志布志国家石油備蓄基地(鹿児島県)/(C)共同通信社

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 気になるギャップだ。放出を始めた国の石油備蓄のことである。

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 ホルムズ海峡の事実上の封鎖による原油の供給不安に対応するため、先月26日から、まず国内消費量の30日分にあたる約5300万バレルを放出。1日分の消費量は約176.7万バレルとなる計算だ。

 ただ、国内の消費量を調べると、おかしなことに気付く。外務省HPには「キッズ外務省」という子ども向けの国際情報サイトが存在する。コンテンツのひとつ「世界いろいろ雑学ランキング」で1日あたりの石油の消費量の多い国として、日本は6位にランクイン。問題はその量である。

 2023年の日量は336.6万バレル──。国の備蓄基準とは、実に2倍もの差が生じるのだ。出典は「世界エネルギー統計レビュー」の24年版。英ロンドンに本拠を置く国際エネルギー産業団体「エネルギーインスティテュート」(EI)発行の世界的に権威のある統計集だ。

 EIの統計に基づけば、約5300万バレルはおよそ16日分。ほぼ半分に過ぎず、2週間チョットで底をついてしまう。

 このギャップの真相は何か。まさか政府が国内消費量を低く見積もっているのか。石油備蓄を所管する資源エネルギー庁に疑問をぶつけてみた。

「ご指摘の統計の『石油消費量』には、LPガス(液化石油ガス)やナフサなど関連製品の消費量も含んでいるようです。一方、国家備蓄は純粋に石油単体の消費量だけに基づくもの。政府の『石油製品需給動態統計調査』から1カ月おきに過去半年分の消費量を見直し、算出しています」(長官官房総務課・調査広報室)

 奇妙な二重基準は誤解を招くだけだろう。国の石油備蓄量は先月29日時点で146日分、民間備蓄と産油国備蓄を含め計235日分あるとはいえ、同じく中東依存度が8割と高いナフサは備蓄法の対象外だ。イラン攻撃前の国内在庫は2〜3週間分しかなかったとされる。

 資源を「持たざる国」の危機は続く。

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