中」の文字が。
「目撃があればすぐ市から猟友会に連絡する体制ができている。すぐに猟友会に連絡を入れて現場に来てもらう」(関市 農林課 山岡透 課長)
目撃情報があったエリアを中心に、朝と夕方に車で巡回するパトロール。
猟友会が設置した、捕獲用のワナの確認に向かうと…。
「動物が入るとフタが落ちる。フタがない状態だと何か入っているが、今上がっているので動物は入っていない」(山岡課長)
関市によると、市内でのクマの目撃情報は、例年で年間十数件程度。
しかし、今年は4月から5月11日までで、すでに11件にのぼっています。
環境省によると、近年、特にクマが出没するのは6月から10月にかけて。
そのピークを前に、異例の目撃件数となっているのです。
“いなかったはず”の地域で相次ぐ目撃情報
4月29日、猟友会が池尻地区でクマの足跡を発見。
翌日に同じ地区の河原で目撃されると、5月1日には、住宅で飼われていたニワトリが被害にあったとの報告が。
その後も、隣接する地区のホームセンターや公園の近くでも目撃されています。
この地域での目撃情報は、過去になかったといいます。
小学生の社会科見学も中止
「クマの出没の影響を受けて、子どもたちの学習にも影響が出ているといいます」(記者)
「関市ではふるさとの歴史教育に力を入れていて、春先に社会科見学をしていますが、週末からクマの発見が続いているので、子どもたちの安全が第一で中止に」(関市文化財保護センター 伊藤聡 所長)
縄文時代の遺跡などが復元された「塚原遺跡公園」。
小学生が社会科見学に訪れる場所ですが、クマの目撃情報を受けて今年度は中止に。出前授業に切り替えました。
他にも…。
「外にある復元した竪穴住居は中にクマが入らないよう(入り口を)板でふさいで安全対策をしています」(伊藤所長)
職員は、大きな音が鳴る「クマ除けグッズ」を常備するなどしていますが、不安は尽きません。
「周りを行くときはドキドキする。十分に音を出してから行くようにしている」(塚原遺跡公園 施設管理員 藤田佳一さん)
関係者に募る危機感
地元の猟友会も、相次ぐ目撃情報に危機感を募らせています。
「住宅の近くで銃を発砲するのは非常に危険。今後どうしていくか、市と警察と打ち合わせして訓練しながら対応に臨みたい」(岐阜県関市猟友会 臼田雄一 会長)
近年、人との境界線が曖昧になりつつあるクマ。
“いなかったはずの地域”でも目撃情報が相次ぎ、対策は待ったなしです。
「これは動物を追い払うために使用する『動物駆逐用煙火』」(関市 農林課 足立崇之 主任主査)
対策のひとつが、クマを音で追い払う花火。目撃情報があった現場で猟友会が使い、クマを人里に近づけないようにします。
「関市は、クマが多い地域というわけではないはず。市街地・人里におりてくることが多くなってきている。私たちの考えている範囲よりも、さらに広域な対応をとらないといけない」(足立主任主査)
