100年の伝統を携えた『OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー 春のおどり」』公演中止乗り越え、新たな歴史の1ページを刻む
OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー 春のおどり」 2022.2.18(FRI)~20(SUN)大阪松竹座
OSK日本歌劇団による『OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー 春のおどり」』が2月18日(金)、大阪松竹座にて幕を開けた。
「春の彼方」
第一部は山村友五郎、藤間勘十郎、尾上菊之丞がリレー形式で演出と振付を担った和物レビュー「光」を上演。暗転の中、「春のおどりはーよいやさー!」で拍子木が鳴ると、一斉に明かりが点灯。舞台には黒を基調にした袴姿の劇団員が勢ぞろい。山村友五郎による第一章「花の巻」は、二羽の鶴に見守られる中、楊琳、舞美りら、千咲えみら28人の劇団員の総踊りからスタートした。
桐生麻耶
100周年を祝う「三番叟」では、持ち前の明るさがダイレクトに反映されたような軽やかな足取りの楊が印象的。ここでは特別専科の朝香櫻子と桐生麻耶も千歳と翁に扮して登場、舞台がぐっと引き締まる。
遥花ここ
虹架路万
愛瀬光
藤間勘十郎による第二章「夢の巻」では江戸吉原の世界が立ち現れる。前半は、今年7月に退団公演が控える男役スター虹架路万、愛瀬光、娘役スターの遥花ここが大活躍。名古屋山三に扮した愛瀬は、立廻りではしごに登るダイナミックな見せ場で会場を沸かせた。
翼和希
楊琳と唯城ありす
後半では今後の活躍が期待される翼和希が写楽に、唯城ありすが白夜太夫に扮し、舞台をリードする。また、琥珀太夫の楊が燕尾服の紳士に早替りすると、パリ、ムーラン・ルージュの世界が現れるなど、歌舞伎のけれん味もたっぷり楽しめた。
「月の鏡」
尾上菊之丞による第三章「光の巻」は、月や星の光を彷彿させるステージを。隊形を組んだダンスや詩の朗読など、「和物レビュー」の概念をはるかに超えた、全く新しいレビューを展開。シックにまとめた舞台美術や衣装も印象的だったが、それだけに劇団員一人一人から放射される「光」の強さに目を奪われた。明るく、強く、しなやかでありたおやか、不屈の精神もあり……と、彼女たちを形容する要素が無数のきらめきとなって光り輝いていた。
楊琳

千咲えみら
第二部は荻田浩一作、演出による洋物レビュー「INFINITY」を。ラテンのナンバーからスタートし、「黒のINFINITY」ではブラック・パンサーに扮した舞美、城月れいがキュートな魅力をふりまき、男役の壱弥ゆう、椿りょうもブラック・マンバで登場。「ビバ!OSK」ではMR.OSKの楊を先頭に颯爽と華麗なダンスを披露、フレンチカンカンの衣裳に身を包んだ娘役たちも咲き誇る花のように美しい。
「群衆」
第二章は1926年の「春のおどり」第1回公演でも披露された「アルルの女」を。ラテンテイストにアレンジされたサウンドが情熱的だ。そこに現れたのは漆黒の存在感を示す影の男の楊。「群衆」でも踊る男と踊る女たちの間で、クールで謎めいた魅力を放った。
舞美りらと椿りょう
ステージはレビュー生誕の地、パリへ。燕尾服の淑女や紳士、レビューガールたちが鳥のように舞い、「ロケットダンス」の名で親しまれているラインダンスも披露。舞台がぐっと華やいだ。「My Blue Heaven~恋のステップ」から始まった第四章は、朗らかな楽曲に合わせたタップダンスで心も軽やかに。懐かしい映画音楽のようなサウンドも印象的だ。劇場全体を包み込むような桐生の歌声も堪能、その声に身をゆだねた。
ラインダンス
翼和希ら
第五章は伝統の「ジャストダンス」を。語り継がれる「ダンスのOSK」の本領発揮、切れのある最も新しい「ジャストダンス」を披露した。フィナーレの第六章、冒頭は旅人に扮した翼がソロで歌唱、旧約聖書『創世記』の世界観で引き込んだ。
「虹色の彼方へ」
一転、ロックサウンドの「光のINFINITY」では流れるような群舞で観る者をくぎ付けにした。そして、創立70周年を記念して作られたイメージソング「虹色の彼方へ」で本編を締めくくった。
楊琳
アンコールでは感極まった声色で「帰ってまいりました!」とあいさつした楊。そして「本日、初日を迎えることとなりました。こうして無事に大阪松竹座の舞台に帰って来られたこと、そしてこんなにもたくさんのお客様に迎えていただいたこと、私たちの「春のおどり」を待ち望んでくださったことが本当に今、嬉しくて仕方がありません。本当に本当にありがとうございます! こうして無事に初日の幕が開き、皆様のこんな素晴らしい拍手に迎えられ、私たちの日々の努力、スタッフの努力が報われた気がします。3日間ではございますが、千秋楽まで全員で、全身全霊で勤め上げます! 皆様のお気持ちに全力でお応えします! 本日は誠にありがとうございました」と続け、両手を胸に添えて、ほっとした表情で客席を見渡した。
「桜咲く国」
最後は1930年より歌い継がれているOSKのテーマソング「桜咲く国」を披露。先日行われた100周年記念式典でも登場した満開の桜を背景に、おなじみの桜パラソルでさらに花を咲かせ、初日の幕を閉じた。
取材・文=Iwamoto.K 撮影=田浦ボン
