「仕事に集中できなくてイライラする」そう考えている人が根本的に勘違いしていること
※本稿は、中島輝『あなたは、もう大丈夫。「幸せスイッチ」が入る77の言葉』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■今までごまかせていた不安が吹き出してきた
コロナ禍以前のわたしたちは、毎日を慌ただしく過ごすなかで、あえて自分を顧みる機会が少なかったのかもしれません。
あるいは、将来のことのようなあいまいな不安を解消しなくても、毎日会社や学校へ通い、目の前の仕事や勉強、飲み会、イベント、またはスマホなどに時間を費やすことで、なんとなくごまかせた面があったのかもしれません。
でもいまは、あらゆる不安を具体的に解消できずに、ごまかせない部分が吹き出してしまっているようです。
不安と向き合うために必要な姿勢として、「ありのままの自分」でいる大切さについてお伝えします。
「ありのままの自分」とは、「自分という存在のあるがままを受け入れる」という意味です。そうするにはいったいなにをする必要があるでしょうか?
わたしは、大きくふたつのアプローチがあると考えています。
■集中できない自分にイライラしてしまう理由
ひとつは、いまここにあるという意味での「ありのままの自分」です。
例えば、勉強や仕事をしていると、「なんかイライラするなあ」「どうして集中できないんだろう?」と思うことってありますよね?
これは「集中できていない自分」にフォーカスし過ぎている状態で、オーストリアの精神科医、ヴィクトール・フランクルが提唱したフランクル心理学では、「過度の自己観察」「過度の自己反省」と呼ばれます。
ならば、この“過度”を取り除くにはどうすればいいか?
それは、「集中できていない状態の自分がいまここにいること」を、ただそのまま客観視することです。
つまり、いま集中できていない自分を「メタ認知」(※1)して、意識レベルで自分を許してあげる。イライラしている自分の状態をことさらに嘆くのではなく、そのまま認めてあげるということです。
※1:自分の行動や考え方、性格などを別の立場から見て認識すること
■「空を見上げる」ことで過度の反省から解放する
「いまはやる気が出ないけれど、おさまったらまたやれるから大丈夫だよ」と許してあげて、目の前のうまくいかないことではなく、違う方向へと目を向けていく。
余計な判断を加えずに、ただいまの自分の状態を眺めていくと、過度の反省が減っていくとされています。
これは禅やマインドフルネス(瞑想)にも通じる方法で、難しく感じる人もいるかもしれませんが、実は「ただ空を見上げる」「身の回りをちょっとだけ片づける」「その場を離れて軽く歩いてみる」など、日常のなかで実践できる簡単な方法がたくさんあります。

とにかく「ありのままの自分」でいるためには、なるべく自分を責めないことが大切です。
「あ、いまイライラしているな」
「だったら5分休憩して空を見に行こう」
そのようにほんの少し意識を変えるだけで、いまここにある自分を取り戻すことができるでしょう。
■社会の常識に知らずに束縛されている
もうひとつのアプローチは、自分のメンタルを「自由」の方向へと開放していく、本来の自分という意味での「ありのままの自分」です。
わたしたちは実に多くのものごとをモデリング(※2)して生きています。例えば、日本で生まれ育った人が、自然と日本語を読み、話すようになるのもそのひとつです。
※2:なにかの対象物を見本にしてそれと同じような動作や行動をすること
ただ、そうして生きていると、多かれ少なかれその社会での常識や価値観、多数者の意見などに強く影響されていきます。
「学校にはちゃんと行かなければならない」
「いい会社に入らなければならない」
「みんなと一緒に盛り上がらなければならない」
というふうに、社会で広く共有される考え方に、知らないうちに束縛されてしまうわけです。
では、束縛の反対はなんでしょうか?
それは「自由」です。
つまり、あなたがいまどんな環境にあろうとも、いまここから、「本当に自分の好きなことをやってみる」こと。本当に楽しく感じることや、自然と心がワクワクするものに挑戦すること。
それが、「ありのままの自分」でいるために大切な姿勢となります。

■まわりの価値観に縛られて時間だけが過ぎていく
自由とは、自分のメンタリティーを開放することです。
まわりの意見や価値観に束縛されているのは、客観的に見ればそれらに依存している状態ともいえ、放っておくとなかなか抜け出せなくなります。
とくに日本社会は同調圧力が強いといわれますから、メンタリティーを開放するのは最初は難しく感じるかもしれません。
「出過ぎた杭は打たれない」といいますが、なんとかして自分を開放させたいと思いながらも、「出る杭にもなれない」無力感を抱えている人がとても増えていると、わたしは自分の講座などを通じて感じています。
でも、これからの時代は、本当に自分の好きなことに打ち込む「自由のメンタリティー」を持っていなければ、自分にとっての大切な一歩が踏み出せず、時間ばかりが無為に過ぎていくことも往々にして起こり得ます。
■自己肯定感を根付かせて不安をエネルギーに変える
もちろん、ただ自分が好きなことを自由にやるだけでは、快楽だけを追い求めたり、自分の主義主張にこだわり過ぎたりして、身勝手な人になりかねません。
そうではなく、大切なのは、自由には「責任」がともなうのを知ること。

そして、自由の裏にある責任を果たしていくことで、「ありのままの自分」の存在意義を感じることなのです。
自分のやりたいことを自由にやるためには、つらいことや障害があっても、「がんばろう」「楽しもう」と思えるための「よすが」が必要です。
それは自分の価値観や信念かもしれないし、かみ砕いていえば、「自分が本当に大切にするもの」です。
それを持つためにも、やはり「本当の自分とはなにか」をあらためて考える時間をつくり、「ありたい自分」の姿を描くタイミングが来ていると感じます。
「ありのままの自分」で生きることは、「自己肯定感」を持って生きる姿勢につながっています。
自己肯定感が自分のなかにしっかり根づいていれば、不安を感じても、強いエネルギーに変えていくことができます。
とくに一般の人よりも不安を多く感じてしまう人は、ぜひ「わたしは多くの不安を感じられるエネルギーに満ちあふれているんだ」と、とらえ直してみてください。
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中島 輝(なかしま・てる)
心理カウンセラー
自己肯定感アカデミー代表、トリエ代表。困難な家庭状況による複数の疾患に悩まされるなか、独学で学んだセラピー、カウンセリング、コーチングを10年以上実践し続ける。「奇跡の心理カウンセラー」と呼ばれメディア出演オファーも殺到。著書に『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』『書くだけで人生が変わる自己肯定感ノート』『自己肯定感diary 運命を変える日記』(すべてSBクリエイティブ)、『1分自己肯定感 一瞬でメンタルが強くなる33のメソッド』(マガジンハウス)、『習慣化は自己肯定感が10割』(学研プラス)などがある。
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(心理カウンセラー 中島 輝)
