【大型特殊免許の一発試験に挑戦】費用は10分の1!黒木美珠が感じたメリットとデメリット
きっかけは教官のひと言
大型免許の教習を受けていたときのことです(編集部注:詳しくは下記の大型免許取得レポート全3回を参照)。教習中、隣に座っていた教官から「運転感覚を掴むのが早いから、一発試験でもいけたんじゃない?」と言われました。
内心『お金を払って教習所に通っているのにそんなことを言わないでくださいよー』と思いつつ詳しくうかがうと、教官の奥様も運転感覚を掴むのが早いタイプで、試験の注意点を口頭で詰め込んで指導したら一発試験で全種類の免許を取得されたというのです。これは興味深い!

試験車両とは違いますが、ホイールローダーのミニカーをゲット。 小川和美
一発試験という制度自体は耳にしたことがありましたが、実際にどのように受験するのか、どんな流れで免許が交付されるのかは全く知りませんでした。自動車に関する発信をしている立場として、この制度を自分の体験として知っておきたいという思いが強くなり、早速挑戦を決めたのです。
決心した時点で、大型免許は教習所で取得中だったため、残る取得可能な免許は大型特殊、牽引、大型自動二輪、第二種といった種類がありました。その中から選んだのは、大型特殊免許。全長12m未満、全幅2.5m未満、全高3.8m未満で、最高時速が15km/h以上の特殊車両を公道で運転するための免許で、ホイールローダーやラフタークレーン、除雪機を動かせますが、作業そのものを行うには別途作業免許が必要です。
比較的合格率が高いとされていますが、それでもおよそ30%しか受からないとのこと。『一発試験』とはいえ、1回で合格することは考えず、何度か挑戦して取得できれば良いかな、と思うことにしました。
一発試験の仕組みと試験車両
私が受験した県では、一発試験の予約は免許センター窓口のみでの受け付けでした。受付時間は午前と午後の決められた時間に限られ、外国免許切り替え業務と共用の窓口は常に混雑していたので、行列の最後尾を見つけて並ぶだけでも一苦労。しかも予約枠は3〜4週間先まで埋まっている状態でした。
やっと迎えた試験当日。受付で受験料を支払い、待合室でコース図を確認します。コースは2種類のみで、どちらのコースになるかは当日になってみないとわかりません。

コマツのホイールローダーWA100-7。機械質量は8000kg近くあります。 コマツ
試験車両は中折れ式ホイールローダー、コマツWA100。この車両が運転感覚が掴みやすいとされる理由は、車両中央が折れ曲がる構造にあり、前輪と後輪が同じラインを通るため内輪差がほとんどなく、『前輪が通れた場所は後輪も通れる』ため、脱輪のリスクが低いからです。
一方で、独特な操舵感に慣れていないと大きくふらつきやすい特性も。この『ふらつき』は減点対象となるため注意が必要です。
そもそもホイールローダーに乗るのが初めての経験です。運転席は大型トラックとほぼ同じ高さにあり、ステップを2〜3段登った先にあります。普通車とも大型トラックとも異なる独特の感覚で、まずドアの開け閉めに戸惑いました。
事前のリサーチで、試験車両は3速マニュアル車が主流と聞いていましたが、私が乗ったのはAT仕様。ステアリングは思っていたよりも小径で、普通車より小さく感じられます。
シフトレバーは国産車でいうワイパーレバーの位置にありました。ブレーキはステアリング右下と左下の2箇所にあり、左側のブレーキは作業時に使用するもので、一発試験では使うことはありません。ただし、初めて乗る場合はクラッチと間違えないよう注意が必要です。
『一発通過』じゃなくても、メリットたくさん
さて、緊張の初回は、速度不足と右左折時の寄せ不足を指摘され、減点超過で終了。
不合格でも技能指導はないので、次の試験に向けて自分で準備する必要があります。

こちらはコマツWA320-7。こんな風に扱えるようになれたら! 夢が膨らみます。 コマツ
本当だったら1回目の前にコックピット画像などを確認して置ければよかったのですが、取り急ぎ車名をメモして、帰宅後にメーカーホームページやYouTubeを使って勉強しました。
2回目は操作位置を把握した上で臨み、コースを完走しましたが、『左寄せ不足』で不合格となりました。自分ではかなり寄せたつもりでしたが、実際には体感上、脱輪ギリギリに感じるくらいまで寄せないと『寄せた』と判断されないようです。
3回目は左寄せを徹底し、水捌けのラインぎりぎりまで寄せて走行した結果、無事に合格判定!
合格後は全員の試験が終了するまで待合室で待機します。その日の受験者は普通免許や準中型免許、大型免許などの受験者が併せて40人ほどいましたが、最終的に合格したのは私を含め3人だけ。一発試験の合格率の低さを改めて実感しました。
様々な手続きを済ませ、新しい免許証を手にできたのは試験開始約3時間後の正午過ぎでした。
このスピード感は魅力ですが、一発試験の最大のメリットは、費用でしょう。
大型特殊の場合、受験料は1回4550円で、私は3回の受験で合格できたため合計で1万3650円。免許交付手数料約2000円に交通費を加えても、教習所で大型特殊免許を取得する場合の約13万円に比べるとおよそ10分の1で収まりました。
一方、デメリットも明確です。
一発試験では教習所と異なり、操作についての質問や教育は一切行われません。安全確認の不足や操作ミスがあれば、即座に試験中止。教習所なら運転のコツや車両ごとの注意点、安全確保の方法を体系的に学ぶことができます。日常的に運転する場合や実際に業務で使用する場合は、教習所でしっかりと学んでから公道に出ることが、自分自身と周囲の安全のためにも望ましいと感じました。
一発試験は、合格率が高いとされる大型特殊であっても決して簡単ではありません。それでもしっかり準備し、何度か挑戦すれば取得が可能です。
挑戦する過程そのものが運転スキルや理解を深める貴重な経験となりましたし、ホイールローダーの運転フィールが想像以上に面白く、もっと運転したくなりました。近い将来、さらにいろいろな大型特殊車両を操縦する機会を見つけたいです。
