金融企業が生成AIで逆転勝利する方法を語る!「金融機関は生成AIで成果を生み出せているのか」ラウンドテーブル
そして、生成AIを活用していくべき部分について、和泉教授は「AIエージェント」の開発を挙げた。マーケット分析のためにどの情報を集め、どう分析するかなどの、実際の専門的な業務のワークフローまでを考えられる、サポートスタッフや相棒として使われるAIの活用方法を説明され、その活用・開発は進んでいない現状があると述べた。

・Topic4:
半数以上の一般社員が生成AIの活用による業務効率化が「全くできていない」と回答したのに対し、役職者は6割以上ができていると回答。
和泉教授も同様の見解であり、経営層はどの部署でもある程度事務作業があるので、今回活用していると回答されたと考えられると述べた。
一方で、現場社員では、経営企画や市場調査などの専門的な業務においてクリエイティブな分析がしたいという部分で、活用ができていない現状があり今回の調査結果になったとの見解を述べた。この調査結果から、ルーティーンワークの生成AI活用は進んでいるが、専門的な分野についての活用といった課題が表れている内容だと説明した。
・Topic5:
外部の専門家からの支援は役職者と一般社員で求めることの差があった。
生成AI導入・運用にあたり、外部の専門家からのどのような支援が必要かという問いに対し、
役職者は「生成AIの精度を上げるサポート」が1位(38%)となり、一般社員は「人材育成のための継続的なトレーニング」が1位(36%)という結果に。一般社員は活用への意識が低いように思えたが、教育環境を必要としていることが明らかになった。
続いて、現場では人材育成のサポートが求めれられているという調査結果に対して、及川氏はアルテアとして、人材育成ツールの提供による継続サポートや、モデリングして提供するサービスを行っていることを説明した。また、専門家の支援としては産学連携が重要だと述べ、金融機関の方の知識に加えて、大学生・大学院生の生成AIに関する専門的な知見をどのように融合するかが重要だと話した。
和泉教授も産学連携が一つの重要な鍵であると考えており、AIは技術開発がハイスピードで進むため、研究論文がなかなか追いつかない現状があるが、産学連携を行うことで、金融機関側のニーズと研究側の知見をぶつけ合う場所が必ず必要だと述べた。こういった取り組みが進んでいくことで、現場にあった専門的な生成AIの開発につながる可能性が出てくる。学生では現場のワークフローまでの知識がないので金融機関とタッグを組んで進めていくべきだと述べた。
併せて、アルテアのRapidMinerプラットフォームを活用した和泉教授の研修について紹介された。学部1年生に対する講義の中で、因果推論をグラフィカルに進めることが可能であり、より本質的な研修になったと述べられた。学生からの評判も好評だったと説明した。

■業務効率化に向けた取り組み
・業務効率化を実現するための障壁・現場の実態
金融機関での生成AI活用が進んでいない中で、各機関に必要な取り組みをディスカッションした。及川氏は、金融機関では必ずデータガバナンス・データセキュリティが一番の課題として出てくると述べ、データへのアクセス権など、どのようにデータをセットしていくかを解決する必要があり、それを会社全体で行うのか、グループだけで行うのかなど、どの範囲で行うかがフォーカスされていると話した。和泉教授は、金融機関では扱うデータが特殊で秘匿性が高いものであり、気軽にデータ分析ができないことが課題だと説明した。データをサンプル的にでも研究ができるような環境が揃えば、興味を持つ学生も増加し研究が進んでいくはずだと述べられた。
・日本と海外の金融機関の比較
和泉教授は国内外での違う点の1点目は機動力だと述べられた。海外では開発スピードが圧倒的に早く、生成AIがあることが前提で開発が進んでいく環境があると説明した。
2点目は、プロジェクトが単一の金融機関で留まってしまう特徴が日本にはあると述べた。場合によっては複数の金融機関で共通する基盤となるシステム構築が必要だと述べられた。及川氏も機動力について、海外の金融機関ではデータの連携までのスピード感があると述べた。
和泉教授は、現状は競争環境からデータを他の金融機関へ開示することは進んでいないが、生成AI開発の観点では、開発スピードの向上のために各金融機関がデータを開示し、共通の基盤を構築する必要があるとの見解を述べた。その基盤をカスタマイズし高度化することで競争力を確保するような流れ、方針が必要だと述べた。
・各業務効率化に向けて、各金融機関が取り組むべきこと
上記を踏まえて各金融機関が取り組むべきことをお伺いすると、和泉教授はまずは人材だと回答した。人材を育てるためには試す場の用意が必要であり、そのためには金融機関一社ではなく、複数社で共通化されたものが必要だと述べた。その延長として、スタートアップも含めた外部活用が重要だと説明した。
及川氏は現場の実情としても、学生たちの力も含めてアクションを進めていくべきだという方針は各金融機関は持っているものの、現状としてはどうアクションをとるべきかの部分で止まっていると説明した。和泉教授は学生連携について、リクルーティングの考え方もあるが、育てた人材が別の金融機関に進んでも全体的な技術の発展に活かせるという考え方も少しずつ広まってきていると話した。
これらの課題を受けてアルテアはトレーニングプログラムの提供や、実際にコンサルティングサポートとした人材の派遣を行っていると説明した。並走しながらモデルを作ることや生成AIの構築の支援、プロジェクトの立ち上げサポートについて紹介した。
■業務効率化のその先にある収益化へ
最後に収益化に向けた取り組みについてディスカッションを行った。
及川氏は、スモールグループでやっているという現状や、ファンドマネージャーが必要としている情報をインプットする進め方が重要であり、そこで必要となるのはデータの正確性だと説明した。データの解答の因果関係の整理などの精度の向上が収益化に向けた次の課題だと説明した。
和泉教授としては、金融業界の生成AI活用について、ホップ・ステップ・ジャンプでいうところのホップの段階だと述べられた。ホップは一般的な生成AIを使ってみる段階、ステップは前述のAIエージェントによる専門的な業務にカスタマイズされた活用の仕方であり、ジャンプはデータにない所、因果などのこれからの将来予測に関わる部分だと説明した。
海外でもジャンプまで進んでいる金融機関はほとんどいないと及川氏は述べた。和泉教授も現状ではホップの少し先だと述べられました。決まったワークフローをいかに効率化するかの段階にとどまっていると説明した。
収益化に向けて取り組むべき課題については、和泉教授はステップ領域に進む必要があると述べた。
ステップにおけるAIエージェントを活かすためには現場のワークフローをしっかりと把握することがまず重要であり、業務を整理してそれぞれAIに置き換えていく流れが必要だと説明した。
これに対して及川氏はアルテアはエンジニアが多くいる会社なので、ワークフローの把握や支援ができるポイントについて、因果の把握、産学連携を含めてサポートを進めていきたいと述べた。

登壇者プロフィール

<実施概要>
名称:ラウンドテーブル 「金融機関は生成AIで成果を生み出せているのか〜収益向上のJourney〜」
日時:2025年2月25日(火)13:30〜14:30
会場:アルテアエンジニアリング株式会社 日本オフィス(東京都中央区京橋2-2-1 京橋エドグラン14階)
登壇者:
・アルテアエンジニアリング株式会社 営業本部 金融法人担当 セールスマネジャ 及川 恵一朗氏
・東京大学 大学院工学系研究科 和泉 潔 教授
■アルテアエンジニアリング株式会社
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