夜9時から子どもはスマホを使っちゃダメ!「使用制限の要請」は子どものSOSを聞くきっかけになる?

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今年の4月、愛知県刈谷市の全21校の小中学校が、保護者宛てに、子どものスマホや携帯電話の使用を制限するよう要請した。スマホ、ケータイの使い過ぎや依存は、無料通信アプリ利用によるトラブル・いじめといった現象や問題を発生させてきた。果たして今回の「使用時間制限の要請」は、その救世主となり得るのだろうか。

●異例の個人利用の時間規制 夜9時以降はスマホ使用禁止?
刈谷市の要請は以下の3点だ。
(1)必要のないスマホや携帯は持たせない
(2)契約時に親子で使用に関する約束事を決め、有害サイトの閲覧を制限するフィルタリングサービスを受ける
(3)夜9時以降は親が預かる。

(1)や(2)は、子ども利用制限としては一般的だ。今回、一番注目すべき項目は(3)だ。文部科学省も、これまでも小中学校への持ち込みを原則禁止するよう各都道府県の教育委員会に通知したり、各家庭で使用に関するルールを決めるように呼びかけたりはしてきた。しかし、今回のように、地域で、しかも使用時間まで制限するという試みは極めて珍しいものだ。

●賛否が双方の言い分にも一理ある「使用時間制限の要請」
さて、この「使用時間制限の要請」、やり過ぎと思うのか、適正だと感じるか。

家庭での使用にまで学校や行政が口を出すことはやり過ぎ、という意見もある。また、時間制限を設けることで、逆に規制時間までに集中してスマートフォンを使用してしまい、規制時間外の昼間の勉強がおろそかになるのではという懸念もある。そもそもスマートフォンやケータイを持っていない子どもたちは生活の乱れや、いじめなどのトラブルに巻き込まれていないわけではなく、こうした子どもたちに配慮がないのは、片手落ちだという根本的な疑問を持つ人もいるだろう。

しかし、実際に使用している子どもたちから、「学校でルールを決めてくれて助かった」という意見も出ているという。LINEなどのSNSでやりとりをしていると、自分自身ではなかなか途中で切り上げることができにくいが、学校の要請や親が許してくれないという「口実」があることにより、使用を制限できるというのだ。

●大人たちより子どものほうがスマホ依存には敏感?
今回の「使用時間制限の要請」は、あくまでも要請なので強制力はない。実行する子どもは実行するし、実行しない子どもは実行しない。
ただ、実際に実行して9時以降使わなかった場合、朝起きるとメッセージが100も200も来ていることも珍しくない子どもたちもいるという。もし、このメッセージの1つ1つにリアルタイムに付き合っていたとしたら……、子どもたちがスマートフォンに束縛されている時間におきかえたら……、と考えると、少し恐ろしくなる。

情報セキュリティメーカーのデジタルアーツ株式会社によると、歩くときにはいじらない、一定の時間になったら使わないようにしているなど、意外と子どもの方が依存に対して敏感に反応し、なんとかしたいと思っていることが伺える調査結果も出ている。

そのことを考えると、今回の「使用時間制限の要請」は、確かに行き過ぎで反発を受ける面もあるかもしれないが、実は子どもたち自身が求めている、SOSを発していることへの対処として必要なことなのかもしれない。

いずれにせよ、こういった具体的な「要請」がなされたことで、子どもたちのスマートフォンやケータイの使用に関して、家族や地域などで話し合う機会ができたことは、親と子、双方にとっても良かったのではないだろうか。

「使用時間制限の要請」があったからといって、厳密に制限を9時に限定しなくてもいい。塾で帰りが遅いのであれば、その時間に合わせればよいし、日々の生活に合わせていいのだ。

重要なのは、スマートフォン、ケータイの使用について、今一度、親子で向き合って話し合いの中で、子どもたちのSOSを危機ながら自分たちのルールを作り上げていくことなのだろう。

今回の「使用時間制限の要請」が、そんな話し合いの機会を産み、今後どのような成果を発揮していくのか、注目したいところだ。

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