年内テーパリング発言受けてドル相場に膠着感か? 外為オンライン佐藤正和氏
――「ジャクソンホール」後の金融相場をどう見れば良いのでしょうか?
パウエル議長は「テーパリングは年内に開始するのが適当」と述べ、インフレ目標や労働市場についても、資産購入の縮小を年内に開始するレベルに達しているとの考えを示し、その半面で5%の失業率は依然として高く、「デルタ変異株の感染もさらに拡大しており、今後入手するデータと変化するリスクを慎重に見極めていく」と語っています。
こうしたメッセージを受けて考えると、とりあえず9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でのテーパリング示唆の可能性は極めて低く、10月はFOMCがないため、11月もしくは12月のどちらかでメッセージが出されるものと考えていいと思います。ただ12月は企業決算が集中するため、11月にテーパリング開始のメッセージが発信されて、実際のスタートは2022年の年明け早々になるのではないでしょうか。
――9月の注目すべきイベントとは……?
とりあえず9月3日には、8月の米国雇用統計が発表されます。7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は94万3000人の増加と大きく伸びましたが、8月の予想では75万人となっています。7月よりも20万人ほど下がる予測ですが、その反面で失業率は7月の5.4%から5.2%に改善する予想が出ています。
仮に、100万人を大きく超えるようなサプライズがあった場合には、9月のテーパリング開始の表明もひょっとしたらあるかもしれませんが、その可能性は低いのではないでしょうか。とはいえ、9月は失業給付金の増額支給が終わるため、雇用統計には注目する必要があると思います。
その他のイベントとしては、日本の総選挙の動向が注目されるところです。9月解散説も浮上しており目を離せない状態です。ただ、株式市場にはプラス材料になるかもしれませんが、為替はあまり大きな影響を受けないかもしれません。
また、日経新聞が報道したように新型コロナウイルス感染拡大に対する支援策や脱炭素の実現に向けた成長戦略などの経済対策を立案する動きがあるようです。選挙対策という見方もありますが、実現すれば株式市場等には好材料になるかもしれません。ただ経済対策=景気刺激策で円が買われる、といった動きにはつながらない可能性が高いと思います。
――9月の金融相場は、どんな動きになるのでしょうか?
欧州では、ドイツの8月のCPI(消費者物価指数、EU基準速報値)が3.4%と28年ぶりの高水準になるなど、ウィズコロナの動きに合わせてインフレ気配が出ているようです。またメルケル独首相が引退するスケジュールも迫っており、しばらくは不安定な動きがあるかもしれません。
一方、オーストラリアでは一時期利上げが近いのではないかとも言われていたのですが、新型コロナの再感染が拡大し、再びロックダウンに入っている地区が多いようです。真冬と言うこともあり、しばらく金融緩和はお預けというところでしょうか。
