by anandirc

アメリカ国防総省が推し進めてきた、人工知能(AI)を活用して同省のデータをクラウドで一元管理するという上限額100億ドル(約1兆1000億円)のクラウド事業「Joint Enterprise Defense Infrastructure(JEDI)」をMicrosoftが落札しました。JEDI入札競争は「出来レース」と呼ばれるほどAmazonが大本命であると報じられてきましたが、下馬評を覆してMicrosoftが勝利しました。

> U.S. DEPARTMENT OF DEFENSE > Contract

https://www.defense.gov/Newsroom/Contracts/Contract/Article/1999639/

Key dates leading up to the U.S. Pentagon's cloud-computing award to Microsoft - Reuters

https://www.reuters.com/article/us-pentagon-jedi-timeline/key-dates-leading-up-to-the-us-pentagons-cloud-computing-award-to-microsoft-idUSKBN1X60KZ

Pentagon Picks Microsoft Over Amazon For $10 Billion Contract : NPR

https://www.npr.org/2019/10/26/773706177/pentagon-awards-10-billion-contract-to-microsoft-over-front-runner-amazon

Pentagon awards $10 billion "war cloud" deal to Microsoft over Amazon - CBS News

https://www.cbsnews.com/news/pentagon-awards-10-billion-war-cloud-deal-to-microsoft-over-amazon/

2019年現在、アメリカ国防総省が運用しているデータは、各地に点在する400箇所あまりのデータセンターに保管されています。各地のデータセンターに分散保管されているデータをクラウドで一元的に管理しようという計画が「JEDI」です。JEDIは上限額1兆1000億円と超高額の事業であったため、Amazon、Google、Microsoft、Oracleなどの名だたる大企業が入札競争に参加していました。

しかし、JEDIは事前に定められた基準ラインが「Amazonしかクリアできない」というような内容で、「Amazonと国防総省による出来レース」という噂がささやかれるほどでした。

米国防総省のデータをクラウドで一元管理する1兆円規模の事業「JEDI」をAmazonが獲得間近か、事実上の「出来レース」の見方も - GIGAZINE



By Rudi Riet

この「出来レース」報道に対して、入札競争に参加していた各社が示した反応はさまざまでした。Oracleは「Amazonが国防総省職員に就職の便宜を図って、契約の基準を恣意(しい)的にねじまげられていた疑いがある」として、国防総省を訴えました。一方、GoogleはAIの倫理原則と矛盾することを理由にして、入札競争を辞退しています。

Amazonのクラウド事業における実力は確かなものだといえます。IT分野を中心としたアナリティクス・リサーチ専門企業ガートナーの2019年7月の報告によると、Amazonはクラウドコンピューティング市場の約48%を占めており、約16%を占める業界2番手のMicrosoftに大差をつけているとのこと。



しかし、2019年7月18日、トランプ大統領が「Amazonと国防総省の契約に対して、大手企業を含む多数のテクノロジー企業から苦情が殺到した」と発表。2019年8月1日には国防総省がトランプ大統領の発表を受けてJEDIの選考を一時停止することを決定。そして、2019年10月25日、国防総省はJEDIをMicrosoftが落札したと発表しました。



この発表に際して、国防総省は「取得プロセスは法律および規制に従って実施されており、米国会計検査院と連邦裁判所による審査をクリアしています。入札競争に参加した各社はすべて公平に扱われ、査定基準に基づいて評価されました」と述べています。

今回の決定を受けて、Amazonの広報担当者は「今回の国防総省による決定には驚かされました。AWSがクラウドコンピューター分野のリーダーだということは明らかで、純粋に製品の能力だけが比べられたならばまた異なる結果になったと思います」と回答。ワシントン・ポストは、「トランプ大統領がJEDIの裁定に介入した可能性があり、法律違反になり得る」と紙面上で非難しました。

JEDI contract goes to Microsoft, not Amazon after Trump expresses opposition to giving contract to Jeff Bezos’s company - The Washington Post

https://www.washingtonpost.com/business/2019/10/25/pentagon-awards-controversial-billion-cloud-computing-deal-microsoft-spurning-amazon/



これを受けてトランプ大統領は、ワシントン・ポストが2013年にAmazonに買収されてAmazon傘下になったことをからかって、「Amazonのロビー活動用の新聞社、アマゾン・ワシントン・ポストには残念だったね」とTwitter上で皮肉っています。