今季もタフに戦う37歳の塩谷。攻守両面で頼りになる存在だ。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大 (全2枚)

 2026年からドイツ人のバルトシュ・ガウル監督が率いる新体制に移行したサンフレッチェ広島。2月に開幕したJ1百年構想リーグでは、優勝候補の一角に位置づけられていたが、3〜4月にかけて名古屋グランパス、清水エスパルス、ヴィッセル神戸、アビスパ福岡に敗れて4連敗。その後は復調したが、GWの連戦では、福岡、ファジアーノ岡山、神戸に黒星をつけられて3連敗を喫した。

「ちょっとうまくいかない時期があったんですけど、そこでもう1回、原点に立ち返ったというか、自分たちがしたいことをハッキリさせようという動きがありました。

 やっぱり日本人特有だと思いますけど、『つなごう』といったら、それしかできなくなっちゃうところがある。その使い分けをしっかりさせていく必要があると感じました」

 37歳の大ベテラン・塩谷司が、新たなチーム作りの難しさを代弁。「今はつなぐ時なのか、蹴る時なのかという意思統一が、ここへ来て、良くなってきていると思います」とも語り、進化の手応えを掴みつつあるという。
 
 それを象徴したのが、5月10日のアウェーガンバ大阪戦だった。相手は、16日にチャンピオンズリーグ2のファイナルを控えて士気が上がっている状態。ホームで勝って弾みをつけようと高い意欲を持って戦ってきた。

 そのG大阪に対し、広島は高い守備意識を前面に押し出し、序盤から拮抗した展開に持ち込むと、68分、ジャーメイン良のスルーパスに抜け出した鈴木章斗が見事な粘りからボールを残し、東俊希の先制弾に結びつけた。

 首尾よく1点をリードした終盤、G大阪は猛攻を仕掛けてきたが、広島も粘り強く応戦。83分には宇佐美貴史の強烈なミドルを、塩谷がゴールラインギリギリで決死のブロック。間一髪のところで防いだ。

「宇佐美選手のシュートもコースに入ってきていたので、止めなかったら、(大迫)敬介も反応できなかったので、そこで守れたのは大きかったと思います」と背番号33も安堵感を吐露。彼自身は直後に足を痛めて交代を余儀なくされたが、「肉を食べて、良いワインを飲んだら治ると思います」と冗談を口にできるくらいで、軽傷のようだ。

 広島の最終ラインは、山粼大地が中央に入った新たな陣容で戦っていることが多いが、彼を中心に強固な守りを形成。1−0の完封勝利を挙げ、トンネルを抜け出したことには大きな意味がある。そこは塩谷も痛感しているという。

「今季は失点を抑えられないことが多かった。前の選手が2点取ってくれたら、絶対に勝たないといけないと思いますし、なんなら1点でも『絶対に勝てるんだよ』というところを示さないといけない。2点目、3点目を取ることは大事ですけど、チーム全体で守る意識がバラバラになるというか、緩くなってしまうところがあったので、そこは課題ですね。

 チームの完成度にしても、まだまだそんなに高くないとは思いますけど、それを引き上げていくことが大切。序盤よりも迷うシーンが減ってきているので、少しずつ良くなっていると思います」

 塩谷はそう前向きにコメント。直面している攻守両面の問題点を一つひとつ整理して、2026-27シーズンに向かっていく構えだ。
 
 2012年に広島に赴いてから、森保一、城福浩、沢田謙太郎、ミヒャエル・スキッベと複数の監督に師事してきたが、38歳のガウル監督は一番年齢が近い。指揮官も塩谷のことを頼りにしているだろうが、塩谷自身も意見を率直に伝えられる環境にあるようだ。

「本当に一緒に向上させていこうという姿勢をすごく感じますし、一緒に良いものを作っていこうとしている。僕としては、もうちょっと『こうしてくれ』と言ってくれてもいいと思うこともありますけど、みんなの意見を聞いてくれるのは有難いこと。年齢に関係なく、良いコミュニケーションを取りながらやれていますね」
 
 すぐ近くに長年共闘した青山敏弘コーチもいて、つなぎ役になってくれている。彼らが中心となって新たな広島のスタイルを作り上げ、再びタイトルを取れるようになるまでチームを引き上げることが肝要だ。

 塩谷への期待は大きい。百戦錬磨の経験値と統率力を強く押し出してもらいたい。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

【画像】日向坂や乃木坂の人気メンバー、ゆうちゃみ、加護亜依ら豪華タレント陣が来場、Jリーグのスタジアムに華を添えるゲストを特集