佳境を迎える年間女王タイトルにシード権争い【原田香里のゴルフ未来会議】
今年から、年間女王をはじめ、リランキングやシード権など、すべてにおいて賞金ではなく、ポイント制のメルセデスランキングが使われるようになりました。同じ順位でも大会ごとに賞金額が違っていた去年までと違い、すべての大会で順位に応じた平等なポイント配分がされています。
3日間大会なら優勝は200ポイント、4日間大会ならその1.5倍の300ポイント。公式戦は3日間大会の倍、400ポイントが得られます。2位以下も、大会による配分の割合は同じです。海外メジャーも加算されるのが、これまでと大きく違うところです。こちらは国内公式戦のさらに2倍、優勝なら800ポイント獲得となります。
この年間レースで現在トップに立っているのが、山下美夢有さんです。シーズン序盤にすごい勢いで5勝した西郷真央さんが首位でツアーを引っ張っていたのですが、長期の海外遠征などで日本を離れたりしたこともあり、5月の「ブリヂストンレディス」以降、勝利から遠ざかっています。
一方の山下さんは、5月の「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」で優勝。公式戦なので400ポイントを獲得しました。次に勝った「宮里藍サントリーレディスオープン」も4日間大会なので300ポイント。さらに海外メジャー「AIG(全英)女子オープン」13位でもポイントを手にしてます。
その甲斐あって、8月末の「ニトリレディス」終了後には、西郷さんを逆転。「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」優勝を挟んで、「サントリー」から13試合連続トップ10入りなどで着実にその座を守っています。
年間女王を争うような選手たちにとって、今週を含めて残りは6試合。いよいよ戦いは激しさを増していきます。選手たちはいったいどんな気持ちでいるのでしょうか。
目標をハッキリと口にする傾向が以前よりも強い最近の選手たちですが、言葉にしてもしなくても、誰もが「チャンスがあれば年間女王になりたい」と狙っているのは間違いありません。私も、不言実行型でした。1996年と98年の2回、女王タイトル(当時は賞金ランキング首位)に手が届きそうなチャンスがあったのですが、残念ながら2度ともかなわず2位に終わっています。
口にはしませんでしたが、心の中ではずっと「賞金女王になりたい」と思っていました。1回目にチャンスが来たときには「私でもここまで来られるんだ」と思ったのをよく覚えています。
争いごとには必ず勝ちたいタイプ、つまり負けず嫌いだったのですが、黙って成績を出してタイトルを獲ったほうがカッコいいような気がしていたのです。2回目のときは、本当にタイトルが欲しいと思っていました。それを目標にして、そのために毎日を過ごしていたのですから。女王になるかならないかは、後になって大きな違いが出ます。「〇年賞金女王」という肩書は一生ついて来るからです。
その年間レースをハッキリと意識し始めるのが、10月半ばを過ぎたまさに今頃からです。事あるごとにメディアにそのことについて質問され、取り上げられる。1試合、1試合の結果だけでなく、シーズンを通したツアーとしてわかりやすい形がこの女王レースだからです。
先ほど、私が負けず嫌いだといいましたが、アスリートはみな、間違いなく負けず嫌いです。特に個人スポーツのゴルフは、負けず嫌いの集まりといっても過言ではありません。そうでなければ、自分でコツコツ努力を続け、毎週毎週、厳しい戦いの場に身を置き続けることは難しいはずです。
シーズン終盤になってくると、疲労も蓄積してきます。平均年齢が若い最近の選手たちは、あまり試合を休みませんが、体調不良や故障、休養などで、試合をお休みすることもあるでしょう。そんなとき、賞金ランキングを使っていた昨年までだと、どうしても賞金の大きな試合に出て、お休みは他の試合を選ぶ傾向がありました。ポイント制になった今年は、そういうことは減り、コースとの相性などを考えるようになったのではないでしょうか。ポイント配分の大きな4日間大会を優先するということもあまりないのではないかと思います。
制度変更の1年目ということもあり、試行錯誤の部分はまだあると思いますが、ラッキー、アンラッキーが少なく、より実力が反映される形で、タイトルレースは進んでいくはずです。泣いても笑っても、残りは6試合。誰もが優勝を狙うのはもちろんですが、少しでも上位に、という気持ちがより強くなる大事なシーズン終盤に、それをコントロールしながらいいプレーがどれだけできるのか。
先週、「富士通レディース」で連覇を飾った古江彩佳さんだけでなく、米ツアー組もプレーする可能性がある終盤戦は、これまでとは様相が少し変わってきます。毎週のように激戦が繰り広げられるツアー終盤戦。タイトルレースも含めて、楽しんでください。
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