狭い檻で一生を過ごすことになったアルコール依存症の猿(画像は『New York Post 2020年6月18日付「Drunk monkey gets life behind bars for attacking 250 humans」(Kanpur Zoo)』のスクリーンショット)

写真拡大

インドペットとして飼われていた猿がアルコール依存症に陥り、次々と人を襲い死者が出るまでになってしまった。猿は更生するために動物園で過ごしていたが、その凶暴性が治らないとして死ぬまで独房のような檻の中で飼育されることが決まったという。『New York Post』『Gulf News』などが伝えている。

インドのウッタル・プラデーシュ州ミルザプールで3年前に人を襲った猿が捕獲され、同州にあるカーンプル動物園で飼育されていた。

ところがこの猿はいまだに攻撃的で危険が伴うことから、動物園では猿を狭い檻に入れて一生涯を外へ出さずに世話をすることにしたという。この動物園の決定を、地元メディアは「猿に事実上の終身刑が言い渡されたようなものだ」と報じている。

この猿は“カルア(Kalua)”という名前があり、捕獲される前はペットとして飼われていた。飼い主はカルアに頻繁にアルコールを飲ませていたが、その飼い主が亡くなったことで定期的に与えられていたアルコールが摂取できなくなり、アルコール依存症特有の離脱症状が起きて攻撃的になってしまったようだ。

凶暴化したカルアは外へ飛び出し、通りにいた女性と女児を中心に牙を剥いて顔を噛みちぎったという。しかも約250人を襲い、1人が死亡する大惨事となった。襲われた子供達のほとんどが、顔の整形外科手術を要するほどだった。

カルアは捕獲された後、カーンプル動物園の管理下のもと飼育されていた。しかしカルアは、他の猿や女性の飼育員に対して異常なほどの攻撃性を見せていた。またカルアは野菜や果物を一切口にすることがなく、肉しか食べないという。

猿を研究する科学者はカルアの凶暴性について「アルコール依存症の他にも肉だけの食生活が原因」と指摘しており、同動物園の獣医であるモハド・ナシル氏(Mohd Nasir)は次のように述べている。

「私達はカルアを数か月間隔離して飼育した後、別の檻に移動させました。カルアは相変わらず攻撃的で以前と全く変わらない状態です。ここに来てから3年経ちますが、カルアは単独で檻に入れられたまま一生涯をこの中で飼育するという決定が下されました。」

ちなみにインドでよく見られる猿はニホンザルと同じマカク属のものが多いが、ニホンザルの平均寿命は約25〜30年と言われている。カルアはこれから20年以上も独房とも言える檻の中で過ごすことになるようだ。

画像は『New York Post 2020年6月18日付「Drunk monkey gets life behind bars for attacking 250 humans」(Kanpur Zoo)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)