ツアイス名レンズの「ボケ」効果を再現! トップを狙うvivoのカメラスマホ

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スマートフォンカメラ性能で圧倒的な高さを誇っていたファーウェイが市場で存在感を失ってから、カメラフォンの戦いは混とんとした状況となっている。

そんな中で、日本にはまだ上陸していないvivoは、カメラ性能で一気に上位メーカーを追い抜こうとしている。

vivoは2020年に発売した「vivo X50 Pro」で世界初というマイクロジンバルをカメラに搭載。光学式やセンターシフト式よりも強力な「ぶれないカメラ」で、動画撮影性能を一気に高めた。

vivoはその後も「X60」「X70」とカメラフォンの新機種を半年ごとにリリースし、2022年4月には最新モデルとなる「X80」シリーズを発表。最上位モデル「X80 Pro」はカメラの性能だけではなく写真に「味わい」を与える、老舗レンズの風合いを再現したフィルターを搭載している。


カメラ性能を強化したvivo X80 Pro


X80 ProはチップセットにクアルコムのSnapdragon 8 Gen 1またはメディアテックのDimensity 9000を搭載するハイスペックなスマートフォンだ。
今や各メーカーのAndroidスマートフォンのフラッグシップはこれらチップセットを搭載しており、スマートフォンの本体動作やカメラのAI処理に優れた性能を発揮する。
撮影した写真の不要な部分を指先でなぞって消去する、といった操作も高スペックなチップセットだからこそできるAI処理だ。なおどちらのチップセット搭載モデルも価格は同じ5999元(約11万7000円、中国モデル価格)で販売される。

X80 Proはカメラを4つを搭載し、それぞれに特徴がある。
・5000万画素:広角。X80 Pro専用センサー、光学手振れ補正
・4800万画素:超広角。マクロ撮影対応(最小距離3.5cm)
・1200万画素:ポートレート(2倍望遠)、マイクロジンバル搭載
・800万画素:望遠性能光学5倍、デジタル60倍、光学手振れ補正

4つのカメラを見てみると、メインの広角カメラには専用開発したセンサーを搭載し画質を大きく高めた。また2倍望遠はポートレート撮影を強化し、静止画でも動画でもぶれない人物撮影を行うためにマイクロジンバルを搭載した。そして望遠は潜望鏡式のペリスコープカメラを搭載、光学5倍、デジタルでは60倍の撮影に対応する。


X80 Proは特徴的な4つのカメラを搭載する



vivoは老舗のカメラレンズメーカー、ツアイスとも提携しており、カメラ部分には同社の青いロゴが入っている。この青いロゴはソニーのXperiaシリーズにも印刷されており日本人にもちょっと知られているだろうか。X80 Proのカメラのレンズはどれもツアイスの「ZeissT *レンズコーティング」が施されている。レンズ部分への反射を抑えるなど美しい写真撮影に一役買っている。

またX80 Proは写真の仕上げを彩る様々なフィルターを搭載しているが、ツアイス歴代の「名レンズ」と呼べるレンズのボケ味とフレア効果を復元した「レプリカツアイスクラッシックポートレンズ効果」も搭載している。
ツアイスならではのシネマティックなボケスタイルを再現できるという。たとえば以下のレンズのボケ・フレアを再現できるという。古くからデジタルカメラを使っているユーザーには気になるフィルターだろう。

・ZEISS Biotar 1.5/75
・ZEISS Distagon 2.0/28
・ZEISS Planar 2.8/80


ツアイスの名レンズのボケ味を再現できる


またそれだけではなくvivoは映像・カメラ関連を処理するために独自のチップセットを開発している。一般的なスマートフォンはチップセットを使って画像処理などを行うが、vivoは自社開発したチップ「V1」シリーズをカメラフォンに搭載。X80 Proには最新の「V1+」が搭載され、暗所での撮影性能などを高めている。


ボケのある動画や、暗所での写真撮影もX80 Proは得意とする


vivoは日本では無名なものの、世界のスマートフォン出荷台数ではトップ5位に入る実力のあるメーカーだ。
ここ数年スマートフォンの出荷台数ではサムスンが首位、2位をアップルとシャオミが争い、そのあとにOPPOとvivoが顔を出している。vivoは低価格モデルも多数展開しているが、メジャーメーカーにも負けないハイスペックなカメラフォンを出すことでブランド力と認知度をじわじわと高めている。

もしも日本にカメラフォンをひっさげて参入したら、意外に人気製品となるかもしれない。マイクロジンバルやツアイスフィルターなど、他社とはちょっとことなる方向性を向いたvivoのカメラ開発の動きには今後も注目したいものだ。




執筆 山根康宏