「消費者の共感を呼んでいるのは、メタバースという名前ではなく、利便性やカスタマイズの方だ」と、ミシガン大学(The University of Michigan)のマーケティング教授で『フォー・ザ・カルチャー(For The Culture)』の著者であるマーカス・コリンズ氏は言う。「人々は自主性を望んでいる。自分たちの望む方法で、望むときに、自分の裁量で買い物ができる主体性を望んでいる」。メタバースの盛り上がりが収まった後、いくつかのブランドはメタバース戦略を縮小しはじめた。たとえば、ウォルトディズニー(Walt Disney)はメタバース戦略を計画するチームの規模を縮小し、ソーシャルメディア大手のメタ(Meta)は2019年以降、約465億ドル(約6兆8400億円)の損失を出した。しかし、バーチャル空間への関心はなおも増しつつある。メタバースプラットフォームであるロブロックス(Roblox)の第3四半期の決算レポートによると、1日の平均アクティブユーザー数は前年同期比20%増の7020万人に達した。フェンティビューティー(Fenty Beauty)やメイベリンニューヨーク(Maybelline New York)のような美容品ブランドは、ロブロックス上で没入感のある空間やアクティビティの開発を続けてきた。ロブロックスは13歳以下の子どもたちの人気を獲得したが、特定の関心分野に特化したニッチなコミュニティも存在する。メイベリンニューヨークは、バーチャルDJのカイ(Kai)とのパートナーシップにより、ロブロックス上での最新のブランドキャンペーンにおいて、同プラットフォーム上の「活気のある音楽コミュニティ」の注目を集めることを特に狙ったとプレスリリースで述べた。非営利のデータ標準化組織GS1 USでイノベーションとパートナーシップ担当シニアバイスプレジデントを務めているメラニー・ヌース・ヒルトン氏は、これらのバーチャル店舗を利用することで、ブランドはより幅広い消費者にリーチできると語る。実店舗の近くに住んでいないユーザーは、ブランド体験を十分に味わえないことが多い。「没入型体験の重要な利点は、非常にさまざまなペルソナの利用者にアピールできることだ。実店舗とデジタルを結びつけるというアイデアは、ますます関心を集めている」とヒルトン氏は話した。
ただし、バーチャル店舗が効果的に売上を促進することを示すデータは多くないとも、ミンコウ氏は述べる。さらに、ブランドがバーチャル店舗のようなメタバース体験に投資すると、投資回収を生み出せる可能性があるほかの分野から資金を奪うことにもなる。「これにより、ほかのルートから投資を奪ってしまう。一般的に従来のルートよりもオーディエンスが少なく、売上の可能性も小さいとわかっているルートを追い求めることになる」と、同氏は述べている。[原文:Virtual stores are taking center stage in brands’ holiday metaverse strategies] Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)Image via J.Crew