「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「生きる」「生まれる」の「生」。「人生」「生命」の「セイ」、「一生」の「ショウ」とも読む漢字です。

(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」2019年3月30日(土)放送より)



「生」という字は、草の生え出る形を表した象形文字。

草の芽が土から出て、上へ向かって育つ様子を描いています。

そこから人や動物・植物が、「うまれる、そだつ、いきる」という意味をもつようになりました。

また、中国古代王朝の殷・周の青銅器には、「百」に「生」と書いて「百生(ヒャクセイ)」と刻まれています。

「百生」とは「多くの民」を表していたことから、「たみ、ひと、いのち」という意味でも使われるようになりました。

日本語では「はえる、いける」、さらにはまじりけのない、という意味の「き」と読んで使うこともあります。

にぎやかな、春。

ほんの少し前まで裸の土が広がっていた足元に、小さな草花の芽がいっせいに顔をのぞかせています。

萌黄色、若菜色、薄緑。

迷い悩むことも、思いわずらうことも一切なく、ただ、上へと伸びていこうとするその姿に、感銘をうけたいにしえの人。

彼らは、その感動を「生まれる」「生きる」という文字にしました。

豊かな大地を表す横線。

力強くまっすぐに引かれた一本の縦線。

そこから思い思いの方向に延びる枝や茎、葉っぱ。

生きるため、全身を使って求めているのは、光と風ときよらかな水、そして育ってゆくための栄養分。

それは、私たち人間とて同じです。

ではここで、もう一度「生」という字を感じてみてください。

「一つ」の「生」と書く「一生」。

それは、誰もが平等に与えられた、一度きりの時間を意味します。

周りと比べたり、誰かを羨んだりする必要は全くありません。

特別なことをなしとげようと力み過ぎるのも無駄なこと。

間違いに気づいたら、そこからまた、新たに生きなおすこともできます。

まずはしっかりと根をはって、栄養をたくさん取り入れる。

外に出て新鮮な空気を吸い込んで、光のあるほうへ歩き出す。

私たちはただ「一つ」の人生を、自分らしく生きてゆけばいい。

「生」という漢字の成り立ちが、「生きる」ことの基本を教えてくれます。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

4月6日(土)の放送では「視」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。



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<番組概要>

番組名:感じて、漢字の世界

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/