中国車もいよいよ「ホンモノ」になってきた! Gクラスやレンジローバーに乗ってきた富裕層が目を向ける中国地場の高級SUV

この記事をまとめると
■北京モーターショーでは大型高級SUVの展示が目立っていた
■中国メーカーによるランクル風&レンジローバー風モデルを多数見つけることができた
■背景には中国富裕層市場の変化と海外輸出戦略が見え隠れする
北京モーターショーでは大型SUVが大盛況
2026年4月24日から5月3日の会期にて、中国の首都北京で「第19回北京国際自動車展覧会(北京モーターショー)」が開催された。2008年から北京首都空港近くの中国国際展覧センター順義館をメインに2か所で開催されてきたのだが、8年ぶりに会場を訪れると隣に巨大でデザインの凝った首都国際会展センター(新国展2期)が建設され、それまで北京市街地にある古い会場と2拠点開催していたものを、1カ所で集中開催されていた。

展示面積も増えているようであったが、出展者が減少しているのか、出展している完成車メーカーの一部は間延び気味に広大なブースを構えていた。
そんな会場を歩いていると、出展車両にはいくつか共通した傾向を感じることができた。そのひとつがランドローバー・レンジローバーやトヨタ・ランドクルーザー300のような高級SUV、そしてランドローバーやトヨタ・ランドクルーザー250のような硬派オフローダーとでもいうべきクロカンSUVが目立っていたことである。

日本国内でもひんぱんに中国経済の悪化というものがニュースになるようになった。政府は2024年にオートローンの規制緩和を行うなど購買意欲を刺激しようとしているのだが、その深刻な景気悪化状況は、生活に余裕のないひとほど直撃しやすいのは中国に限った話ではない。現状では政治的な問題もあり、中国から日本への団体旅行は禁止され、日中を結ぶ航空便が減便になっている。
とはいえ、筆者が北京との往復で使った中国系航空会社の航空便は往復いずれもビジネス、エコノミーを問わず満席であった。とくにビジネスクラスのチェックインカウンターに並ぶ中国のひとは見ればすぐわかるような裕福なひとばかり。人口の1割が富裕層としても1億人以上いるわけだから、中国メーカーが可処分所得の多い富裕層向けにラインアップを強化しているのかとも考えてしまった。
あくまでレンジローバーをオマージュしているような、雰囲気も似ているモデルがあれば、大型高級SUVというコンセプトだけいただいたようなモデルなど、とにかくレンジローバーやランドクルーザー300のような大型高級SUVが会場のそこかしこに展示されていた。
国外にも目を向け始めた中国メーカー
本家ランドローバーはフルBEV化を目指しているようだが、オマージュしている中国系では必ずしもBEVというわけではなく、ガソリンエンジンを充電用に搭載するレンジエクステンダーEV仕様のモデルも目立っていた。
2025年春に上海を訪れると、「お金もち=Gクラス」と表現していいほど富裕層はメルセデス・ベンツGクラスに乗っており、街に溢れていた。Gクラスは、時には軍用車の民生版などともいわれるが、中国でもかつての北京ジープを生産していた北京汽車や、実際に人民解放軍に納めている東風汽車、そしていつかは人民解放軍に納めたいとも願っているとされる長城汽車あたりが熱心にハードオフロード系SUVを展示していた。

こちらはその趣向性からもICE(内燃機関)車がほとんどとなっており、長城汽車はタイなど東南アジアではディーゼルエンジン搭載車も販売しており、タイやインドネシアではメキメキとそのディーゼルエンジン搭載車が存在感を見せてきている。奇瑞汽車はBEVながらハードオフロードSUVみたいな外観を採用する、iCAR V23(一部地域で車名は異なる)を東南アジアで積極販売するなか、その兄貴格でレンジエクステンダーEVとなるV27を発売している。
いままではクルマをもつだけでそれがそステイタスであったり、富裕層では迷うことなく欧米や日本の高級車に乗ることがステイタスとされていたが、より中国の消費者に寄り添うことができる中国メーカー車も品質や性能向上がめざましく、欧米、日本車にひけをとらなくなってきたと消費者レベルでも感じるようになってきたことが、中国メーカーでも高級大型車のラインアップが目立ってきているものと考えている。

メーカー側としても、台当たり利益の高いクルマをコンスタントに売るほうが、現状乱売に歯止めがきかないともされる量販車を薄利多売するよりは効率がいいというものである。また、東南アジアでもハードオフロード系SUVの人気はジワジワ高まってきているし、ランドローバー(レンジローバー含む)が東南アジア市場に熱視線を送っているようだとの話も聞いている。
いままで述べてきたような動きは中国国内だけを見ているのではなく、東南アジア(アフリカや中近東あたりも見ている)など海外市場も意識しているように見えた。

