料理が美味しくならないのは水のせいかも!―用途別正しい水の選び方
「和食はやっぱり日本で食べるのが一番おいしい」
海外、とくにヨーロッパから帰国してそう感じた人がいたら、それは単なる気のせいではなく、水のせいかもしれません。
ヨーロッパの地層は石灰岩が多く、地下水にはカルシウムなどのミネラル分がたくさん溶け込んでいます。つまり、硬度の高い水が多いのです。
和食に欠かせないのが出汁ですが、その旨味成分であるグルタミン酸やイノシン酸は、硬水中のカルシウムと結合するという特徴があります。ですから、いくら昆布やかつお節を入れても、硬水を使っていると旨味が出てこない(イコール不味い)わけです。
料理のみならず、お酒の味からダイエットまで、水の選び方は重要です。
●和食には硬度50以下の軟水がおすすめ
硬水が和食に合わない理由は、出汁の旨味が出なくなるからというだけではありません。ご飯や野菜を煮炊きする際に使うと、カルシウムが食物繊維に結びついて食材を硬くし、パサパサになってしまうからです。
フレンチや中華料理等に比べ、和食がさほど世界中に定着していない理由は、軟水が主流である日本と違い、海外では良質の軟水が手に入れにくいということがあるとも言われています。
●肉を使った西洋料理や中華料理には硬度100以上の硬水がおすすめ
硬水には肉料理をやわらかくする働きがあります。肉を硬くしている成分には、硬水中のカルシウムと結びつくという特徴があります。そして、結びついたものはアクになって肉の外に出ていくのです。
スジ肉や骨を硬水で煮込み、出てきたアクを除くと、澄んだ美味しいスープもとれます。
シチューやスープ作りにはぜひ、「ヴィッテル」「エビアン」など 硬度100以上の硬水を使用してみてください。美味しさがワンランクアップしますよ。
●日本茶コーヒー紅茶は軟水がおすすめ
日本茶にも旨味成分のグルタミン酸が含まれています。また、甘味のもとになるテアニンも含まれていて、これらはミネラル分と結合して沈殿してしまいます。とはいえ、ミネラル分がまったくないお茶は渋みを強く感じてしまうため、硬度は50程度がおすすめです。
紅茶も軟水が合います。さらに美味しくいただくには、セイロン茶の場合だと硬度60程度が合います。また、アッサム茶は硬水でいれると渋みが緩和され、ミルクティにすると美味。
コーヒーも軟水が合いますが、カルシウムの多い硬水でいれると苦みがやわらぎマイルドな味わいになります。
●ダイエットには硬度1,000以上の超硬水がおすすめ
健康維持の促進には硬度100以上でバランス良くミネラル成分が含まれた水がおすすめですが、ダイエットに利用する場合は、1,000以上の超硬度水がおすすめです。
たとえば、フランス産の「コントレックス」はダイエットウォーターとして世界的に知られていますが、硬度は1,500以上もあります。
けっして飲みやすい水とはいえませんが、サルフェートというミネラル分が硫酸塩と結合してできた成分が豊富に含まれ、体の新陳代謝を高めてくれます。腸を刺激して排便を促すほか、発汗・利尿作用もあります。
モンブランの麓でとれる「クールマイヨール」はさらに硬度が高く、サルフェートも多く含まれます。これら超硬水は重みのある水なので空腹感を抑える効果もあります。
5〜6回にわけ、1日に1リットル強を目安に飲むのがおすすめで、レモン汁をたらすと飲みやすくなります。ただし、お腹をこわしやすい人や循環器に障害のある人は控えましょう。
日本酒の味は米と水で決まるといわれていますが、醸造に硬水をつかうと辛口に、軟水は甘口になるそうです。味のみならず、ミネラル成分の量や違いにより、発酵の進み具合、色、香りなど、さまざまな違いが生じてくるのだとか。
水は無色透明でくせのない飲み物と思いきや、じつは私たちの食生活に知られざる多大な影響力を持っていたのです。やっぱり水は偉大です。
文・鈴木ゆかり
※参考
『水の雑学がよ〜くわかる本[第2版]』(杉山美次 著/秀和システム)
