記事のポイント
ドルチェ&ガッバーナは創業者ガッバーナ氏が会長職を退任しつつも、クリエイティブ面には引き続き関与している。
同社は約5億2000万ドル(約780億円)の負債を抱え、資本注入や資産売却を含む資金調達を進めている。
中東依存や中国市場の低迷に加え、LVMHなどコングロマリットとの競争で独立ブランドの苦境が強まっている。


2026年4月9日、創業41年を迎えるイタリアのラグジュアリーブランド、ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)の共同創業者のひとりであるステファノ・ガッバーナ氏が、1月に同社を退任したとのニュースが報じられた。しかし、その後すぐに状況は一変した。

ガッバーナ氏は会長職を辞任し、保有する40%の株式の扱いについて選択肢を検討中であるものの、共同創業者のドメニコ・ドルチェ氏とともにクリエイティブ部門にとどまる。

ブルームバーグ(Bloomberg)はまた、同社がグッチ(Gucci)の前CEOであるステファノ・カンティーノ氏を要職に迎えることを検討していると報じた。

ガッバーナ氏の役割をめぐる混乱と変遷は、ドルチェ&ガッバーナの不透明な未来と重なる。多くの独立系ラグジュアリーブランドと同様に、同社も需要の鈍化、中東紛争による影響、ビジネスコストの上昇に直面しており、しかもそれらすべてを大手コングロマリットの後ろ盾なしで乗り越えなければならない。

ラグジュアリー業界が変化を続けるなか、ドルチェ&ガッバーナのような独立系ブランドは、LVMHやケリング(Kering)のような巨大コングロマリットに比べて苦戦を強いられ続けている。

経営陣交代と借り換え交渉の真っただ中



スイスのモデルエージェンシーであるメトロモデルズ(Metro Models)の創業者デイヴィッド・ラトモコ氏は、ドルチェ&ガッバーナのモデルやほかのエージェンシーとのやり取りから、同社で何らかの変化が起きていると数カ月前から感じていたと語る。

だがラトモコ氏は、ガッバーナ氏が事業面での役職を離れること自体は最大の問題ではないと指摘する。

「問題は、ブランドが数億ドル規模の負債を抱え、新規融資を行う前に新たな資本注入を要求している銀行と借り換えを進めようとしている、まさにその時期にガッバーナ氏を失う」とラトモコ氏は話す。

「これはどんなブランドにとっても非常に厳しい状況だが、コングロマリットの支援を受けたことのないブランドにとってはなおさらだ」。

2026年3月の規制当局への提出書類によれば、ドルチェ&ガッバーナは債権者に対して5億2000万ドル(約780億円)を超える負債を抱えており、ブランドの独立を維持するための新たな借り換え交渉を進めていた。

ガッバーナ氏自身が同社の40%を保有しており、ドルチェ氏もさらに40%を保有している。残る20%はドルチェ氏の弟であるアルフォンソ・ドルチェ氏と妹のドロテア氏が保有しており、アルフォンソ氏がガッバーナ氏に代わって会長職に就いた。

負債はブランドにとって大きな問題だ。報道によれば、同社は資金調達のために不動産資産の売却や、ブランド名のライセンス供与を検討している。

債権者は新たに1億7600万ドル(約264億円)の資本注入を求めていると報じられている。ドルチェ&ガッバーナは世界に200を超える店舗を展開している。なお、同社は本記事に関してのコメントを控えた。

中東依存と中国でのつまずき



ドルチェ&ガッバーナは近年、特にフレグランス事業を中心に中東への投資も積極的に行ってきた。2025年第4四半期だけで、ドバイの独立型ビューティーストアを含む4店舗を湾岸地域にオープンした。

だが現在、イランでの戦争が同地域のラグジュアリーリテールに圧力をかけている。

「2025年実施した今後返済期限を迎える債務の借り換えで、ブランドにはいくらか猶予が生まれた。しかし中東でのエクスポージャーが非常に大きく、自社の失策によって中国でも以前ほどの強さを持っていない」と、ブランドコンサルティング企業のメディンゲ・グループ(Medinge Group)と国際ファッション誌、ルシール(Lucire)の創業者であるデイヴィッド・ヤン氏は語る。

ドルチェ&ガッバーナは2018年に、中国の多くの一般消費者から人種差別的だと見なされた広告キャンペーンを公開し、その後ガッバーナ氏が中国を侮辱するDM(ダイレクトメッセージ)が流出したことで、中国における評判を大きく損なった。両デザイナーはのちに謝罪している。

以降、中国は依然として重要であるものの、以前より小さな市場となり、2024年には総売上のおよそ16%を占めるにとどまった。ドルチェ&ガッバーナの2025年の総売上は20億ドル(約3000億円)を超えていた。

膨らむ負債、経営陣の刷新、中東での紛争による販売パフォーマンスへの圧力を抱えるなか、ドルチェ&ガッバーナにはどのような未来が待っているのだろうか。

コングロマリット時代の独立系の苦境



ラトモコ氏は、ドルチェ&ガッバーナのような独立系ブランドにかかる圧力は非常に現実的だと話す。

LVMHのような大手コングロマリットとの競争が激化するなか、すでに多くのブランドが外部からの投資を受け入れるか、あるいはより大きなコングロマリットに買収されるかのいずれかの道をたどっている。

11月にはヴァレンティノ(Valentino)がメイフーラ(Mayhoola)を買収しており、こうした動きの一例となっている。さらに12月には、プラダ(Prada)がヴェルサーチェ(Versace)を、ケリングがラセリ・フランコ・グループ(Raselli Franco Group)をそれぞれ買収した。

「ラグジュアリーは間違いなく縮小期に入っている」と同氏は述べる。

「エージェンシー側でキャンペーンに起用するタレントのブッキングを見てきたが、ここ1年ほど案件が低迷している。ブランド側はエディトリアルへの支出を削減し、キャンペーン予算を縮小し、新たなタレントへの投資を減らしている」。

[原文:Can Dolce & Gabbana stay independent through leadership changes and the Middle East crisis?]

Danny Parisi(翻訳、編集:藏西隆介)
Image via Dolce&Gabbana /YouTube