工藤 運用部門ではESGの観点を加味した運用をグローバルで実践しています。

 シュローダーの取り組みは国連責任投資原則(PRI)からも評価され、6年連続で「A+」という最高評価をいただいています。年間1750以上のエンゲージメント(建設的対話)を57カ国で実施しています。また、20年にわたりESG項目を運用プロセスに組み込んでおり、ロンドンのESG専任チームをはじめ世界の主要拠点にスペシャリストを擁し、独自の分析ツールの開発に携わるなど高い専門知識を有しています。

 シュローダー・グループで最初のESG専任担当を任命したのは1998年にまでさかのぼります。2007年には国連責任投資原則(PRI)に署名し、株式だけでなく、債券や不動産など様々な資産クラスにおいてESGの取り組みを拡大しています。2016年には日本株式とアジア株式のサステナブル運用戦略を設定しました。2017年、2019年に相次いで独自の革新的な分析ツールを開発しています。

 シュローダー・グループは、投資を通じてよりよい未来への貢献をめざしています。また、経験に裏打ちされたESG運用力があります。20年を超えるESG投資の経験のもと、独自の革新的な分析ツールを活用してESG投資の深化をめざしています。そして、ESG投資の高度化を推進しています。ESG投資の高度化を推進するため、お客さまのサステナブル投資に関する課題解決の支援、独自ツールを活用したESG投資のインパクトの評価、社会全体に向けた情報提供など、活動は多岐にわたっています。

 ――日本では最近になってESGへの関心が高まってきた背景は?

荒井 日本におけるESGは、安倍前政権、そして、世界最大の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が主導的な役割を担ってきました。

 日本では2014年2月にスチュワードシップ・コード(受託者責任を果たすための行動規範)が策定され、2015年に日本版コーポレートガバナンス・コード(企業統治/コーポレートガバナンス実現するための原則・指針)が策定されました。両コードは改訂を重ねており、2020年3月のスチュワードシップ・コードの再改訂においては、運用会社はESGを重視しなければならないことが明記されました。

 GPIFは2015年に国連責任投資原則(PRI)に署名し、当時の安倍首相がニューヨークにおける国連サミットで、そのことに言及しました。それ以降も、GPIFは日本株式のパッシブ運用でESG運用を開始するなど、ESGの流れが大きくなっています。

 そして、安倍前政権は最も重要な政策目標として「経済成長を引き上げ」と「デフレからの脱却」を掲げました。経済成長を引き上げるためには生産性の改善が不可欠であり、また、デフレ脱却には政治的にしっかりコミットしました。このような背景と株式持ち合い比率の低下と日本企業のグローバル化という構造変化があり、日本でのガバナンス改革が進展しました。

 日本株式市場では、既に外国人投資家の保有比率が30%程度に高まり、日本株式の最大の保有主体になっています。また、主に年金基金の保有である信託銀行の保有比率も高くなっています。これと対照的なのが銀行や保険による保有減です。かつては、銀行や保険会社が物言わぬ株主として株式を持ち合っていましたが、現在はそれが解消されました。一方、外国人投資家や年金基金が大きな保有者となったことで、大きな市場の規律をもたらしています。

 ――ESG投資でリターンが生まれるということがイメージしにくいのですが、この点はいかがでしょうか?