「最悪クラス」と評される佐々木朗希の“生命線” 怪物の“象徴”だった剛速球の力負けを裏付ける「.714」の意味

なかなか周囲も、そして自らも納得のいく投球ができない佐々木。その内容にOBからもシビアな意見が飛んでいる(C)Getty Images
キャリアを支えてきたボールが機能しない由々しき事態
こんなにもうまくいかないものなのか――。試行錯誤を重ねる佐々木朗希の現状に“逆風”は強まるばかりだ。
開幕3登板目となった現地時間4月12日に行われたレンジャーズ戦も昨年から抱える“課題”に苦しんだ。佐々木が降板する4回までに放った94球のうちストライクは53球。パーセンテージも全体56%にとどまり、自己ワーストタイとなる5四球を献上。失点数は「2」と最小限に留めたが、球数がかさんだ結果、早期降板を余儀なくされた。
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これで今季3登板(13.0回)での主な投球成績を見る限り、お世辞にも「好調」とは言い難い。奪三振率10.38のハイアベレージを叩き出しているのは球威の表れと言えるが、一方で防御率6.23、WHIP1.85、被打率.269、被長打率.500、被OPS.887、与四球率6.92とほとんどのスタッツが「悪化」と評価される水準にある。いずれの数字は佐々木がマウンド上で独り相撲を繰り返している証左とも言えよう。
プロ入り以来、規定投球回に達した経験がない佐々木。とはいえ、ロッテ時代にNPBを席巻した支配的な投球がここまで狂ってしまうとは、はたして誰が予想しただろうか。
ではなぜ、佐々木はここまで噛み合わないのか。一つの要因として考えられるのは、 “真っすぐの質”。これまで大船渡高校時代から彼のキャリアを支えてきた、いわば「投球の生命線」と言えるボールがことごとく機能していない点は由々しき事態と言える。
球速自体はドジャース移籍1年目よりも増している。今季ここまでの平均球速は97.1マイル(約156.2キロ)と、右肩のインピンジメント症候群によって中長期の離脱期間もあった昨季よりも約1マイル(約1.6キロ)も速い。だが、投球全体の41%(262球中108球)を占める佐々木の4シームは、被打率.381、被長打率.714、被OPS1.250と明らかな力負けをしているのだ。
課題である制球難からカウントを悪くし、ストライクを狙いに行った真っすぐを痛打される――。真っすぐという拠り所を失い、投球リズムを乱す悪循環に陥る佐々木の現状では、やはり勝負にはならない。「伝家の宝刀」とされるスプリットを活かす意味でも、真っすぐが機能しなければ、やはり復活の道のりは険しいと言わざるを得ない。
スネルが復活すれば、ますます立場は怪しく……
無論、現地での評価も辛い。「ドジャースが豪華な戦力を有しているということが、ササキがメジャーロースターに残れている唯一の理由だ」と論じる米版『Yahoo! Sports』のジェイク・ミンツ記者は、勝負になっていない怪物の4シームをシビアに評している。
「ササキの4シームは、球速こそ回復し、明るい兆しを見せている。しかし、長打率.714という高い数字を記録されているのも事実だ。高度な分析指標によれば、彼の真っすぐは、球界全体でも最悪クラスの速球の一つと評価されている。打者にとってみれば、打者に打ちごろの好都合なゾーンに来るか、ゾーンから明らかに外れてしまうかのどちらかなのだ」
まもなくドジャースの先発ローテにはメスが入る。というのも、左肩痛によって開幕前から出遅れていたブレイク・スネルが遅くとも5月末までに復帰予定となっているためだ。
すでにライブBP(実戦形式の打撃練習)も消化している33歳の大物左腕が戦線に復帰すれば、投手編成の見直しは必至。エメット・シーハンとジャスティン・ロブレスキが好調を維持する現状を考えれば、佐々木が競争から外れる可能性は小さくない。
残る“猶予”は決して長くない。スネルの復帰までに、佐々木は球質を含めた投球改善を図れなければ、昨夏と同じようにマイナーで研鑽を積む日々がやってくるかもしれない。
自ら「技術不足」を論じる怪物の未来はどうなるか。その行く末は興味深くもある。
