志田未来(撮影:池村隆司)

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 子役時代から第一線を走り続け、2026年も主演作が相次ぐ志田未来。1月期に放送された『未来のムスコ』(TBS系)では奮闘する母親役を好演したが、現在放送中の『エラー』(ABCテレビ・テレビ朝日系)では、一転して孤独と葛藤を抱える女性・大迫未央役に挑んでいる。キャリア30年近くを数えながらも、「一度も辞めたいと思ったことがない」と語る志田。共にW主演を務める事務所の後輩・畑芽育への信頼や、10年前から変化した仕事への向き合い方、そして30代を迎えた今の自然体な人生観について、『エラー』のクランクイン直前に話を聞いた。

参考:志田未来、『未来のムスコ』で再び挑む母親役への思い 目標達成のためには「信念を貫く」

ーー『エラー』は、前クールの『未来のムスコ』とはガラリと雰囲気の違った作品になりそうですね。

志田未来(以下、志田):『未来のムスコ』は母親として息子の成長を見守る温かい物語でしたが、今作の未央は母を亡くし、生きる希望を失いかけているような役どころです。今までの「ドラマ」という枠に収まらない、不思議な感触の作品になる気がしています。

ーー非常に先が読めない展開ですが、志田さん自身は結末をご存知なのですか?

志田:実は私も結末はまだ知らないんです。でもドラマって、撮影しながら台本ができていくことが多いので、そのライブ感を持って現場に入るのはいつものことかもしれません。今回は分かりやすい感情表現を提示するのではなく、どう受け取るかを視聴者の方に委ねているような、挑戦的な作品だと感じています。

ーー重厚なサスペンスでありつつ、畑芽育さん演じるユメとのやり取りには、少し独特な“笑い”も潜んでいるように感じました。

志田:“笑えないジョークが笑える”ような、不思議な空気感がありますよね。2人だけにしかわからない関係性から生まれる、ちょっとしたおかしさ。どれだけシリアスな状況にいても、人間って24時間ずっと深刻なわけではなくて、ふっと一息つく瞬間がある。そんな“等身大のリアル”が切り取られているなと思います。

ーーW主演の畑芽育さんについては、どのような印象をお持ちですか?

志田:本当に頼もしいです! オンとオフの切り替えがはっきりしていて、現場を引っ張ってくれる予感しかありません。今回は「芽育ちゃんについていこう」と思っています(笑)。

ーー志田さんのほうが年上かつ事務所の先輩でもありますが、そこは関係なく?

志田:私はあまり引っ張るタイプではないので……。いつも「みんなで横一列」という感覚なんです。主演であってもフラットでいたいと思っていて。現場がどれだけ大変なスケジュールでも、自分は穏やかでいようと意識しています。そのほうが、みんながいい作品を作ろうと思える空気になると信じているので。

ーー佐久間健司役の藤井流星さんとは約10年ぶりの共演だそうですね。

志田:以前ご一緒したときはほとんどお話しできなかったので、お互いに年齢を重ねて再会できるのが楽しみです。久しぶりに共演させていただくと、「あのときの自分と比べて、いい意味で変わらずにいられているかな?」と自分自身を問い直す機会にもなるんです。初心を忘れていないか、確認しながら臨みたいですね。

ーー10年前の自分と今の自分を比べて、明確に変わったと感じる部分はありますか?

志田:変わったと思います。昔は現場で思ったことを自分から主張できない時期もありましたが、今は「作品をもっと良くするために、こうしたい」という正直な思いを伝えられるようになりました。20代中盤あたりから、いろんな現場で素敵な先輩方の姿を拝見するうちに、徐々に自然と変化していった気がします。

ーー子役から長く活動されていると、一度くらいは挫折の経験だったり「辞めたい」と思う時期がありそうなものです。

志田:それが、本当に一度もないんです。もちろん「もっと寝たいな」といった小さな悩みはありますが(笑)、お仕事自体が嫌になったことは一度もありません。母からも幼い頃に「辞めたかったらいつでも辞めていいよ」と言われて育ちましたが、結局その選択肢を選ぶことはありませんでした。

ーーその原動力はどこにあるのでしょうか?

志田:単純に、お芝居が、そして演じることが大好きだからだと思います。一度ご一緒したスタッフさんから「もう一度一緒にやりましょう」と言っていただけることを目標に頑張ってきたので、今もこうして声をかけていただけるのは、本当に幸せなことだなと感じています。

ーープライベートでは30代を迎えられました。今後やってみたいことはありますか?

志田:旅行が好きなので、30代はヨーロッパのほうにも足を伸ばしてみたいです。今まではアメリカ圏に行くことが多かったのですが、行ったことのあるフランスやイタリア以外の国も開拓してみたいなと。

ーー俳優としてはいかがでしょう?

志田:これまで、ランドセルを背負う役から新入社員の役まで、世の中の皆さんに成長を見守っていただくようにお仕事をしてきました。これからは、30代前半ならではの悩みを抱えた役や、温かい家庭を持った役など、その時々の“等身大の姿”を演じていけたらと思っています。特別な目標を立てるよりは、これからも自然体でお芝居を楽しんでいきたいですね。

(取材・文=宮川翔)