金門の草むらを歩くクジャクの群れ=市民提供

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(金門中央社)離島・金門で野生のクジャクが過剰増殖している。県によれば、生態系に害が及ぶ恐れがあることに加え、農作物被害や騒音なども生じているという。県は排除計画を進めている。

県建設処によれば、野生のクジャクが急増したきっかけは1999年の台風襲来。県畜産試験所の獣舎が強風によって壊れ、クジャク12羽が逃げ出した。畜産試験所の調査によれば、クジャクの年間観察数は2011年は252回だったものの、2019年には450回まで増加。昨年は1353回に跳ね上がった。建設処は、県内に生息する野生のクジャクは1000〜2000羽の間だと推計している。

金門の牧場では、特産のコーリャン酒の醸造過程で出る酒かすを牛や羊の飼料としている。野生のクジャクは酒かすを好んで食べることから、牛や羊の食べ物を奪うことになるほか、酒かすが汚染されやすくなるとの問題もある。また、繁殖時期には求愛の尖った鳴き声が早朝3、4時から聞こえるため、市民からの苦情が県に相次いで寄せられているという。空港や道路へのクジャクの侵入による事故の発生も懸念されている。

県建設処農林科の鄭向廷科長は、クジャクの数量はすでに制御不能になっていると言及。2010年から行政院(内閣)農業委員会林務局が県にクジャク排除の補助金を出しており、県は2018年から、市民が捕獲したクジャクを1羽600台湾元(約2350円)で買い取っている。だが年間の捕獲数は平均30羽となっており、増殖の速度に追いついていない。

金門県野生動物救援・保護協会の陳光耀理事長は、金門にはクジャクの天敵がほとんどいないため、このまま増殖が続けば金門の在来種は消失してしまうと危機感をあらわにする。

県は近年、学者に委託して排除を進めているが、仕掛けた罠に牛が誤って引っかかってしまうトラブルが発生。最近は捕獲用ネットを設置する方法に切り替え、捕獲率の向上に期待を寄せている。県建設処は、排除方法は模索中の段階だと明らかにした。

県観光処の丁健剛処長は、観光の角度からみればクジャクは魅力的だとしつつ、生態系への影響や農作物被害を考慮すると、現時点でクジャク観光を語るのは時期尚早との見方を示した。

(黄慧敏/編集:名切千絵)