面接で「話し終わったタイミング」に気を抜いてはいけない…元国際線CAが明かす「人となりを見抜く」一瞬のスキ
※本稿は、山本洋子『なぜあの人は初対面で信頼されるのか 元JAL国際線チーフパーサーだけが知っている人の心をつかむ極意』(日本能率協会マネジメントセンター)の一部を再編集したものです。

■「礼儀正しすぎる」と慇懃無礼と思われる
ビジネスパーソンとして、「礼儀正しい」と評価されることは、最大の褒め言葉です。
礼儀正しさは人としての品位の表れでもありますので、そこを評価されたということは、ビジネスパーソンとして自信にもつながります。
「礼儀正しい」ということは、よい評価には違いありませんが、気を付けないといけないことがあります。
本書の前節でも述べましたが、度合いが過ぎると、ときに慇懃無礼と思われてしまうことがあるからです。
私の後輩がお客様からお叱りのコメントをもらった例をご紹介しましたが、本人は真面目に丁寧に対応しているだけなのに、その態度がお客様を見下しているように見える、無礼だと言われたらショックは相当なものです。
それが、「礼儀正しい」の大きな落とし穴です。
慇懃無礼ととられてしまう一番の要因は言葉遣いですが、所作にも顕著に表れます。
■「心からのお詫び」が裏目に出ることも
例えばお辞儀です。
日本人の礼儀として、挨拶や謝罪の場面、またお礼を伝えるときには言葉と同時にお辞儀をともないます。
深いお詫びをするような場合、腰を折り深々と頭をさげることもあるのですが、ちょっとした謝罪をするようなときや親しい間柄でお詫びをするようなときに、必要以上に深々と頭をさげると慇懃無礼に映ることがあります。
本人は心からお詫びをしたいのでしょうが、それが裏目に出てしまうのです。
私は商談でホテルのラウンジをよく利用するのですが、ラウンジのスタッフにも似たようなことを感じることがあります。
何かあるたびにお辞儀をするのはよいのですが、いちいち肘を90度に曲げて手をおへその前で組み、45度に腰を曲げるお辞儀を繰り返す。
これはさすがにこちらが恐縮してしまいます。
相手に慇懃無礼と思われてしまうと、よい印象を持たれることがないばかりか、信頼も得ることができなくなってしまいます。
礼儀正しさには、よい塩梅のバランスが必要です。丁寧すぎるのも、くだけすぎるのもいけません。
では、よい塩梅の礼儀正しさはどうすれば実践できるのでしょうか?
■相手によって言葉や態度を変える柔軟さ
それは、相手をよく観察し、相手によって柔軟に言葉や態度を変えることです。

同じ会話をするにしても、最初から最後まできちんとした敬語で話してほしい人もいれば、敬語で話を続けられると他人行儀に思えて窮屈に感じる人もいます。
相手を知ることは、良好な人間関係を築くうえで最も重要です。
第2章でもお話ししたように、ビジネスシーンにおいて、人間関係を円滑にし、信頼を得るためには、相手を知る感性が不可欠です。
礼儀正しくあることは大切なことですが、誰に対しても紋切り型のように礼儀正しくすることは、ときに誤解を生む原因になります。
「礼儀正しい」には、思わぬ落とし穴があること、そしてその落とし穴に落ちないよう、相手を知る目と感性を養うことが重要です。
初対面の人とお会いしたとき、相手がまだどういう人かがわからない段階で、これから一緒にビジネスを進めていいかどうかの判断基準になるのが「礼節」です。
人がよさそうには見えるけど、冷たい人かもしれません。
一見強面に見えるけど、実は誠実で優しい人かもしれません。
会話以前に、ビジネスの一次面接を突破するのは、礼節をわきまえている人です。
当然のことながら、礼節をわきまえない人は、面接を突破することはできません。
それはビジネスにおいて、相手にされないことを意味します。
■「一瞬のスキ」に人となりが見える
航空会社に勤務していたとき、管理職乗務員として客室乗務員の採用面接官をしていました。
緊張の面持ちでインタビューに答える若き応募者の初々しい姿を見るたびに、自分自身の採用試験のことを思い出したものです。
幼い頃から憧れていた会社の客室乗務員になるための試験でしたから、そのときの状況は今でも鮮明に覚えています。
面接官として応募者に接する際、採用の一番の決め手になるのは客室乗務員としての適性があるかないかです。
接客業は不特定多数のお客様を相手にするサービス業です。
いくら本人が希望したとしても、適性がなければ客室乗務員にはなれません。
接客業に向いているかいないかを見極めるときに大きなポイントになるのは、接客に相応しい礼儀正しさがあるかどうかです。
例えば、入室時の態度です。
グループ面接においては、4〜5人の応募者が一緒にインタビューを受けるのですが、他の応募者とのやりとりやグループの中での振る舞い方などを細かく観察します。
一瞬のスキに人となりが見えるからです。
■「自分の番が終わったあと」に素が出る
応募者の多くは、事前に想定質問への答えを用意し、頭の中は自分の受け答えのことしか考えられない状態だと思います。
しかし、そうした状況でも、どれだけ他者への配慮ができるかが決め手になります。
自分の番が終わったら、他の人の話を聞かず上の空。
聞いているふりはするものの、まったくタイミングの合わない相づちを打つなど、自分が話をしていないときの態度に素が出るのです。

客室乗務員は、常に周囲への配慮が求められます。
どのような状況に置かれても、状況を見極め、配慮することが求められるのです。
特に緊急事態においては、極度の緊張の中でも冷静さを失わず、周囲の状況を判断する対応力が必須です。
自分の発言が終わった途端、安心して他の人への配慮に欠けたり、礼を欠いたりするような振る舞いでは、客室乗務員は務まりません。
意外と本人は気がついていないのですが、そういう振る舞いは目立つもの。
プロの面接官の目は簡単にはごまかせません。
その反面、礼儀正しく礼節が身についている人は、大勢の中でも際立ちます。
きちんとした身だしなみに美しい姿勢、そして周囲の人への目配り、気配りを欠かしません。いかなるときでも、他者への気遣いをともなう礼節が身についている人は、一目置かれます。
まずは、身近な人に礼儀正しく接することを習慣にしてみてください。
言葉遣いやちょっとした気配りを習慣化するだけで、周りの反応が変わりますよ。
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山本 洋子(やまもと・ようこ)
CCI代表取締役
人財育成コンサルタント、キャリアコンサルタント。元JAL国際線チーフパーサー、客室マネージャー。奈良県生駒市出身。1985年JAL入社。25年間の在籍で総飛行時間は2万を超え、JAL国際線チーフパーサーとしてファーストクラスを担当。海部元首相や天皇陛下特別便乗務に選抜される経歴を持つ。各界の著名人をはじめとした国内外のVIPに接してきた。その間、客室訓練部にて教官として約1000人の新人CAを育成し、CA採用面接官も務める。管理職客室マネージャー昇格後は、CAの指導育成と人事考課等のマネジメントを行う。退職後は外資系保険会社にて7年間コンサルティング営業に従事。CAと保険セールスレディでは、世間の扱われ方が全く違い、経験のない営業職に戸惑いながらも、初月トップの成績をたたき出す。航空会社で培ったおもてなし力と、リーダーシップ力、保険会社で学んだお客様から信頼されるコミュニケーション力を武器に2018年「株式会社CCI」を設立。現在はビジネスマナー研修をはじめとした企業研修や講演で全国を飛び回る。
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(CCI代表取締役 山本 洋子)
