上海上港との準決勝第2戦は、興梠のゴールで引き分けに。アウェーゴールの差で準決勝と進んだ。(C)SOCCER DIGEST

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[ACL準々決勝・第2戦]浦和1-1上海上港/9月17日/埼玉スタジアム2002

 つくづくサッカーとはメンタルが大きく影響するスポーツだと思う。

 J1リーグで15位に低迷する浦和レッズは、ACL準々決勝で上海上港を下して、準決勝へと駒を進めた。見せつけたのは、勝負強さだ。

 敵地での第1戦を2−2の引き分けで終えた浦和は、ホームでの第2戦を1−1以下の引き分けか勝利で勝ち進めるという、小さなアドバンテージを得ていたが、それでも「難しい試合になるだろうと思っていた」(興梠慎三)。

 案の定、試合は立ち上がりから一進一退の様相を呈し、ヒリヒリと緊迫したムードで進んでいく。

 そんな試合が動いたのは39分だった。関根貴大からのクロスに合わせた興梠のヘディング弾で先制に成功するのだ。

 しかし、その後追加点をなかなか奪えずにいると、60分に隙を突かれて同点ゴールを献上してしまう。終盤にはパワープレーに打って出てきた相手に押し込まれ、何度も決定機を作られた。それでも、粘り強く1−1のまま終え、苦労の末に4強入りを決めたのである。
 
 ただし、浦和の強さが表われていたのは準々決勝だけでない。グループステージも含め、ここまで浦和は、実にしぶとく勝ち上がってきた。
 
 グループステージ突破の残りひと枠を懸けた北京国安との最終節(当時5節を終えて、勝点差7で並んでいた)。スコアレスドローか勝利が突破の条件だったこの大一番で、見事2−0でライバルを蹴散らしてみせた。
 
 さらにラウンド16の蔚山現代戦でも、第1戦のホームゲームを1−2で落とし、敗退ムードが漂うなか、敵地での2戦目を3−0で快勝して、その空気を覆してみせたのだ。
 
 しかし、一方のJ1リーグでは25節終了時点で、8勝7分11敗の15位。直近では7試合連続で勝利から見放され、降格圏すら近づいている状況である。
 
 なぜ国内では不振に陥りながらも、アジアの舞台では勝負強く、まるで別のチームになるのか。その大きな要因は、メンタリティだろう。

 2度のアジアチャンピオンを経験しているプライドか、国際大会の大きな舞台への高揚感か、勝ち進んでいるというモチベーションか。明らかにACLでのチームは、血をたぎらせ、球際で激しく競り合い、攻守に奔走するのである。
 
 改めて、サッカーというスポーツにおいて、いかにメンタルが重要かを感じさせられる。
 
 もちろん理由は、メンタル面だけではない。JとACLで異なる対戦相手の特徴は小さくない要因だろう。
 
 ACLに出場する中国や韓国のチームの多くは、強力な助っ人FWを最前線に置いて、そのフィジカルとスピードを前面に押し出した攻撃を仕掛けてくる。オーストリアのイブラヒモビッチとも呼ばれる、身長192?の長身FWアルナウトビッチや、鎧のような肉体と破壊力のある左足が武器の元ブラジル代表フッキ(第2戦は累積警告で欠場)を擁する上海上港は、その最たる例だ。
 
 しかし浦和のDF陣は、槙野智章をはじめ、対人戦に滅法強い傾向がある。人につき過ぎてスペースを空ける嫌いもあるため、Jリーグのような組織的でスピーディな攻撃よりも、中国や韓国勢の助っ人頼みの攻撃のほうが守りやすいのは間違いない。
 
 上海上港戦で3バックの中央を務めた鈴木大輔は、「アジアでは、個人で戦う部分を重視するサッカーが多い。だからオープンな展開になりやすい。自分たちがスペースを与えないというところと、個人の対応とグループでの対応がACLではできている」と言っている。
 
 しかし「リーグ戦でも同じ戦い方をしていても、いまひとつ噛み合っていないところがあったりする」というのは、まさに、こうした対戦相手のタイプの違いによるものだろう。
 
 ACLではACLの、JリーグではJリーグの、それぞれ違った戦い方が求められるのかもしれない。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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