高額すぎる「サンルーフ」 つける“理由”はどこにある? 開ければ「心地よい風に青い空と白い雲」… 「全く使わないから不要」論もあるが今「あえて選んでおくべき」大きな理由とは

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初めて「サンルーフ」を味わった興奮が忘れられない

 クルマの屋根を開放的にしてくれる「サンルーフ」ですが、今はそもそも設定がないというモデルも増えてきました。
 
 装着率が下がっていることが要因のようですが、それでもあえて装着すべき理由について考えます。

風が気持ちイイ! 写真はホンダのスペシャリティカー「プレリュード」(4代目/1991年)のサンルーフ

 筆者(松村 透)のサンルーフ原体験は、中学のとき、部活動の顧問の先生が乗っていたクルマでした。

【画像】超カッコいい! これが日本初の「サンルーフ車」です! 画像で見る(30枚)

 世代がバレますが、車種はホンダの3代目「プレリュード」。4WSが搭載され、リアタイヤが独得の動きをするあのモデルです。

 遠征先の学校から徒歩で駅まで向かう際、顧問の先生が愛車であるプレリュードのリアシートに乗せて駅まで送ってくれたのです。

 そして何やらボタンを押すと、屋根の一部がグワンと動いてするすると収納されていきます。

 屋根の一部がぽっかりと開き、青空が見え、心地よい風が車内に吹き込んできます。

 もしかしたら、顧問の先生としても愛車のプレリュードを自慢したかったのでしょうか。

 人生初のサンルーフ体験に大興奮したのはいうまでもありません。

 以来、いつかサンルーフ付きのクルマに乗ってみたいと密かに思うようになりました。

 時は流れ、筆者も運転免許を取得し、クルマを運転するようになりました。

 ある日、父親がクルマを買い換えるというのでカタログを見せてもらうと、トヨタ「チェイサー」(90系)を考えているというではありませんか。

 ここぞとばかりにサンルーフ(トヨタでは「ムーンルーフ」と呼称)を“激推し”しました。

 しかし、10万円を優に超えるオプション価格、安くはないということで、当初ムーンルーフはあえなく却下。

 それならば「オプション代はこちらで払うから」とアルバイトで貯めた貯金をはたき、なかば無理やりムーンルーフ装着車(チルト機能付き)となったのです。

 そしていざチェイサーが納車されると、タバコを嗜んでいた父親はチルト機能付きのムーンルーフがいたく気に入ったようで、乗るたびに開閉していたほど。

 筆者もついに念願のサンルーフ付きに乗れたと、感激したのを昨日のことのように覚えています。

サンルーフを楽しめる季節は意外と短い…だからこそ「贅沢なのだ!」

 しかし筆者自身、サンルーフ付きのクルマに乗ってみて気づいたことがあります。

 夏は暑いし、冬は寒いし、実はあまり使わないという「衝撃の事実」にです。

サンルーフは「旬の季節」を満喫できる贅沢装備です[写真は日産「エクストレイル」の「パノラミックガラスルーフ」]

 チルト機能こそ季節を通して換気のため有効活用できますが、屋根を開けるサンルーフ自体の恩恵を受けられる時期は春や秋などに限られ、思いのほか短いことがわかります。

 近年は温暖化が進み、ますますその「旬」の季節も短くなってきていると感じます。

 加えて、ノーマルルーフに比べて室内高が低くなる(屋根が格納ではなくアウタースライドタイプであれば影響は少ない)、車重が増え重心も上がり、多少なりとも燃費が落ちるといったデメリットもあります。

 その結果、クルマを買い換える際にも「あまり使わないからいらない」と、サンルーフの予算を他にまわされてしまい、装着車も減っているのです。

 モデルチェンジや仕様変更のたびに車両本体価格があがり、さらには純正カーナビやフロアマットなど、優先度が高いオプションを追加していくと、そもそもサンルーフのように高価な「ぜいたく装備」は、真っ先にリストから外されてしまう宿命にあります。

 そもそも最近のクルマは、サンルーフそのもののオプション設定がないばかりか、固定式のガラスに日よけのシェードを加えたパノラマルーフ仕様といった、似て非なる装備が用意されているモデルも増えてきました。

 シェードを開け放てばガラスルーフの開放感を味わうことができますが、固定されているためサンルーフのように外気を取り込むことはできません。

 筆者が顧問の3代目プレリュードで刷り込まれたサンルーフの醍醐味、あの「心地の良い風が車内へ吹き込まれていく」感覚が得られないのは、どうにも納得がいきません(個人の感想です)。

 しかし設定されているモデルが減り、さらに実際に装着する人が減れば、中古車として市場に出たときに「希少価値の高い個体」と見なされます。

 つまり、リセールバリュー(売却時の再販価格の価値)が高いことを意味します。

 高価なオプション価格分が丸々回収できるかは保証の限りではありませんが、実際には中古車情報などで「サンルーフ」がアピールポイントとなっていることも多く、非装着車より価値が高いのは間違いありません。

※ ※ ※

 オープンカーにはかなわないけれど、サンルーフの屋根を開けたときの開放感を1度知ってしまうと、やみつきになってしまいます。

 旬の季節はとても短いですが、春の桜や秋の紅葉シーズンに空からの心地良い風を味わえ、実に贅沢で豊かな気分が得られます。

 ガラスルーフ車の勢力が増しているなか、10年後にはなくなってしまっている(かもしれない)サンルーフ、今のうちに存分にこの装備の魅力を味わっておきたいところです。