昌平高からプロ入り――FC東京内定のMF荒井悠汰、鹿島内定のDF津久井佳祐。両クラブのスカウトが明かす獲得の舞台裏
会場には両チームのフラッグとマスコット、ユニホームが展示され、荒井、津久井の2選手に加え、昌平高の城川雅士校長と藤島崇之監督、FC東京・強化部スカウトの吉本一謙、鹿島・プログループスカウト担当の牛島真論が揃った。
緊張した面持ちで、多くの報道陣が詰めかけた会見の席に座った2人。フィジカル的な強さと足もとの技術を持ち、藤島監督からも「昌平らしくない選手」と評されるほど、柔剛兼用のアタッカーである荒井は、「FC東京はゴールキーパーからビルドアップとワンタッチを駆使して丁寧に組み立てますし、サイドの選手はドリブルで仕掛けるタイプが多かったので、自分のプレースタイルと合っていると思いました」とクラブの印象を語った。
さらに「いち早く試合に出て、FC東京の勝利に貢献したいですし、そのために練習後に対人をもっと鍛えて、両足のキックやボールコントロールを磨いていきたいと思います」と将来の展望を語ってくれた。
CBとしてビルドアップの能力に長け、ドリブルでの持ち出しと、左右両サイドや前線に通すことができる長短の正確なキックが売りの津久井は、「鹿島は常勝軍団なので、僕の勝ちにこだわる姿勢を見てほしいです。僕は代表に一度も入ったことがなくて、周りがどんどん入っていくなかで、凄いと思いながらも悔しかったので頑張りたいし目ざしたい」と意気込みを口にした。
両スカウトもそれぞれの選手の獲得経緯を説明。鹿島の牛島スカウトは、「津久井選手は昨年からCBとして守備の中心でプレーをしていて、何度か試合を見させてもらうと、最後の最後に津久井選手がいるんです。カバーリングが的確で、相手が嫌なところにいる選手だなと思っていました」と、高い危機察知能力に着目した。
さらに獲得の決め手となったのは、7月下旬のインターハイだったという。津久井は準々決勝の大津戦で、前半21分に右足を負傷。準決勝は松葉杖姿で試合を見守り、チームは帝京に0−1で敗れた。
「もちろん本人は怪我をして不本意な大会になったと思いますが、我々はそこでのパフォーマンスを見て、将来、鹿島アントラーズで活躍できるような選手になれると思ってオファーをさせてもらいました。まずは怪我をしっかりと治してほしいと思います」(牛島スカウト)と、怪我をする前のプレーが評価されての獲得となった。
FC東京の吉本スカウトは、「昌平高校さんから初めてFC東京に加入。我々を選んでくれて嬉しく思っております。荒井選手はFC東京が目ざしているJ1初優勝、勝ち続けるチームになること、そこから世界に羽ばたく選手を送り出していくという理念と一致したことが一番の獲得の理由です」と語った。
吉本スカウトは荒井が1年の頃からずっと注目しており、「ほぼ昌平高校のスタッフなんじゃないかというくらいでしたね」と笑ったように、頻繁に昌平の試合に足を運んでいた。
「プレー面ではしっかりとした技術と強さを兼ね揃えていて、ドリブルで剥がせていける選手。ピッチ外では向上心が高い。実際にルヴァンカップも3試合出場していますし、リーグ戦でも1試合メンバー入りしています。これからも一緒に成長してほしい」と期待を口にした。
さらに吉本スカウトは、会見の場でアルベル監督からメッセージがあると伝えた。
「若手選手の持つべき、挑む姿勢だったり、ミスを恐れずにチャレンジする姿勢。これは昌平高校さん、FCラヴィーダさん、ご両親や家族の教育のおかげで養われたものなので、感謝を伝えてほしい」
アルベル監督からの思わぬエールに荒井は、「素直にすごく嬉しいです。ドリブルでミスを恐れずに仕掛ける姿勢はとても大切だと思うので、1年目からどんどんチャレンジしていきたい」と笑顔を見せる一幕もあった。
これで昌平高からは7年連続でJリーガーが誕生。荒井と津久井を含めて計16人に。さらに近年は昌平高の下部組織にあたるFCラヴィーダ出身の選手が増えており、荒井と津久井もラヴィーダ出身。6年のスパンでの育成が形となっている。
来年以降もプロ入りが期待される1、2年生がおり、この記録はさらに続くかもしれない。先輩の姿を見て、後輩が育つ。昌平高に良いサイクルができ上がっていることを実感できた合同記者会見であった。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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