デジタル領域におけるマーケターの興味と無関心(?)を一手に引き受けていると言えるCookie消滅。DIGIDAY[日本版]では毎日平均1本のCookie関連記事が公開されている。

Cookieの記事と言っても、プライバシーサンドボックスの技術的問題や規制面での懸念、代替ソリューションの現状など、各トピックの粒度はさまざまだ。毎日Cookieに関するニュースならすべてを読む、というのは気が滅入る話だ。

Media Briefing[日本版]では多忙なマーケター、エージェンシー関係者、パブリッシャーたちが5分程度で手軽にCookieにまつわるトピックを把握できるよう、先週のCookie関連ニュースをざっくりとまとめている。

プライバシーと市場競争は両立しないのか? 大きすぎるGoogleの存在感が引き起こす問題とは



サードパーティCookie廃止のそもそもの目的は、高まり続けるデジタル上でのプライバシーセーフを求める声に応えるためだった。CookieなきChromeでターゲティングや測定、不正防止を継続する手段としてGoogleはプライバシーサンドボックスを提案しているが、これが広告業界におけるGoogleの支配力をさらに強化するのではないかという疑念も生じている。

極めて単純化してしまうと「Cookieなきプライバシーセーフな環境」を優先するか、「公平な競争が実現するデジタル広告市場」を優先するか、という二者択一に陥りつつあるのが、現在のポストCookieが置かれている状況だ。しかし、デジタル上でのビジネスモデルをより持続可能なものにするためには、競争とプライバシー保護のバランスを取るしかない。

関連する記事

プライバシーサンドボックス開発は差し止めるべきなのか。 プライバシーと競争の両面から寄せられる懸念

プライバシーサンドボックスはパブリッシャーや広告主にどれほどの価値をもたらすのか、検証テスト始まる



3月中旬〜4月上旬ごろから、アドテクベンダー各社がプライバシーサンドボックスでも特に重要な3つの機能、プロテクティッドオーディエンスAPI、トピックスAPI、アトリビューションレポーティングAPIのテストに着手している。テストで検証されるのは、「支出に見合う効果をプライバシーサンドボックスが実現できるのか、その効果を正確に評価できるのか」。つまり、CPMとROASのバランスだ。

現時点でCookie廃止が実現しているのはChromeのトラフィックの1%という限られた量だ。ただでさえ部分的にしか準備が整っていないプライバシーサンドボックスを限定的な条件でテストするのは困難だろうが、不確実性と憶測に覆われてきた「問題」に対処するための貴重なインサイトを得るチャンスでもある。

関連する記事

プライバシーサンドボックスの「安定性テスト」期間が始まる。CPMとROASの「安定」は実現するか

Cookieレスで世はまさに大ファーストパーティデータ&リテールメディア時代。ただしマーケターは概ね冷ややか



Cookie廃止の話は3〜4年前からあり、当時から多くの広告主はファーストパーティデータやゼロパーティデータに注力し始めていた。この傾向は加速しつつあり、米DIGIDAYの調査によると、サードパーティCookie廃止に向けて積極的に準備を進めていると答えたのは2021年にはブランドプロフェッショナルの56%だったが、2023年半ばには72%になった。

Cookieレスで生じるターゲティングと測定ギャップを埋めようと、ますます多くのエージェンシーが消費者パネル調査やファーストパーティデータに大きく賭け、リテーラーは自社が持つオーディエンスインサイトを売りに出して新しい収入源の開拓を狙っている。だがこれまでのところ、マーケターはおおむね冷ややかな様子のようだ。それもそのはず、データとはパズルのピースであって、メディアバイイングやマーケティングだけでなく、そもそも事業全体にどのような影響を与えるのかを把握する必要があるからだ。

関連する記事

Cookieレス時代突入で、ファーストパーティデータ狂想曲が始まる。マーケターのとるべき道は

ファーストパーティデータ全盛期はパブリッシャーにとって一番の稼ぎ期?



空前のファーストパーティデータブームの波に乗ったのか、米国では一部のパブリッシャーがファーストパーティオーディエンスデータとコンテクスチュアルターゲティングの利用に際して、標準的なCPMに最低でも2ドル(約300円)を上乗せして請求するようになったという。CPMに2ドル以上の上乗せというのは、商品カテゴリーや広告主の予算規模によってはかなりの高額になりうるため、CPMと切り離し、キャンペーンの効果を上げるツールという新たな枠組みで提案することを試みているパブリッシャーもいるようだ。

もちろん、すべてのパブリッシャーがファーストパーティデータの使用料上乗せで、CPMの上昇を享受しているわけではないだろう。しかし、パブリッシャーにとっていま現在の状況は、これまでになく自分達が有するデータ(カスタムオーディエンスデータなども含め)の価値を提案できるチャンスに溢れている。データは多くの広告主にとってあって当たり前、最低限必要なものとなる。勝ち組になるのは、質の高いデータを持ち、そのデータの無制限の移動やアクセスを可能にするパブリッシャーだ。

関連する記事

Cookie消失によって価値を増すファーストパーティデータ。パブリッシャーは利用にあたって「追加料金」を求めるように