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 日系エアラインのCAから六本木のクラブママを経て作家となった蒼井凜花が、実体験や取材をもとに綴る連載コラム。今回は、近年増えている“筋トレ男子”に対する女性の本音についてお届けする。
◆“自己管理できる男”に惹かれた女性の「恋の始まり」

 取材に応じてくれたのは、都内の歯科医院で歯科助手として働く広田直美さん(仮名・26歳)。交際相手のAさんは、外資系コンサルティング会社に勤めている。体脂肪率は5%、地方のマラソン大会にも遠征する本格派のトレーニーだ。

「知人の紹介で出会いました。第一印象は、とにかく“自己管理ができている人”。引き締まった体もそうですし、ストイックに努力している姿がかっこよくて……。もともと美容や体づくりには興味があったので、彼の意識の高さに惹かれました」

 そんな彼との初デートは、意外な場所から始まる。

「『新しくオープンしたジムがあるから一緒に行かない?』と誘われました。無料体験できるとのことで(笑)。意外な場所だったのでちょっとびっくりしましたね」

 食事やカフェではなく“ジム”。戸惑いながらも、彼の世界を知りたいという気持ちから直美さんは同行した。

「想像以上にハードでした。彼は慣れた様子で次々とマシンをこなしていくんですが、私はウォーキングをするだけで精一杯で……。でも、その真剣な横顔を見て、すごいなとも思っていました」

◆初デートはまさかのジム、その後に始まった価値観のズレ

 問題はトレーニング後に起きた。「このあとはカフェで一息つきたい」と思っていた広田さんだったが、Aさんから思いもよらないことを提案されたという。

「終わったあとはカフェでゆっくりするのかなと思いきや、彼に『トレーニング後の食事はタンパク質一択だから。脂質と糖質の吸収が一気に上がるからスイーツなんてありえない』って言われてしまって……」

 代わりに案内されたのは、高たんぱく・低脂質メニューを中心にした“トレーニー向け”の店。アルコールや甘いドリンクはなく、プロテインドリンクや鶏むね肉中心のプレートなど、徹底した身体づくり仕様の内容だった。

「気落ちしつつも『こういう世界もあるんだな』と新鮮でした。いえ、無理やりそう思おうとしていただけかもしれません。でも、それが毎回になると、息が詰まるようになってきまして……」

◆愛情か支配か…筋トレ彼氏のルールに追い詰められた日常

 交際が進むにつれ、彼の“ルール”は日常へと入り込んでくる。週末のお泊まりでは、食事はすべて高たんぱく・低脂質メニュー。炭水化物は一回につき玄米100グラムまで。朝は30分のジョギングに付き合うのが当たり前。スイーツを食べようとすれば、「プロテインバーにしなよ」と当然のように言われる。

「当時、私の体脂肪率は22%で、特に問題のない範囲でした。でも彼からは『20%を超えるなんて美意識ないよね』と本気で言われて、その時から“評価されている側”なんだと感じるようになってしまいまして……。一度、『たまには好きなものを食べる日にしようよ』って言ったことがあるんです。いわゆるチートデーですね。でも、彼は『チートデーを作ると、それが習慣になって甘えになるから意味がない』と、私の提案を即拒否。その瞬間、“楽しみ”という逃げ道が完全に閉ざされた気がしました」

 そして仕事先の仲間から言われることにも、変化が現れた。同僚に「最近ちょっと痩せすぎじゃない?」と、不健康に見えることを指摘されてしまったという。

「体型だけでなく『肌も乾燥してるし、ほうれい線が目立ってきた』って言われて……。自分では頑張っているつもりだったんですけど、明らかに無理をしていたんだと思います」