傷んだ遺体を移送可能か、住民の目のリスク、共犯者…京都小6遺棄事件「専門家が検証する」3つの謎

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「捜査が自分に迫っている」

死体遺棄の疑いで父親が逮捕されてから1週間ほどが経った。京都市南丹市の市立園部小学校に通う安達結希くん(11)が亡くなり遺棄された事件だ。4月16日に養父の安達優季容疑者(37)が京都府警に逮捕されたが、まだまだ不可解な点は多い――。

実際に現場を取材した、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が依然として謎となっている3つの点について検証する(以下、コメントは小川氏)。

【1:傷んだ遺体を移送することは可能なのか】

後に結希くんと判明する遺体が市内の山林で4月13日に見つかった際、警察は「亡くなってから相当な日数が経過」「性別は不明」と発表していた。傷みの激しい遺体を移送し、山の中で運ぶことができるのだろうか。

「結論から言うと物理的には可能です。容疑者は、ご遺体を遺棄現場近くまで車で運んだと思われます。発見時、ご遺体はあお向けの状態だったとか。あお向けなら、ご遺体が傷んでいても、ズボンの裾を上から持って引っ張れば車から比較的容易に出せます。うつ伏せだと膝の関節が曲がるため動かしづらく、引きずられる際に顔などがさらに損傷するので車から出すのはかなり難しいでしょう。

問題はご遺体を車から降ろした後です。特殊な運搬用具がなければ、ご遺体のさらなる損傷を避けるためブルーシートなどにくるみ引っ張ることになります。引く側には相当な力が必要となり、現場にはブルーシートを引きずった痕がつく。いわゆる『ゲソコン』(下足痕、靴の裏側の足跡)も残るため、容疑者にとっては大きなリスクです。1人で、しかも人目につかないように一連の作業を行うには相当な困難がともないます」

【2:なぜ住民に見られるリスクを冒し遺体を何度も移動させたのか】

市内の山林、安達容疑者の自宅から2kmほど離れた自然公園『るり渓』の公衆トイレ……。警察によると、安達容疑者は遺体を市内の数ヵ所に移動させて隠した疑いがあるという。事件が起きたのは大きな街ではない。なぜ多くが顔見知りの住民が目にするリスクを冒し、安達容疑者は遺体を何度も移動させたのだろうか。

「結希くんが行方不明になったことは、親族が情報提供を求め始めた3月23日以降、大半の住民が知っていたはずです。容疑者である父親が山林や公園にいても、不審には思わないでしょう。容疑者が『自分で息子を探したい』『少しでも警察の捜査に協力したい』と言えば、多くの人が納得するはずですから。

しかし、ご遺体を移動させるとなると話が変わります。たとえ深夜であっても、ご遺体を運んでいるところを見られるわけにはいかない。容疑者は、警察の捜査が自分に迫っていることを知っていたはずです。捜索状況を知り、警察が重点的に調べている地点からご遺体を慌てて移動させたのではないでしょうか。容疑者の行動からは緻密な計画性というより、場当たり的な対応という印象を受けます」

「恐怖を感じます」

【3:共犯者はいるのか】

死体遺棄に関しては安達容疑者から「共犯者がいる」といった内容の供述はなく、警察は単独の犯行として捜査しているという。しかし住民や報道陣の目が光るなか、周囲にバレないように1人で遺体を保管し移動することは可能なのだろうか。

「ご遺体が見つかった場所の近くに私も行きましたが、夜は真っ暗で物音一つせず恐怖を感じます。灯りがなければ何もできない。前述したとおり(【1:ご遺体運送】)人目につかないように1人ですべての作業をするには、かなりの困難がともないます。警察は本当に単独での犯行なのか、容疑者の発言の裏付け捜査をしているはずです。

共犯とはいかないまでも、犯行に気づいていた人物がいる可能性はあります。どんなに保存状態がよくてもご遺体をどこかに長時間隠していれば、周囲は臭いなどの異変に気づくはずでしょう。また現時点(4月21日)で、警察が捜査しているのは死体遺棄容疑です。殺人に関し調べを進めれば、事件が別の局面を迎えるかもしれません」

警察の取り調べには淡々と応じているという安達容疑者。しかし学校から結希くんが登校していないと連絡を受ける前に、関係先へ「子どもがいなくなった」と電話するなど言動に矛盾する点が多い。供述によっては展開が大きく変わり、多くの謎が解明する可能性がある。