知人「仕事熱心な方」、広報誌にも“動物を大切に思う言葉”が… 動物園職員の男を逮捕 なぜ、“死体遺棄”でなく死体損壊容疑?
北海道の旭山動物園の焼却炉で妻の遺体を焼却したとして、警察は30日夜、死体損壊の疑いで夫で動物園職員の男を逮捕しました。男は動物園の広報誌で「同じ地球上に生きる命として関心を持ってほしいです」などと話していました。
■レッサーパンダやカバなど担当 冗談を交えながら話す様子も

大きな口を開けるカバの世話をする男。30日夜に逮捕された旭山動物園の職員、鈴木達也容疑者(33)です。
鈴木達也容疑者
「カバの歯、すごくかたい。触ってもらったらわかるけど、ものすごくかたいので、切るのにだいたい3か月くらいかかる」
集まった客の前で、カバの歯の手入れを実演していました。2017年ごろから勤務し、主にレッサーパンダやカバなどを担当してきたといいます。冗談を交えながら話す様子もありました。
鈴木達也容疑者
「彼は歯並びが悪い。カバって言葉遊びでカバはバカみたいに言う人いるけど、ものすごく覚えが早い」
◇

これまで、旭山動物園の焼却炉に妻の由衣さんの遺体を遺棄したとして、任意で事情をきかれていた鈴木容疑者でしたが、死体損壊の容疑で逮捕されました。
およそ9年前には、広報誌で園内管理担当として紹介されていて、笑顔の写真とともにこんなコメントが掲載されていました。
「大きくて目立つ動物だけでなく、ひっそりと生きているような生き物にも目を向けてほしい」「同じ地球上に生きる命として関心を持ってほしいです」
警察の調べに対し、鈴木容疑者は。
鈴木達也容疑者
「間違いありません」
焼却炉からは、遺体の一部が見つかっているということです。
■開園予定直前に大きく動いた事件 近隣住民は4月から“異変”を…

普段なら動物を見に来る客でにぎわっているはずですが、一連の事態を受けて、開園が延期となっていた旭山動物園。開園予定の5月1日を迎える直前に、事件は大きく動きました。
鈴木達也容疑者
「動物園の焼却炉に妻の遺体を遺棄した」(趣旨の供述)
鈴木容疑者の妻と連絡がつかなくなったのは3月下旬ごろ。4月に入って妻の関係者から警察に相談があり、捜査が始まりました。
「防護服を着た捜査員が多数、確認できます」
警察は連日、鈴木容疑者の自宅を捜索。鈴木容疑者は、妻の殺害についてもほのめかしているということです。
◇

近くに住む人は、4月に入ってから異変を感じていたといいます。
近隣住民
「4月7日にご飯を届けた。母さん(妻は)どうしたのって言ったら「東京に行った」と私に言うから、その1週間後に、ウソついてるんじゃないの? 入院してるんじゃないの? って。『入院してないよ』って言うから違和感はあった」
別の近隣住民も。
近隣住民
「(これまで)2人で仲良く(川の)堤防に行ったり」
――今年4月に入ってからは?
近隣住民
「1回も見てないです」
■危害を予告するような言動…「夫から脅迫を受けていて怖い」

鈴木容疑者は、3月31日ごろに旭山動物園に妻の由衣さんの遺体を運び込み、焼却するなどして遺体を損壊した疑いがもたれています。
これまでの捜査関係者への取材では、鈴木容疑者が妻に対して、危害を予告するような言動をしていたとみられることがわかっていて…。
鈴木達也容疑者
「残らないよう燃やし尽くしてやる」
一方、鈴木容疑者の妻は行方不明になる前、相談のメッセージをスマートフォンで関係者に送っていたといいます。
妻・由衣さん(33)
「夫から脅迫を受けていて怖い」
ただ、夫婦に関する警察への相談歴は、現時点で確認されていないということです。
■焼却炉から“遺体の一部”見つかる

子どもたちが動物を楽しむための場所で起きた今回の事件。捜査開始からおよそ1週間で逮捕にいたりましたが、鍵となっているのは、鈴木容疑者が遺体を遺棄したと話す焼却炉です。捜査員が入念に調べる様子がありました。
「10人〜15人ほどの捜査員の人たちが忙しく建物の周りを動いています。建物には煙突も見えます」
旭山動物園によりますと、この焼却炉は死んだ動物を燃やすためのもので、火力は骨が灰になるほどだといいます。
鈴木達也容疑者
「数時間かけて燃やした」(趣旨の供述)
これまで焼却炉から遺体は見つかっていませんでしたが、30日、新たに遺体の一部が見つかったことがわかりました。
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関係者などによりますと、この焼却炉は使用できる人が限られていましたが、鈴木容疑者は日常的に立ち入れる立場だったとみられています。
さらに、鈴木容疑者は「動物園の営業時間外の夜間に遺棄した」という趣旨の話もしているということです。
焼却炉の操作は1人でも可能で、解剖済みの動物を焼くため、深夜に使用する場合もあるといいます。
■鈴木容疑者を知る人「仕事熱心な方」

自分の立場を利用し、ほかの職員がいない時間を狙って焼却炉を使ったのでしょうか。鈴木容疑者を知る人は。
鈴木容疑者を知る人
「仕事熱心な方で、仕事の先の展望なども考えている方でした」
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広報誌でも。
鈴木容疑者(旭川市広報誌より)
「野生では、キリンとホロホロチョウなど多様な生き物が共生しており、お互いに大切な存在です」
動物を大切に思い、仕事に向き合っているような言葉がありました。
◇

その一方で、こんな声も。
鈴木容疑者を知る人
「基本的に奥さんの話が出てくることはほぼないんですけど、いつも飲みに行ったら(鈴木容疑者は)帰らない。一回『家が怖いのか?』と誰かに言われたら、すごい怒ったのは覚えています」
■なぜ、死体損壊の容疑での逮捕? 今後の捜査は?

今回、死体損壊の容疑で逮捕された鈴木容疑者。“焼却炉に遺体を遺棄した”と鈴木容疑者が話し、警察も焼却炉を調べていましたが、なぜ、死体遺棄ではなく死体損壊の容疑での逮捕となったのでしょうか。元神奈川県警捜査1課長の鳴海達之氏は。
元神奈川県警捜査1課長・鳴海達之氏
「死体遺棄は死体が出てこないと難しい話。ただ、損壊に関わる何かが焼却炉の中から出てきたならば、死体損壊で(容疑を)持っていけると踏んだのでは。(死体損壊は)遺体が正規の手続きを経ないで火葬されたということを立証すればいい。(逮捕の)ハードルは若干下がる」
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今後の捜査については。
元神奈川県警捜査1課長・鳴海達之氏
「話の内容がどれだけ裏がとれて、どれだけ秘密の暴露があるのかがポイントになる」
警察は、殺人事件の可能性を視野に捜査しています。
(4月30日放送「news zero」より)