AIバブルのウラでイーロンとアルトマンが大揉め…!日本メディアが報じない、OpenAI「160兆円の巨額上場」崩壊シナリオ
イーロン・マスクが、サム・アルトマンとOpenAIを相手取り、最大約20兆円の損害賠償を求めた法廷闘争が開始した。設立当初は「全人類の利益」を掲げる非営利組織として誕生したOpenAIだが、その後はマイクロソフトとの提携を深め、急進的な営利追求へと舵を切ったアルトマンに対し、マスクは「史上最大の慈善詐欺」と主張。
10年にわたる両氏の対立は、今後のAIを中心としたIT業界に決定的な影響を与える可能性が大きく、その動向をジャーナリストの小林雅一氏が読み解く。
【前編】『イーロン・マスクがブチ切れ…「OpenAI」アルトマンに仕掛けた、20兆円超の「泥沼裁判」の全内幕』よりつづく
ビジネス上の争いが私怨と嫌がらせに
マスク氏とOpenAI、特にアルトマンCEOとの争いは、単なるビジネス上の競合というよりも「私怨」のようなものへと変貌していった。
マスク氏は昨年8月、Xへの投稿で「Scam Altman(Sam Altmanをもじった「詐欺師アルトマン」を意味する蔑称)は呼吸をするように嘘をつく」とこき下ろした。
これに対しアルトマン氏は、同じくXに「イーロンは今から数か月後に裁判で(嘘が許されない)宣誓証言を強いられるが、これにはワクワクしている。4月にクリスマスが来るようなものだ」と投稿するなど、好戦的な姿勢で対抗している。
そもそも同氏やブロックマン氏ら現在の経営陣は以前から「最初にOpenAIを営利企業化してテスラと合併しようと言い出したのはマスク氏だ」として、その偽善的な姿勢を指摘してきた。
また両氏が舵取りを担うOpenAIも、Xへの投稿の中で「(今回の訴訟は)マスク氏のエゴと嫉妬、そして競合他社を妨害しようとする願いが引き起こした単なる嫌がらせであり、法的には何の根拠も無い」と非難するなど自信を覗かせている。
アルトマン氏の仇敵が裁判の証人に
こうして始まった今回の裁判(公判)は前半と後半の二部構成で進められる。
前半の「(OpenAIやアルトマン氏など被告側が)有罪か、無罪か」の判断は陪審員が行い、後半の「(有罪であった場合の)量刑」は判事が決める。ただし前半の「陪審員による評決」はあくまで判事への「助言」という体裁をとることから、最終的には判事が全ての判断を下すと見ることもできる。
とは言え、前半の「陪審員による評決」も判事の心証に大きな影響を与えることは間違いなく、その点では非常に重要なプロセスだ。今週月曜日(米国時間)の公判初日には、この陪審員の選定と原告・被告側双方の冒頭弁論が行われた。
裁判は今年5月頃まで続く予定だが、その間に証言する証人の中には、OpenAIのかつての取締役ヘレン・トナー、ターシャ・マッコリ―、イリヤ・スツケバー氏ら、かつて2023年11月の社内クーデターでアルトマン氏をOpenAI・CEOの座から(一時的に)引きずり下ろした首謀者達も含まれている。彼らが、裁判でどんな証言をするのか非常に興味が湧くところだ。
尻に火が付いたOpenAIは絶対に負けられない
この裁判の行方次第では、今後のAIを中心とするIT業界の勢力図に決定的な影響を与える可能性がある。と言うのも、マスク氏が創業した世界的な宇宙開発企業スペースXとアルトマン氏が舵取りを担うOpenAIは、ともに今年から来年にかけてIPO(株式初公開=上場)を計画しているからだ。
特にスペースXは上場時の評価額にして約1兆7500億ドル(280兆円)を目標とするなど、Iアマゾンに続く世界第6位の企業価値を目指す史上空前の大型IPOとなる見通しだ。同社は最近マスク氏の肝いりでxAIと合併し、地球を周回する人工衛星にAI開発用のデータセンター建設を目指すなど、徐々にAI開発へと事業の軸足を移しつつある。
これに対しOpenAIは今年終盤から来年にかけての上場を視野に入れており、その際の評価額として最大1兆ドル(約160兆円)を目指している。が、仮に今回の裁判で敗訴すれば、営利企業としての成長が根本的に阻害されることから、今後のAI産業においてスペースXが極めて有利なポジションを確保することになる。
またOpenAIのライバルはスペースXだけではない。彼等と激しく競い合うアンソロピックは今年に入って主に企業向けのコード生成AIが大ヒットし、その売上は年間ベースで約300億ドル(4兆8000億円)とOpenAIの同240億ドル(約3兆8000円)を凌ぐ勢いだ。
このアンソロピックもIPOを計画中だが、今のペースでいけば上場時の評価額はOpenAIを上回る可能性が出て来た。
かつてChatGPTをリリースした2022年〜2024年頃まではAI業界で圧倒的な支配力を誇ってきたOpenAIも、2025年の後半以降は失速してグーグルやアンソロピックなど同業他社の後塵を拝している感もある。
こうした状況下で、OpenAIとアルトマン氏はマスク氏らを相手にした今回の裁判に決して負けることは許されないのだ。
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