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日本に住む外国人が過去最多を更新する中、外国人のために日々奔走する日本人女性がいます。「ミンナの居場所を作りたい」「外国人みんなと私たちもつながりたい」。外国人の心に寄り添い、地元の人たちとつなぎ続ける「居場所づくり」を取材しました。

■「日本語サロン」国籍を問わないミンナの居場所

茨城県・下妻市の公民館。中にはたくさんの人がいました。

中からは日本語を勉強している声が――。

「きっぽる きっぽろ」
「さっぽろね」

「さんびゃく ななじゅう よんまん、ごせん さんびゃく…」

下妻市では、年々外国人が増加し、いまでは人口の1割近くまで増えました。そこで毎週土曜日に開かれているのが「日本語サロン」。講師は地元のボランティアです。

「日本語サロン」の中心にいるのは、小笠原紀子さん。楽しく会話することが、何よりの教材だといいます。

小笠原さん
「日本語ゼロの人に教えるということは本当に難しい。ボランティアさんの負担になる。そうじゃなくて、おしゃべりしながら日本語を覚えてもらおうっていう」

スリランカのキュウリはちょっと違う、と、野菜の話をしたり…
地元のボランティア講師「白い?」
生徒「白い!」

インド哲学の話をしたり。
ボランティアさん「インドの哲学っていうのは生き方や考え方を勉強してる?」
生徒「はい」

ここに来た思いもさまざまです。

地元のボランティア講師
「下妻って本当に町を歩いているといろんな外国の人と出会える。やっぱりちょっとでも会話が出来ればいいなと」

「最近外国の方が多いなと感じていて、自分も近くに感じたい。やっぱり気持ちは通じる。一生懸命やるっていうことは通じる」

通い始めて3年・インドから来たレワンドさん
「楽しいし会話の練習もすることができるから助かった。子どももいっぱいいるし、ここに来たからこの人にも会ったし、新しい友達作ることできる」

小笠原さんが作っているのは、国籍を問わない、ミンナにとっての居場所です。

■「いろいろやってあげたくなっちゃう」 “みんなのお母さん”のはじまり

活動を始めた最初のきっかけは、10年前のできごとでした。

小笠原さん
「(当時)隣の常総市で居酒屋をやっていて、その店の隣がたまたまレストランで」

たまたま隣にあったスリランカレストランの人から、「役所の書類の申請がわからない!」と相談され、手助けしたところ、そのうちに「僕の誕生会にも来てよ!」と交流は深まり、気がつけばみんなのお母さん的存在になりました。

小笠原さん
「私のことを日本のお母さんのように思ってくれているのがすごく感動して、なんかいろいろやってあげたくなっちゃう」

そこで、民間ボランティア団体を立ちあげ、共に活動する中山さんと外国人の居場所作りに奮闘しています。

■“相談ができる”食堂

小笠原さんたちは、子ども食堂でも活動しています。平日は毎日運営していて18歳以下は無料。名物はカレーライスです。ここには日本の子ども達も外国人も集まります。食事を作るのは小笠原さんと地元のボランティアの方々。

「いただきます」「美味しい」――元気な声が響きます。

そんなある日、パキスタン出身の高校3年生がやってきました。

小笠原さん
「2年まではちゃんと行ったの?3年になって休みがちになっちゃったの?」

不登校になってしまい、今後どうしたらいいか小笠原さんに相談にきたのです。困り事や日頃の相談ができることがここの特色です。

小笠原さん
「卒業しないと何もできないと言っているのに、この人いうこと聞かない」
「1月に入学して3月までに学校にいっぱい行けば卒業できる。単位を取らないといけない」

小笠原さんは、転校先を探して入学の手続きまで手助けします。その後、小笠原さんの手助けもあり無事に卒業できました。

小笠原さん
「一番は子ども食堂というイメージよりも、ミンナの居場所、町のお茶の間というイメージで」

■日本語も英語もわからない… サフナさんの出会い

去年秋、小笠原さんには“ある出会い”がありました。

この日は地元企業の畑で行われた芋掘りイベント。

「こんにちは」「久しぶり」

外国人もたくさん集まったなか、小笠原さんが気にしていたのが、アフガニスタン出身、小学6年生のサフナさん。

日本で自動車関連の会社を営む父親のもとへ、半年前に母親ときょうだいと共に来日したばかりで、日本での生活に不安がいっぱいです。

「英語もわからない」
「日本語も通じないもんな」

日本語も英語もわからず、落ち着かない様子です。

初めて自分で掘ったさつまいもですが、一口も食べることができませんでした。

でもこの日の小笠原さんとの出会いが、サフナさんを変えるきっかけになりました。

■「食べ物はアイテム」 いろんな話ができるように

約2か月後のクリスマス会。

小笠原さんはみんなに、ある理由から、自分の国の料理を持ってきてもらうよう呼びかけました。

小笠原さん
「日本の文化ばかり押しつけないで、外国の文化を日本側も知る。向こうの食べ物を食べたりするのが楽しみでね」

クリスマス会には、アフガニスタンの料理「カブリ・プラオ」を持ったサフナさんもやってきました。

お母さんが作ったという「カブリ・プラオ」は、鶏の炊き込みご飯のような料理だそう。

言葉もわからなかったサフナさん。会場に到着して何かに気づき走って行った先には…料理をするボランティアさんが。
自ら気づいて率先してお手伝いをするまでになっていました。

さらに、みんなで料理をしている最中、ボランティアさんに話しかける姿も。

サフナさん「私の名前わかる?」
ボランティアさん「サウナ」
サフナさん「サフナ。あいうえおわかる?」

ボランティアさんも驚く日本語の上達ぶり。
実はこの2か月間、小笠原さんたちと交流し日本が大好きになったサフナさんは、日本語をたくさん勉強してきました。

ボランティアさんと一緒に日本語を言いながら、パーティーの準備を進めます。
「あいうえお〜! かきくけこ〜! さしす…」

パーティーの準備も整い、お料理交流会の始まりです。

参加者
「すんごい美味しいです。初めて食べました」

下妻で、さまざまな国籍の人と楽しくおしゃべりをしながら味わう世界の味。交流の輪が広がります。

小笠原さん
「食べ物はアイテム。みんながいろんな話をお互いにできれば大成功です。サフナちゃんも両親の通訳をするくらいになって、すごく成長してるなって」

そんなサフナさんは将来の夢もできました。

サフナさん
「通訳!お父さん、日本語わからないから助けてあげるよ。アフガニスタン人(日本に)いっぱいいるから、助けてあげるよ」

今度はサフナさんがみんなを助ける番です。

■「下妻の外国人みんなと私たちもつながりたい」

言葉や文化の違いを越えて、人と人がつながる居場所。小笠原さんはこの場所から、さらに多くのつながりを生み出そうとしています。

小笠原さん
「こういう、なんかみんなごちゃ混ぜでいる環境をもっと広く。下妻にまだまだ外国人いるけど、そのみんなと、私たちもつながりたいと思ってるので。今後も頑張って2人でやっていきたい」

異国で暮らすみんなの心に寄り添い続ける小笠原さん。

カンボジア出身
「小学校とか準備すること、大変です。外国人はいろいろ全然わかりません」
スタッフ
「それを小笠原さんに教えてもらってる?」
カンボジア出身
「そうです。だから大好き」

小笠原さんの「居場所づくり」は続きます。

(2026年4月22日放送「news every.」より)