結婚式ならぬ「離婚式」であこがれの円満離婚?!

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夫婦の3組に1組が離婚をするといわれる時代、結婚式ならぬ、「離婚式」が存在する。そう聞くと縁起が悪いと思う人がいるかもしれないが、はたして一概に、結婚が成功で、離婚が失敗という捉え方をしてよいのだろうか。離婚式の発案者である寺井広樹氏に話を聞いた。(取材・梶田麻実)

離婚式のアイデア
―離婚式とはどう進行するのですか。
 新郎新婦ならぬ“旧郎旧婦”が登場し、あいさつとして感謝の気持ちや思いの丈を語った後、仲人ならぬ“裂人(さこうど)”として離婚経験のある友人代表があいさつをします。その後、離婚届けに署名し、最後の共同作業としてハンマーで結婚指輪を叩き割るのが基本的な流れとなります。

―始めたきっかけはなんですか。
 もともと「結婚式があるのになぜ離婚式はないのか」という疑問があり、知人の離婚報告をきっかけに式の提案を持ちかけました。最初の離婚式は、はじめは静かでどうなることかと思いましたが、ハンマーで指輪を壊した瞬間に、旧郎旧婦の顔がぱっと晴れ、その瞬間に拍手が起こり、明るい空気に変わったのを覚えています。その後、式の参列者から依頼を受け、二回目の離婚式につながりました。

―受け入れられるまでに時間はかかりましたか。
 始めたばかりの頃、メディア宛てに101通もの手紙を送り、3通の返信が来たところから一気に情報が広まっていったよう思います。2009年に始めてから10年で、600組を超える離婚式を執り行っています。

―どんな方が利用していますか。
 最初は若い人が多かったのですが、最近では40−50代の依頼も多いです。依頼者の9割が男性で、『離婚後も良好な関係を続けたい』という理由が多い一方、16年に始めた“ソロ離婚式”では女性の依頼者が多く、『式を挙げることで区切りをつけたい』との思いのようです。プランナーとして依頼者の要望を聞きながら、式の場所や内容を決めていきます。

―アイデアはどのように練ったのですか。
 結婚式に出たことが少なかったため、結婚式のマナービデオを見て学びながら離婚式の内容を考えていきました。裂人の存在など、今の時代は仲人という言葉自体あまり聞きませんが、古いものから知識を得たことで、逆に新しさが出たかもしれません。

ポジティブに捉える
―ネーミングは重要ですね。
 泣くことでストレスを解消する「涙活(るいかつ)」というイベントを定期的に開催しています。泣くということも一般的にマイナスなことに思われがちですが、ネーミングによって前向きに捉えてポジティブになれます。

―離婚に対するイメージを教えてください。
 離婚式を挙げる理由として、『人生で負になることを一つも残したくない』と話した人がいましたが、自分の中で離婚に対するマイナスイメージがなかったので、不思議に思ったことがありました。今では、離婚と円満離婚は別物だと思っています。一般的な離婚に対し、円満に離婚ができるのは一握り。ある意味、憧れのようなものを持っています。

―今までにない試みにおいて、失敗や批判への怖さはありますか。
 アイデアを思いついたときに、失敗するとは思わないです。自分が「これは価値あり」と感じたことを仕掛ける上で、周りの意見をそこまで気にすることもありません。

―寺井さんにとって、失敗とは。
 ネタにできなかったら、失敗。失敗をエネルギーにして、いかに他のものに置き換えられるかが重要で、失敗のその先をみることが大切だと思っています。

寺井広樹(てらい・ひろき)
【略歴】同志社大経卒。株式会社たきびファクトリー代表。離婚式を発案し、600組を超える式に携わる。涙活プロデューサー、試し書きコレクター、怪談蒐集家など、活動は多岐に渡る。『離婚式へようこそ』『企画はひっくり返すだけ!』など著書も多数。

連載・なぜ?なに?失敗(全6回)
[https://newswitch.jp/p/18849{【01】動物ライター 丸山貴史氏(8月19日配信)}]
[https://newswitch.jp/p/18858{【02】元JAL機長 小林宏之氏(8月20日配信)}]
[https://newswitch.jp/p/18886{【03】元芝浦工業大学大学院教授 安岡孝司氏(8月21日配信)}]
【04】離婚式プランナー 寺井広樹氏(8月22日配信)
【05】恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表 清田隆之氏(8月23日配信)
【06】感性リサーチ社長 黒川伊保子氏(8月24日配信)