渋谷で楽しむ至高の店炊きとんこつラーメン3選 福岡の伝説店や神泉で25年の名店、「逆輸入」の人気店も

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昨今の渋谷では、インバウンド客の急増により店によっては行列ができることが日常化している。120分待ちも珍しくなく、せっかくの旅行や休日が並ぶ時間に奪われてしまうケースも少なくない。そんな中、長蛇の列を横目に通り過ぎ、並ばず・ストレスなく本格的な店炊きとんこつラーメンを味わえる店がある。福岡の伝説を継ぐ新星、25年の歴史を誇る老舗、そして海外で認められた逆輸入の名店。この3店はルーツこそ違えど、どれも一蘭と同じく「臭みのない豚骨ラーメン」を追求し、長時間丁寧に炊き上げたスープと自家製麺に職人としての妥協のない仕事ぶりを注いでいる。渋谷エリアで行列を避けながら行ける、今注目したい本格店炊きとんこつラーメンの実力店を紹介する。

福岡の“伝説”が渋谷に上陸『麺屋我ガ(がが) 渋谷二丁目中央店』

福岡・小郡発の人気豚骨ラーメン店『麺屋我ガ』が、2026年2月2日、東京初進出となる渋谷二丁目中央店をグランドオープンした。

『麺屋 我ガ 渋谷二丁目中央店』

小郡で伝説となったラーメン店の創業者から味を直接受け継いだ社長の古賀大順さんが“※小郡系”の系譜を継ぎながらも、独自の進化を遂げた一杯が、東京のラーメンヲタクを早くも魅了している。

※臭みのないクリーミーな豚骨スープの中央に唐辛子タレが乗ったラーメン。

オープンから約2ヶ月が経った渋谷店には、学生やサラリーマンなど20代から50代まで幅広い世代の客層が連日足を運ぶ。

営業時間は朝10時から夜22時半までの通し営業。「せっかく来てくれたお客さんをがっかりさせたくない」という思いから、いつでも食べられる利便性重視のスタイルを貫いている。

東京に進出するにあたって最も苦労したのは「味の再現」だったという。

水や気候、食材の微妙な違いの中で、福岡と同じ純生スープと麺のクオリティを保つため、細かな調整を重ねた。日々の杯数報告や渋谷店店長との密なやり取りを通じて反響を確認しながら、古賀さんは静かに微笑む。「福岡の味を東京で楽しんでいただけているようでうれしい」と語る。

我ガの最大の特徴は、臭みがなくクリーミーでありながら後味すっきりとした「純生スープ」だ。臭みを出さず、コクと甘さを引き出すために頭骨を中心に使い、独自の製法で21時間以上かけてじっくり炊き込んで作っている。この工夫により全くといっていいほど臭みがないスープに仕上がる。

麺も一切妥協しない。自家製麺にこだわり、数ある小麦粉の中から風味と甘みの強いものを厳選。

スープとの相性を考えた配合で製麺したあと、温度と湿度を徹底管理した部屋で丸一昼夜じっくり熟成させてから提供する。「一番食べ頃の状態でお出ししたいんです」と古賀さん。

初めて渋谷店を訪れる人には「味玉らーめん、高菜巻きおにぎり、水餃子」を推奨している

特に味玉らーめんは、卵黄のコクと純生スープのバランスが抜群で、我ガの魅力を最もわかりやすく味わえる一杯だ。

『麺屋我ガ 渋谷二丁目中央店』の「味玉ラーメン」1100円(2026年5月時点)

硬めのパツパツ麺でいただく臭みが全くないスープは豚骨の旨みと甘味が特徴で、食べ進めると辛味ダレがじんわりと口に広がっていく。すっきりとしているが、物足りなさを感じさせない完成されたラーメンだ。

最後に店名「我ガ」への想いを語っていただいた。

2文字で覚えやすく読みやすい名前にしたかったという思いに加え、「『我』の強さをこだわりに変えて、すべてにこだわったラーメンを出したい」との決意から名付けられた。

また、カタカナ表記は「世界中の方に我ガのラーメンを食べてもらいたい」という海外展開を考慮したもので、現在、福岡3店舗に加えタイ・バンコクにも展開している。

我ガは小郡の伝説の味を譲り受けた店だけに、「受け継いだ味を守りながら、常に時代に合わせたラーメンに進化させていく」ことを大切にしている。本場のクオリティを日本の中心である東京・渋谷でいただいてみてはいかがだろうか。

■『麺屋 我ガ 渋谷二丁目中央店』

[住所]東京都渋谷渋谷2-8-8

[電話番号]03-6450-5835

[営業時間]10時〜22時半

[休日]無休

[交通]地下鉄半蔵門線ほか渋谷駅B3・B4出口から徒歩8分

神泉に25年根を張る名店『麺の坊 砦』

渋谷の喧騒から少し離れた神泉エリアに、静かに佇む豚骨ラーメンの名店『麺の坊 砦』がある

『麺の坊 砦』

2001年10月11日にオープンし、今年で25年目を迎えるこの店は、臭みのない上品な豚骨スープと細麺の軽やかさが、特に女性客から支持を集めている。落ち着いた空間でゆったり味わうことも人気の理由だろう。

看板メニューの「砦らぁめん」。その最大の魅力は、豚頭骨(トントウコツ)のみを使った店炊きスープである。店主・中坪正勝さんはこう語る。

豚の骨の中でも一番硬い部分を使っています。長時間炊かないと出ない旨みを、14時間から16時間、ときには20時間近くかけて丁寧にアクを取りながら煮込んでいます」。

12時間ほどで炊き終える店が多い中、時間をかけてじっくりと炊いているのだ。

家庭用の1,100kcal/hとは比べものにならない、プロ仕様の約30,000kcal/h級の強火力で炊き上げている。神泉の町に合わせて「臭みの少ない味わい」を目指した結果、濃厚なのにまろやかで、最後まで飲み干したくなる上品なクリーミーなスープへと仕上がる

『麺の坊 砦』の「砦らぁめん-ハリガネ」1000円(2026年5月時点)

臭みが少ないあっさりとしたスープではあるものの、豚骨の旨みがしっかりと凝縮されている。細麺との相性が良く、全体のバランスが整っている。

麺は現在、細麺(28番・約1mm)の自家製麺を提供している。

「18年以上の経験を持つ職人が季節、気温・湿度を見極め、粉の配合や水分量を微調整し、おいしく喜んでもらえる麺を打っています」と中坪さん。

替え玉の提供へのこだわりも並々ならない。「替え玉を茹でていくとカンスイがお湯に移り、熱が麺に伝わりにくくなる。そうするとコシと歯応えがなくなってしまうので、40杯ほどで湯を替えるようにしています」。これがいつ食べても替え玉をおいしく食べられる秘訣だそうだ。

トッピングにも店主の職人魂が光る。キクラゲを水で戻したあとにそのまま丼にのせて提供するのではなく、ゴマ油・醤油・みりんで炒めて別皿で提供している。

ラーメンと一緒に半分食べすすめ、残りはお酒の肴にする常連さんもいるという。

海苔3枚ととろっとした半熟玉子の組み合わせも、長年愛され続けている人気トッピングだ。

卓上には紅生姜、辛子高菜、ニンニクが揃い、自分好みに調整ができる。

卓上調味料

テーブル席を充実させているので、ベビーカー入店も歓迎。地域に根ざしたお店を目指し、神泉エリアの客層に合わせた配慮が随所に見られる。団体が入っても周囲に気兼ねなく過ごせる、開放感のあるレイアウトもポイントだ。

中坪さんは『一風堂』創業間もない頃から関わり、関東進出時の新横浜ラーメン博物館店長も務めた“一番弟子。店名の『砦』には、師匠・河原成美さんから受けた教えが込められている。

「いま居る処が最後の砦 そしてすべての始まりなんだ がんばろうぜ」という言葉だ。

中坪さんは「この思いを今も守り続けています」と語る。

臭みのないまろやかなスープ、職人ならではの細やかな工夫、そして25年変わらぬ味わい。ここはまさに渋谷とんこつラーメンの「最後の砦」だ。

■『麺の坊 砦』

[住所]東京都渋谷区神泉町20-23

[電話番号]03-3780-4450

[営業時間]11時〜15時15分(15時LO)、17時半〜22時15分(22時LO)、土・日・祝11時〜22時15分(22時LO)

[休日]水

[交通]京王井の頭線神泉駅から徒歩3分、地下鉄半蔵門線ほか渋谷駅A0出口から徒歩14分

ラーメン凪が作る逆輸入豚骨『ラーメン凪 豚王 渋谷本店』

渋谷駅から少し歩き、六本木通りを上がった先。『一蘭』の行列が目に入るエリアにありながら、ひっそりと構えるのが『ラーメン凪 豚王 渋谷本店』だ。

『ラーメン凪 豚王 渋谷本店』

煮干しで名を馳せる『ラーメン凪』の豚骨ブランドとして2006年に創業。香港など海外で「BUTAO(豚王)」として先に人気を博し、日本に逆輸入された異色の豚骨ラーメン店である。

同店が掲げる最大の魅力は、豚骨特有の「臭みのなさ」だ

豚頭骨を10〜12時間かけて炊き上げたスープは、濃厚でありながら後味は驚くほど軽やか。長年の研究に裏打ちされた丁寧な下処理が、初めての人はもちろん、女性や年配のファンをも惹きつける。

『ラーメン凪 豚王 渋谷本店』の「特製ラーメン」1030円(2026年5月時点)

濃厚で臭みがないスープと小麦の風味がある麺の相性がバツグン。中毒性が高いガツンとしたとんこつラーメンだが、一般的なとんこつラーメンより胃もたれしにくい。

自社製造の細麺は、硬さを5段階から選択可能。さらに、スープの味の濃さやこってり度、ニンニクや辛みの量まで細かくカスタマイズできる。オーダーの自由度の高さは、まさに自分だけの一杯を作り上げる悦びを教えてくれる。

これは、代表の生田悟志氏が『一蘭』出身であるからこそのこだわりだ。

細やかな配慮は、替え玉にも現れる。秘伝のタレはサンプル収集の防止の観点から卓上に置けないが、スープが薄くなってしまった際は「注文時に『タレ濃いめで』と言っていただければ、多めにかけた状態で提供します」との対応も。こうした痒い所に手が届くホスピタリティも、同店の根強い人気の秘訣だろう。

オーダー用紙。上写真の「特製ラーメン」はすべてオススメで注文したものだ

駅から徒歩10分弱という距離は、決して近くはない。しかし、ひとり客はカウンター、グループはテーブル席へとスマートに案内される店内は、多忙なビジネスパーソンにとっても心地よい空間だ。

渋谷という街にありながら、比較的スムーズに入店できる穴場感もありがたい。

熟練の技が生む洗練されたスープと、自分仕様に仕立てる楽しさ。世界を魅了した至極の一杯を日本の中心・渋谷で。

■『ラーメン凪 豚王 渋谷本店』

[住所]東京都渋谷区東1-3-1 カミニート1階

[電話番号]03-3499-0390

[営業時間]10時〜22時半、日・祝10時〜20時

[休日]無休

[交通]地下鉄半蔵門線ほか渋谷駅C1出口から徒歩6分

ラーメン屋の大行列に並ぶ時間を、味わう時間に変える。それが今、渋谷で叶う静かな贅沢だ。

福岡の新星、25年を誇る老舗、そして世界に先駆けて認められた逆輸入の名店ー。それぞれが独自の路線で丁寧に炊き上げた臭みのない豚骨ラーメンをあなたの舌で確かめてほしい。

取材・撮影/ながやかずき

【画像】大行列回避で楽しむ 渋谷の店炊きとんこつラーメン至高の3選(8枚)