NPT会議開幕 核不拡散体制を崩壊させるな
大国が核使用の脅しを強め、原子力発電所や核関連施設までも攻撃の標的にするなど、世界の安全を脅かしている。
核兵器を巡る国際的な枠組みや規範は、崩壊の瀬戸際にある。各国は今こそ、危機感を持って不拡散体制の立て直しに取り組まねばならない。
核拡散防止条約(NPT)の履行状況を点検する再検討会議が、米ニューヨークの国連本部で始まった。原則5年に1度、191の締約国・地域が集まり、核軍縮などを議論する場である。
国連のグテレス事務総長は会議の冒頭、「苦労して確立された規範が崩れ始めている」と述べ、強い危機感を示した。
国家間の対立もあらわになった。イランが副議長国の一つに選出されると、米国は「恥ずべきこと」と批判した。イランは、米軍などがイランの核施設を攻撃したのは国際法違反だと非難した。
5月22日までの会議中に、核軍縮の道筋などを示す最終文書をまとめられるかが焦点だ。
2015年と22年の過去2回の会議は、最終文書を全会一致で採択できずに決裂した。3回連続の決裂となれば、核軍縮の機運が完全に失われかねない。
核を取り巻く状況は急速に悪化している。ロシアはウクライナを侵略し、プーチン露大統領は核使用の恫喝(どうかつ)を繰り返している。原発も攻撃した。
一方、米国はイスラエルとともに、「核開発を阻止する」との名目でイランを攻撃した。イランはNPT加盟国だが、イスラエルはNPTに加盟せず、事実上の核保有国とされる。
核保有国の横暴を放置したままでは、核を持たない国が「条約を守っても安全にはつながらない」との不信を抱き、自国を守るためには核兵器が必要だという考えが助長されかねない。
米露両国は即刻、武力行使をやめるべきだ。
米露間では核弾頭の配備数を制限する「新戦略兵器削減条約(新START)」が失効した。中国はこの条約に参加せず、核弾頭の保有数を急速に増やしている。英仏も核戦力増強に転じた。
NPTは米露中英仏の5か国に核兵器を持つ特権を認めるとともに、核軍縮交渉を義務づけている。5か国は誠実に軍縮に取り組まねばならない。
日本は、北朝鮮がNPT脱退を宣言し、核・ミサイルを増強して地域の安定を揺るがしている危険な現状を広く訴えるべきだ。
