那須川天心、初黒星から4カ月半…エストラダ撃破、涙の復活「泣いてないよ。泣いてないって」
◇WBC世界バンタム級挑戦者決定戦12回戦 〇同級2位・那須川天心 TKO9回終了 同級1位フアンフランシスコ・エストラダ●(2026年4月11日 両国国技館)
WBC世界バンタム級2位の那須川天心が約4カ月半ぶりの再起戦で、同級1位の元世界2階級制覇王者フアンフランシスコ・エストラダに9回終了TKOで勝利した。5戦ぶりのKO勝利で復活を遂げ、昨年11月の世界初挑戦で敗れた“因縁”の井上拓真(大橋)が持つWBC王座への挑戦権を得た。
公式戦初黒星から約4カ月半。再起に成功した那須川は肩を震わせていた。「泣いてないよ。泣いてないって」。精いっぱい強がりながら「勝つってこんなにうれしいんですね。みんなに支えられて復活できた」と目を赤くしながら、2戦ぶりの勝利の余韻に浸った。
新必殺技「10センチの爆弾」を爆発させた。初回から左ボディーで相手をロープ際にはじき飛ばすなど、パワーの差を見せた。さらにギアを上げた中盤以降、序盤から多用してきた左ボディーアッパーを次々にヒット。磨いてきた接近戦ではショートパンチから連打を浴びせた。9回には多彩なコンビネーションと上下の打ち分けで、ラウンド終了後のエストラダはコーナーから立ち上がれず。元世界王者の心をへし折り、再起に成功した。
昨年11月の世界初挑戦で井上拓に0―3判定負け。屈辱の敗戦を機に、キックボクサー時代にボクシングの指導を受けていた、元帝拳ジムトレーナーの葛西裕一氏とタッグを再結成。課題としてきた接近戦克服へショートパンチ「10センチの爆弾」を伝授された。この日もガードを固めてから自ら攻撃を仕掛けるなど、天性のカウンターパンチャーが新たなスタイルを披露。スパーリングではあえて近い距離で足を止めて打ち合うなど、弱点と向き合ってきた。「技術で勝つことができた。まだまだ強くなれるが、やってきたことを出せたのは自信になった」と胸を張った。
連敗が許されない崖っ縁のリングは「次の日がないと思っていた。これからいろんな予定が立てられると思う」とちゃめっ気たっぷりに話した。5月2日に東京ドームで行われる王者・井上拓―井岡戦勝者への挑戦権を得た。それでも見据えるのは“因縁”の井上拓へのリベンジのみ。「ひたすら拓真選手が勝つことを願って、てるてる坊主をつくって毎日祈りたい」と笑った。進化した姿で再挑戦し、次戦では最高の結果を出してみせる。
◇那須川 天心(なすかわ・てんしん)1998年(平10)8月18日生まれ、千葉県松戸市出身の27歳。5歳で極真空手を始め、小6で転向したキックボクシングではRISEでバンタム、フェザー級の2階級制覇など42戦全勝(28KO)。23年4月のボクシングデビュー戦で6回判定勝ち。24年10月には10回判定勝ちでWBOアジア・パシフィック・バンタム級王座を獲得。昨年11月に井上拓真とのWBC世界同級王座決定戦で判定負けし、格闘技公式戦55戦目で初黒星。身長1メートル65、リーチ1メートル76の左ボクサーファイター。
