仕事をこなすスピードやスキルはもちろん重要ですが、結局、みんなから愛されるビジネスマンが最強だと思うんです。

ちょっとポンコツでも、人の毒気を抜いてしまうような愛嬌があれば、自然に仕事も人も集まってくる。でもその“愛され力”を鍛えるのが、どんなトレーニングよりも難しい。

みんなから愛されている人って、具体的にどんなことに気をつけて、どんな会話を繰り広げているのでしょうか?

老若男女問わずお茶の間で愛されている、フジモンことFUJIWARAの藤本敏史さんに聞きに行ってみたら…まんまと心をつかまれてしまいました。

〈聞き手=ほしゆき〉


【藤本敏史(ふじもと・としふみ)】1970年生まれ。吉本興業所属のお笑いコンビFUJIWARAのツッコミ担当。コンビ結成は1989年で、今年で結成からちょうど30年になる。雨上がり決死隊、ナインティナイン、バッファロー吾郎とともにお笑い第四世代として数えられている。2010年に結婚。現在は二児の父

フジモンさん:
しょっぱなからアレなんですけど…

ほし:
はい?

フジモンさん:
この企画、僕で大丈夫ですか?

僕って…愛されてます!? 世間から愛されてます!?


「すごい心配になってきちゃって…!」

ほし:
なに言ってるんですか! めちゃくちゃ愛されてますし、好感度も高いですよ!

共演された方や、ADさんメイクさんからも「フジモンさんとの仕事は楽しい」って声が多いと聞いていますし。

フジモンさん:
えっ、ほんまですか。それはうれしい…


(照)

ほし:
(芸歴30年の大御所なのに、なにこのかわいさ…)

「リスペクトされよう」と思わないのが、人との一番いい関係

ほし:
本題なんですが、私、顔見知り程度の人や初対面の人と打ち解けるのが下手なんです…

フジモンさん:
あ〜〜、うんうんわかる!!

最初ってハードル高いですよねぇ。


すごい相づちうってくれる

ほし:
そうなんですよ!

新入社員とか、新しいチームメンバーとなにを喋っていいかわからなくて…

フジモンさん:
僕は新しく出会った人とは、最初に「この人と一番楽しい時間をつくるためには?」って考えてみます。そんで、相手の得意分野でコミュニケーションをとるようにしてますね。

ほし:
相手の得意分野…

フジモンさん:
若手芸人だったら、楽屋にあいさつに来てくれたときに、相手が話すより先にボケを振って、ツッコミを入れてもらってます。

会社で言っても、相手が新卒なら大学とかサークルとか、持ち物のクセとか…。なんかあるじゃないですか。少ない情報のなかでも、「相手が一番楽しくなれそうな話題」を引き出してあげてみてください。

あとは、ちょっとでも“尊敬されよう”とか思わないことじゃないですかね。

ほし:
それはどういうことですか?



フジモンさん:
この前テレビでも言ったんですが、僕って“尊敬”はまったくされてないんですよ(笑)

ほし:
そうなんですか?

フジモンさん:
僕を超リスペクトしてる後輩芸人とか、まずいない。

でも「おもろいから一緒にいたい」と思ってくれる人たちは多くて。なんていうか、それが人との一番いい関係なんじゃないかなと思ってるんです。



フジモンさん:
新人だから何かしてあげようとか、先輩風を吹かすつもりでのコミュニケーションじゃ、一緒に楽しくはなれない

いや、尊敬もされたいですよ(笑)? でも、「一緒にいて楽しい」っていうのがお互い幸せじゃないですか。

ほし:
そっか…

相手が誰であれ、ニコニコしながら対等であるフジモンさんの姿勢が、人の心をひらいているんですね。

人の“知られざる努力”で一緒に笑う

ほし:
“相手の得意分野”について話すってことですが、フジモンさんは日ごろから、まわりの人たちをよく観察して「盛り上がるトピック」を探しているんですか?

フジモンさん:
うん、地方でしかオンエアされてない、平日お昼どきの若手芸人のラジオとか聴くのが大好きですね。

人の、「俺が知ってるとは絶対思わないやろな〜!」みたいな側面を見つけるのが楽しいんですよ!


ずっと楽しそうなフジモンさん 

ほし:
次会ったときに「聴いたで〜!」って声をかけるんですか?

フジモンさん:
それもいいんですけど、それだとちょっと普通なので、僕はしれっと話題を振ります

たとえば、ラジオで後輩が「塩にハマってる」と話してたとする。したら次会ったときに「俺…最近塩にめっちゃハマってんねん」って切り出すんですよ。

ほし:
しれっと!!(笑)

フジモンさん:
そいつは「えっ、俺もなんです!」って盛り上がりますよね?


ニヤニヤ

フジモンさん:
そんで、じょじょにラジオ聴いてなきゃわかんない発言を混ぜていくんですよ。

最終的に「最近はエーゲ海のクリスタルソルトがやわらかい口当たりで人気やねん」とかラジオでの発言をそのまま使ったりして。

ほし:
(笑)

フジモンさん:
いやこの前のラジオ聴いてましたよね!? ねぇ!?



フジモンさん:
…ってツッコまれるくだりが最高におもろいんですよ、ほんまに大好きなんですよ!!



ほし:
めちゃめちゃ面白いんですけど、実践するにはハードルが高すぎます(笑)。

フジモンさん:
ごめんなさいね(笑)。

でも「なんで知ってるんですか!?」ってリアクションをもらうような、誰かの努力を集めるのはすごくいいと思いますよ。

ほし:
会社員だったら…、自分がその場にいなかったプレゼンや会議での誰かの活躍とか?

フジモンさん:
いいですねそれ!!

成功したプレゼンがあったら、その決めゼリフを、しれっと雑談のなかに組み込んでみたりしてね。ちょっと難易度高い(笑)?

ほし:
高いかも(笑)。

でも、フジモンさんは、直接褒めるより、あくまで笑いのなかで伝えることにこだわってるんですね。



フジモンさん:
あ、それはありますね。とにかく「その話題でどう一緒に笑うか」をまず考えてます。

単純に「褒める・照れる」より「一緒に笑う」ほうが、楽しいじゃないですか。


「ほんま第一にそれなんですよね」

ほし:
(フジモンさんが愛されるのは、「とにかく一緒に笑いたいメンタル」が理由なんだな…)

「他人を成長させたろ、なんておこがましい」説教は一切しない

ほし:
でも逆に、かわいがっている後輩だからこそ説教をしなきゃいけないときもあるじゃないですか。

フジモンさん:
え? ないですよ。



ほし:
芸歴30年にもなると仕事への姿勢について注意をすることとか…

フジモンさん:
いや、 基本的には「お前それはちょっと…」って思うことがあっても絶対説教しないですね。

説教なんて、してる人もされる人もつまんないじゃないですか。

仕事の話って、基本おもろないからしたくないんです。


急にしょっぱい顔になるフジモンさん

ほし:
でも、指導をするのが先輩の責任だったりしません?

フジモンさん:
僕は、他人に口を出すのってすべて「余計なお世話」だと思っちゃうんですよね。

ほし:
余計なお世話…

フジモンさん:
本人が「直さなきゃやばい」と自覚してないのに、他人がどうこう言っても意味ないんです。

結局、自分で自分を変えるしかないから、変わるべきタイミングがきたら勝手に変わっていくんですよ。そのときに相談を受けたら、もちろん真剣に向き合いますけど…



フジモンさん:
人が成長するのって、誰かの言葉じゃなくて「実体験」からでしかない。自分もそうだったと思います。

だから「他人を成長させたろ」なんて思うのは、なんか…おこがましいんちゃうかなって

ほし:
うーん、たしかに…相手も大人なわけですしね。

フジモンさん:
そうそう。

「いつも話してるような言葉の、3歩内側をさらけ出す」

ほし:
最後に、素直でプリティーなフジモンさんが思う、「愛される人の素養」って何だと思いますか?

フジモンさん:
おっさんに「プリティー」て!

「愛される素養」…? なんやろ………抜け感?


急に女性誌みたいなことを言い出すフジモンさん

フジモンさん:
違うか(笑)。

でもマジメな話、僕、隙がない後輩ってちょっと苦手なんですよ。こっちも気を張ってしまって。

ほし:
あ、それはちょっとわかります。

フジモンさん:
隙がないと言われる人ほど、自分をさらけ出してしまったらいいと思いますよ。僕は喋りすぎだと思いますけど(笑)。

イメージとしては「いつも口に出している言葉の、さらに3歩内側にある思い」を言うくらいでちょうどいいと思います。

ほし:
3歩内側か…

フジモンさん:
バレるのが恥ずかしいと思ってる趣味や好物があったら、超ストロングポイントだと思いますよ。絶対言ったほうがいいです。

ほし:
フジモンさんには、そういうギャップ萌えがあるんですか?

フジモンさん:
僕ね…かわいいものと甘いものがめっちゃ好きなんです(小声)。


真顔でJKみたいなことを言う

ほし:
…マカロンとか?

フジモンさん:
マカロンも好きですねぇ〜!!

あとディズニーランドがものすごく好きで、これまでに700回以上行ってます。

ほし:
多すぎる。

フジモンさん:
コミュニケーションが苦手な人ほど、少しずつ「ギャップ」を見せる意識をしてみるといいと思います。ギャップが難しい場合は、「オタク並に詳しいこと」を開示するのがおすすめ

こいつおもろいな〜、一緒にいるといろんなこと知れて楽しいな〜って気持ちにつながりやすいと思います。

ほし:
なるほど、やっぱり自己開示が鍵なんですね。

フジモンさん:
最初は恥ずかしいと思うんですけど、明かしてもらった人は単純に「この人素直だな」って感じるし、それが信頼とか親しみ、愛嬌につながるんじゃないですかね?



フジモンさん:
っていう感じですけど…

僕…ちゃんと役に立つこと言えてました?? こんなんで大丈夫ですかね?

ほし:
いやそんな、大丈夫ですよ!


本気で心配になってる

フジモンさん:
もし僕に聞きたいことがある読者がいたら、次はもうここに呼んでください! なんぼでも答えますんで!!

ほし:
えっ。ほんとにセッティングしちゃいますよ!?



フジモンさん:
いいですよ! またやりましょう!

それじゃ、今回はお忙しいのにありがとうございました。読者の皆さんにもよろしくお伝えください!

ほし:
フジモンさん…



なんて懐の広さだろう…と、さっそうと去ってゆく背中にお辞儀をしながら感動していました。

フジモンさんが語る「愛される素養」は“心の内側をさらけ出す”こと。実践していきたいと思います。

今回は「コミュニケーション」についてお伺いしましたが…

じつは、仕事を断らないことで有名なフジモンさんに、「仕事との向き合い方」についても聞いています。

第2弾の記事は近日公開予定! お楽しみに〜!

〈取材・文=ほしゆき(@yknk_st)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉