オーバーツーリズムは心配(C)日刊ゲンダイ

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「4月1日時点で宿泊税を導入している都道府県は6、市区町村では33と全国で39の自治体が実施しています。また現在、16の自治体の導入が決まっており合わせて導入する自治体は55になります」(総務省自治税務局担当者)

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 2025年の訪日外国人旅行者数は4268万人と前年比581万人増え過去最高が続いている。高市早苗首相の台湾有事発言で中国からの訪日客は減っているものの、東南アジア、欧米豪などからの訪日客が増加し今年もインバウンド需要を押し上げている。外国人旅行者の増加に伴い、全国の自治体で導入が広がっているのが宿泊税だ。

 宿泊税は地域の観光振興の財源として、ホテルや旅館など宿泊施設に宿泊する際に課される法定外目的税。自治体が独自に条例を定め、総務省の同意を得て導入する税だ。旅行ジャーナリストの鳥海高太朗氏がこう述べる。

「外国人旅行客の増加でオーバーツーリズム(観光公害)が深刻化してきています。今まで市民、県民の税金でゴミ処理や観光整備をしてきましたが、行政サービスの需要が増加し宿泊税の収入を観光振興やインフラ整備などの財源として活用が期待されています」

 宿泊税の課税額は自治体により異なるが、1人1泊につき数百円とする自治体が多い。地元住民からオーバーツーリズムが懸念されている京都では、宿泊料金により200円から1000円の3段階の定額制だったが、3月1日から5段階に見直された。1人1泊200円から最大で10万円以上の宿泊料金に対して1万円が課されることになった。

 定額制を導入する自治体は多いが、沖縄県や石垣市など1人当たりの宿泊料金に対し定率制の導入を予定する自治体も増えてきている。宿泊費は固定ではなく、旅行シーズンや経済環境により変動することが多い。そのため、定額制より定率制の方が収入増が見込めるとする見方がある。

■宿泊税を気にする外国人旅行者はいない?

 外国人旅行客に対する宿泊税の広がりは「宿泊税の導入で外国人旅行者が来なくなる」と心配する観光業界関係者の声もある。だが、「全く心配はない」というのが神戸国際大学経済学部の中村智彦教授だ。

「現在の円安は日本人が思っている以上に海外の人たちにとってはプラスの恩恵は大きい。宿泊税を気にする外国人旅行者の声は聞かれません。海外で販売されている日本旅行は投げ売り状態と言われています。オーバーツーリズムは、政府が何の対策も取らず訪日客を呼び込んでいることにある。宿泊税の収入で各自治体が観光振興の財源に充てるのは当然です」

 宿泊税の収入がより良い観光整備に使われることを期待する。

(ジャーナリスト・木野活明)