42.195キロを1人の監督で走らなければならないという決まりはない。息切れを起こしたなら監督を変えればいい。簡単な話だ。そして、息切れを起こしているかどうか、常にチェックしている必要がファンやメディアそして協会にはある。

 振り返れば日本には、息切れを起こしているのに見過ごした過去がある。2006年ドイツW杯を目指したジーコがそうだった。2005年の後半からそれは顕著になっていた。だが、アジア予選を突破していたこともあり、ファンもメディアも協会もそれを放置した。2014年ブラジルW杯を目指したザッケローニも、ジーコとほぼ同じパターンだった。

 2010年南アフリカW杯を目指した岡田武史監督は例外だった。アジア予選を突破するや失速。解任すべしの声を浴びながら、悪い流れで本大会に向かっていった。ところが本番で、岡田監督はまるで別の人格が乗り移ったかのような新たなアイディアを突如、披露した。自分の中で過去の自分を否定し、新監督として本番に臨んだという感じだった。

 いろんなサッカーを長く見てきたつもりだが、この時の岡田監督にはほんとうに参った。吃驚仰天させられた。しかも、そこで岡田監督が実践したサッカーは、こちらがそれまで指摘してきた通りのものだった。文句なしのサッカーを最後の最後に演じて見せたのだ。森保監督に、この芸当ができるなら、黙って見守りたいが、その可能性は低いと踏む。森保監督は見た目と違い、かなり頑固だ。自己否定してみせる頭の柔らかさは、おそらく持ち合わせていない。

 次戦サウジアラビア戦(7日)は、スタメンの顔ぶれと交代枠の使い方に注目だ。森保ジャパンの行く末は、この2点で占うことができる。とくと目を凝らしたい。