中東のドバイなんてお金がないと楽しめないでしょ?セレブばかりで気後れしそう…と私も思っていた。けれどコスパ面でもタイパ面でも「実は」優れた旅行先。気軽に楽しめるアクティビティ(体験型レジャー)やグルメも多く、砂漠までもクルマで40分だ!そんな「実は」なドバイを紹介する。

そもそもドバイって近いの?遠いの?「実は」深夜発着の直行便で、「1泊4日」も可能

中東ドバイはアラブ首長国連邦(UAE)の7首長国のひとつだ。アラビア半島の東に位置し、日本との時差は5時間。深夜に現地を離陸して、ドバイ、もしくは日本に早朝につく直行便もあるので、1泊4日という弾丸ツアーも可能なほど。この場合、ゆっくり眠れる約12時間のフライトがかえってありがたく、目覚めてすぐに観光できる! これはタイパ(=タイムパフォーマンス)よし!

高層ビルと自然が共存する土地。左下は高さ150mの世界一巨大な額縁「ドバイ・フレーム」

ドバイ空港からダウンタウンなどの中心地までは近く、タクシーで約15分。メトロ(地下鉄)やバスも便利だ。ドバイ市内はタクシーやウーバーなどの配車アプリも利用しやすく、初乗りが5ディルハム(約200円、1ディルハム=約40円)で、1キロにつき2.19ディルハム加算とリーズナブル。日本よりも気軽に乗れる印象だ。

高層ビルも砂漠も風情ある市場「スーク」も空港から近く、旅行プランを立てやすいドバイ

ラマダンって約1ヵ月も断食するんでしょ?「実は」日没後はしっかり食べ、夜更かしも

私が今回訪れたのは、ちょうどイスラム教の断食期間、ラマダン。2025年は、2月28日から3月29日までだったが、毎年、11日ほど早まっていく。ムスリム(イスラム教徒)は約1カ月間も飲み食いできないのか…!と驚くが、日の出から日没までの飲食が禁止で、その前や後は食事をしている。その分、深夜早朝にまとめて食べてしまい、「ラマダン太り」なる言葉もあるのだとか! 特にここ数年はドバイではレストランも通常通り営業し、日中でも外食できるようになった。

夕刻になると、「ラマダンキャノン」という号砲により断食が解禁されたことが知らされる。夜は街が華やかに!

とはいえイスラム教徒にとっては神聖な五行の一つ(イスラム教を信仰する上で、行う義務のある行為)。公共の場で食べたり、水をがぶがぶ飲むようなことはひかえ、断食中の人々に敬意を払おう。

ラマダンが明けると、最初に口にする飲み物やスナック、フルーツなどを皆で分け合い、たたえ合う

そもそもラマダンとは、自身の信仰心と向き合うことが目的。食べられない苦しさを体感することで、恵まれない人への寄付などを積極的に行う時期でもある。

ゴールドやスパイスなど専門店が集まる各スークは観光スポットではあるのと同時に、地元のビジネスの場でもある
ラマダン中もスークは営業しているが、早めにクローズする場合もあるので注意

ラマダン中は街もシンと静かなんでしょ?「実は」街がイルミネーションにきらめき華やか!

ラマダン中は神聖な空気は漂うが、街は「Ramadan Kareem(ラマダン カリーム)」のメッセージを掲げたディスプレイやイルミネーションで華やぐ。「ラマダン カリーム」とは、ラマダンを祝い、感謝するあいさつのような言葉。ラマダン中は、社会貢献や寄付にも敏感になり、その延長でお金を使うことも奨励されるのだろうか、断食後の夜は街が活発となり、ラマダンセールなどでモールも深夜まで営業している(なんと夜中の2時くらいまで営業することも!)。ギフトを贈りあうこともあるそう。

華やかな装飾のラマダンテントに集い、断食明けの夕食を楽しむ Asateer Tent at Atlantis, The Palm

高級ブランドではラマダンコレクションなるものも。ルイ・ヴィトンの濃紺とゴールドをキーカラーとした2025ラマダンコレクションはシックでゴージャス。パリやニューヨークでも取り扱いはなく、中東のみで展開されているレアなアイテムだそう。

ルイ・ヴィトンなどの高級ブランドでもこの時期にはラマダンコレクションを発表
ラマダンコレクションはイスラム圏だけでの展開になるのでコレクターも多い
人工島「パーム・ジュメイラ」にあるホテル「ウォルドーフ・アストリア」ではラマダンテントがビーチに

ラマダン時期の日没後の食事「イフタール」では、装飾されたテントなどで会食をし、家族や仲間の絆を深め合うのだとか。各ホテルではラマダンテントで食事する、華やかなイフタールのプランもあるので参加してみるのもいい。

街はイルミネーションできらめき、伝統的なモスクでもプロジェクションマッピングが

人気アクティビティは高そう、並びそう・・・「実は」各人気施設にオフピーク割引あり!

ドバイには世界一高いタワー「ブルジュ・ハリファ」(高さ828メートル)や世界一大きな人工島「パーム・ジュメイラ」が見渡せる展望台(ザ・ビュー)など、絶景ポイントがたくさん。水族館、アイススケートリンクなども人気だ。実はこれらのアクティビティにはオフピーク割引もある。

スリル満点のスカイ・ビューズのすべり台。絶景を眺めながら12メートルを滑り落ちる

ラマダン期間は日中に活動する住民が減り、観光客も少ないので、人気の観光スポットが空いているのも意外と知られていない。2019年にオープンした地上219.5mの高さに全長45mのガラス板の床の絶叫展望台やすべり台がある「スカイ・ビューズ」も、ラマダン時なら並ばずにすいすいだった。オフピーク時なら割引も。そうやって節約したお金で、建物の外を命綱だけを頼りに歩くスリリングな「エッジウォーク」にチャレンジしてみるのもいい。

さらにスリリングな命綱だけで建物の外を歩くエッジウォーク体験も

夕刻から30分おきに開催される世界最大級の噴水ショー「ドバイ・ファウンテン」もラマダンの時期にはそれほど混雑せず、ゆったりと鑑賞できた。このショーは誰もが知るヒット曲やアラビアの伝統的な楽曲、はたまたビートの利いたボリウッド(インド映画)ミュージカル風など、毎回構成が変わるので何度見てもあきない。ラマダン中は家族で過ごす住民が多いため、人気のレストランも比較的すいており、ショーを見ながらテラス席も予約が取りやすい。

断食中の文化交流はかなわないだろうな・・・「実は」ラマダンの風習を深く学ぶチャンス

ラマダン中のイスラム教徒とは、交流する機会なんてないだろうな、と思っていたのだが、ドバイにはUAEの文化やイスラム教の文化を体験しながら学べるSMCCU(シェイク・ムハンマド文化理解センター)のような施設も。私が参加したのは日没後の夕食=イフタールを体験するプログラムだ。

SMCCUのプログラムではイスラム文化についてさまざまなレクチャーを受け、ともに体験できる copyright_WALEED SHAH

伝統的なこの時期ならではのメニューを囲み、イフタールに関するレクチャーを受けて、実際に断食明けの食事をどうとるかを体験する。最初は一粒のデーツ(ナツメヤシの実)をゆっくりと味わい、水を飲む。そうやって胃を整えてから食事をはじめるのだ。

ラマダン明けにまず口にするのがデーツ。ゆっくりと時間をかけて味わう

その後、モスク(礼拝所)を訪れてイスラム教について学ぶ。礼拝体験後は屋上でデザートとアラビックコーヒーを味わったり、ファルコン(UAEで行われてきた鷹狩の鷹)と記念写真を撮ったり、おはじきとビリヤードを合わせたような伝統的なゲーム「カイロム」に興じたりと、思い思いに過ごす。

ラマダン明けの食事「イフタール」を楽しんだ後はモスクへ礼拝に行く

もっと学校の授業のような堅苦しいものを想像していたのだが、講義は笑いあり、質問コーナーありのライブ感のあるもので、講師以外にもボランティアスタッフがサポートしてくれ、自然な交流を楽しめた。イフタールのメニューを共に味わえるのもラマダンの時期ならでは。街も今日の断食を成し遂げた喜びに満ちていて、ラマダンの意味を深く学べた。

ドバイって暑くて日中の活動は無理だよね「実は」ラマダンの時期は涼しく、行楽に最適

ドバイと言えば灼熱の砂漠、超高層ビルに照り付ける太陽をイメージするかもしれない。確かに陽ざしは強いのだが、今回、そして2026年2月17日ごろから始まる予定の次回のラマダン中は比較的過ごしやすい気候。街歩きがそれほど苦にならない。それもまた、実はラマダン期間中の滞在をおすすめしたくなる理由。(毎年、日程はズレていくので、真夏に当たる年も…!)

UAE建国100年にあたる2071年の未来世界を旅する「未来博物館」は柱のない建築構造

過ごしやすい季節に感謝しながら、街を散策し、「Ramadan Kareem」のメッセージや月をモチーフにしたデコレーションを楽しもう。断食が明ける夕刻時はきらめくイルミネーションに心が躍るだろう。この時期は立体的に映像を投影する「プロジェクションマッピング」を開催するモスクもあり、夜はいっそう華やかになる。

壮大で美しい噴水ショー、ドバイ・ファウンテンは夕方30分おきに開催。誰でも無料で鑑賞できる

今まで、あらゆることに禁欲を強いられるストイックな期間、と思っていたので、この盛り上がりは本当に意外だった。確かに厳しい戒律ではあるが、自分に打ち克ち、内面から浄化される神聖な挑戦。頑張ったね、とお互いをたたえ合うような気持ちが伝わり、みな楽しそうだ。まるでフルマラソンをゴールし、お互いをたたえ合うような爽快さなのかも。ラマダンの尊さを体感し、共有できた。