2026年欧州版 最も注目すべき中国車 10選 「模倣」だけの時代は過去のもの 真のライバルへと成長
「安いだけ」ではなくなった
かつて中国車は、4本の車輪と疑わしい衝突安全性能を備えた、単なる笑い話のネタに過ぎなかった。他社のデザインと部品をつなぎ合わせ、かろうじて形を保っている、いわばフランケンシュタインの怪物のようなクルマだった。
【画像】想像以上に走りがいい? 全体的によくできた電動クロスオーバー【ディーパルS07を詳しく見る】 全22枚
しかし、時代は変わった。今日、笑われているのはむしろ既存勢力の方だ。20年にわたる猛烈な経済成長と、容赦ない電動化への取り組みを経て、「模倣」だけの時代は過去のものとなった。

AUTOCAR UK編集部がデザイン、走り、実用性に優れた中国車を10台紹介する。
従来の考え方では、中国車を買うということは、すなわち価格だけでクルマを選ぶということだった。味や食感を気にせずに、スーパーマーケットでノーブランドのお菓子を買うようなものだ。しかし、世界各地に展開しつつある新型車たちは、そうした常識を覆そうとしている。
依然として価格競争力は高いが、「格安」というレッテルはもう当てはまらない。一部のモデルは今や、インテリアの質感や走行性能において欧州、日本、韓国勢を猛追している。安っぽくて粗悪な輸入車ではなく、真のライバルへと成長したのだ。
本特集では、現在英国で販売されている中国車の中から、AUTOCAR UK編集部が選りすぐりのモデルを10台ピックアップしてランキング形式で紹介する。
(翻訳者注:各モデルの名称や装備、価格などは英国仕様に準じます。英国市場から撤退、販売終了したモデルについては取り上げていません。)
1. 長安ディーパルS07
デザイン:8点 インテリア:8点 パフォーマンス:8点 乗り心地&ハンドリング:8点 コスト:8点
長所:オールラウンドに優れた能力 価格に見合った充実装備 乗り心地とハンドリングに洗練された質感がある
短所:航続距離とエネルギー消費効率は平均的 急速充電がやや遅い 他車よりトランクスペースが狭い
最大の特徴:オールラウンダー
中国最古の自動車メーカーである長安汽車が、テクノロジー重視のサブブランド『ディーパル』を掲げて英国市場に進出した。その第1弾モデルは、実に印象的だ。

1. 長安ディーパルS07
「同社が欧州で長年事業を展開していたことを考えると、英国に進出するのにこれほど時間がかかったのは不思議だが、歓迎すべき展開と言えるだろう」
――マット・ソーンダース(UK編集者)
ある意味では、本特集で紹介する他のモデルとは一線を画している。バッテリー技術は平均的なレベルだが、シャシーと走行性能は実に素晴らしいからだ。
ディーパルS07は、テスラ・モデルYやスコダ・エンヤクといった強豪と真っ向から競合する中型電動クロスオーバーだ。トリノでデザインされ、バーミンガムで開発されたこのモデルは、ワイドなスタイリングと洗練された走行性能の両方に、ヨーロピアンテイストが色濃く表れている。
英国仕様は、最高出力218psのモーターで後輪を駆動する。0-100km/h加速タイムは7.9秒と、一部のライバル車のような刺激的なパンチには欠けるものの、シャシーは驚くほど成熟し、落ち着いた乗り心地、優れた遮音性、そして低速域での機敏性をうまく融合させている。
室内空間は広々としており、造りもよく、控えめながらも高級感がある。15.6インチの「サンフラワー(ひまわり)」型インフォテインメント・スクリーンが中心に据えられ、物理的に回転させてドライバー側または助手席側に向けることができる。
また、ショートカットバーはお気に入りの機能をすぐに使えるよう高度にカスタマイズ可能で、タッチスクリーンにありがちな使い勝手の悪さを巧みにカバーしている。
トランク容量は445Lと、このクラスのEVとしてはやや小さく、実走行での航続距離も385km程度と平均的な水準に過ぎない。しかし、総合的なパッケージとしては、非常に魅力的で不満のない1台に仕上がっている。
2. シャオペンG6
デザイン:7点 インテリア:8点 パフォーマンス:8点 乗り心地&ハンドリング:7点 コスト:8点
長所:航続距離と急速充電 テスラ・モデルYと比較してコストパフォーマンスが高い 広々とした室内空間
短所:個性に欠ける外観 タッチスクリーンの操作ボタンが多すぎる 乗り心地が硬い
最大の特徴:洗練されたユーザーエクスペリエンス
G6は2024年に発表され、ほぼすべての面でテスラ・モデルYへの直接的な対抗馬として位置づけられた。そして驚くべきことに、シリコンバレーのベストセラー車に匹敵する実力を備えている。

2. シャオペンG6
「G6の室内は広々としており、多用途で快適、装備も充実し、効率的で急速充電が可能、そして何よりもコストパフォーマンスに優れている」
――マット・ソーンダース(UK編集者)
開発元のシャオペン(Xpeng、小鵬汽車)は、IT系起業家が率いるスタートアップと自称していることもあって、確かにインテリアは非常にハイテクな印象を受ける。最新のクアルコム製プロセッサを搭載した大型タッチスクリーンは、反応が速く操作も簡単だ。
内装材は価格の割に上質で、シートの調整範囲も広い。ただし、物理的な操作ボタンは少ない。
パワートレインは257psと285psの2種類があり、どちらも俊敏で静粛性が高く、滑らかな走りを見せる。実用上、28psの出力差を実感することはまずないため、AUTOCAR UK編集部は低出力モデルをおすすめする。
3. BYDドルフィン・サーフ
デザイン:7点 インテリア:7点 パフォーマンス:6点 乗り心地&ハンドリング:7点 コスト:9点
長所:充実した標準装備 価格相応の良好な航続距離 室内はワンクラス上の広さを感じる
短所:ブレーキペダルの感触が鈍い 乗車定員は4名のみ ドライバーを魅了する要素が少ない
最大の特徴:都市部での取り回しの良さ
中国で大ヒット中のこのモデルには、大きな期待が寄せられていたが、その期待に十分応えている。

3. BYDドルフィン・サーフ
「ドルフィン・サーフは街乗り用として優れており、ライバル車よりも成熟した印象を受ける」
――クリス・カルマー(UK編集者)
BYDドルフィン・サーフ(中国名:シーガル)は、ライバルのダチア・スプリングよりも洗練されており、「正統派のクルマ」という風格を感じさせる。
バッテリーは2種類ある。WLTP航続距離220kmの30kWh仕様と、320kmの43.2kWh仕様だ。どちらもこの価格帯ではコストパフォーマンスに優れている。
インテリアの質感の良さはダチアよりもはるかに上であり、BYDの上級モデルと同様に、縦向きと横向きを切り替え可能なタッチスクリーンが搭載されている。
ハンドリングも悪くない。低速時の乗り心地は、重いバッテリーを搭載した他の小型EV(ミニなど)よりも衝撃吸収に優れ、ステアリングは正確で、都市部での運転に役立つ適度なセルフセンタリング機能を備えている。
4. MG 4 EV
デザイン:8点 インテリア:7点 パフォーマンス:7点 乗り心地&ハンドリング:8点 コスト:8点
長所:コストパフォーマンスが抜群 ボディサイズの割に室内空間が広い 運転するのが本当に楽しい
短所:運転支援機能は改善の余地あり インテリアの素材品質は最高とは言えない インテリアの使い勝手に若干の不満あり
最大の特徴:ゼロ・エミッションのハッチバックとして優秀
MGにとって真に転換点となったモデルである。SAIC傘下のこのブランドを、長期保証や価格の安さを掲げる「安価だが退屈な移動手段」のメーカーから、注目すべきメーカーへと変貌させた。

4. MG 4 EV
「MG 4は、他を圧倒する価格帯で販売されている、バランスの取れた電動ハッチバックだ」
――イリヤ・バプラート(UK記者)
鍵となるのは運転感覚だ。走りはスムーズで、力強く安心感のあるブレーキに加え、後輪駆動ならではのアクセルを踏み込む楽しさがある。
インテリアも実用的でレイアウトが優れている。エアコンの操作部は他のEVよりも使いやすく、航続距離の面でもかなり優秀な部類に入る。
Xパワーと呼ばれるデュアルモーター四輪駆動の高性能バージョンも用意されている。トラクションとパワーが増しているにもかかわらず、標準モデルほど楽しいわけではないが、4万ポンド(約860万円)未満で435psを楽しめる選択肢は他にほとんどない。
5. MG HS
デザイン:8点 インテリア:6点 パフォーマンス:7点 乗り心地&ハンドリング:7点 コスト:8点
長所:魅力的なエントリー価格 PHEVモデルは120kmの電気走行距離を持つ 静かで扱いやすい走行特性
短所:純ガソリンモデルはパワー不足 煩わしい運転支援システム 競合車の方が走りは優れている
最大の特徴:PHEVのSUV
MG HSは英国の販売台数ランキング上位の常連であり、商業的に大きく成功しているが、英国での注目度はあまり高くないようだ。

5. MG HS
「PHEVモデルは、エンジンに頼ることなくかなり力強い加速を実現している」
――マット・ソーンダース(UK編集者)
2代目に数えられる現行型は2024年に登場した。エクステリアデザインの全面刷新、大幅に改良されたインテリア、そして一連の最新技術を導入し、商品力を大いに高めた。
最大の魅力は、まさにその商品力にある。PHEVモデルの場合、約25kWhの駆動用バッテリーを搭載し、公称で約120kmの電気走行距離を実現しながら、価格はわずか3万ポンド(約645万円)強にとどまる。
その走りにも成熟感と洗練さが感じられ、低速域での電気走行の滑らかさは称賛に値する。
6. BYDドルフィン
デザイン:6点 インテリア:6点 パフォーマンス:7点 乗り心地&ハンドリング:7点 コスト:8点
長所:大人が快適に座れる広々とした室内 この価格帯にしては印象的な航続距離 ソフトなサスペンションでしなやかな走り
短所:インフォテインメント・システムのレイアウトが不親切 ステアリングは鈍く運転の楽しさに乏しい 前輪のトラクションが失われやすい
最大の特徴:EVのBセグメント車として優秀
サイズ的には、BYDドルフィンはヴォグゾール・コルサ・エレクトリック(プジョーe-208の兄弟車)とフォルクスワーゲンID.3の中間に位置するが、両車よりも手頃な価格設定となっている。

6. BYDドルフィン
「いくつかの欠点に目をつぶれるなら、この価格帯ではコンパクトEVとして十分な魅力がある」
――サム・フィリップス(UK記者)
ベースグレードの『アクティブ』の出力は95psだが、小型バッテリーから公称値340kmの航続距離を絞り出せるはずだ。
『ブースト』グレードは出力が175psに向上し、『コンフォート』および『デザイン』は204psのモーターと60.4kWhのバッテリーを搭載し、最大425kmの航続距離を実現している。
つまり、ほぼすべての人のニーズに応えられるラインナップだ。
ドルフィンは、クロスオーバーのアット3と多くの部品を共有しており、予想通り両車の走行感覚はかなり似ている。つまり、快適ではあるが、胸が躍るような刺激は期待できないということだ。
7. MGサイバースター
デザイン:9点 インテリア:7点 パフォーマンス:8点 乗り心地&ハンドリング:6点 コスト:6点
長所:スーパーカーのようなルックス 称賛に値する航続距離 価格の割にパワフル
短所:高いドライビングポジション インフォテインメントとADASは煩わしい ボディコントロールが不安定で、車体が大きく揺れたり傾いたりすることがある
最大の特徴:スーパーカー体験
MGにとって極めて重要なモデルであるサイバースターは、英国で構想され、ブランドの創立100周年を記念して発売された。

7. MGサイバースター
「同クラスの優れたスポーツカーのようなダイナミックな輝きには欠けるものの、間違いなく人目を引く1台だ」
――マット・ソーンダース(UK編集者)
サイバースターは決して、現代版のMG Bと呼べるほどのものではない。だが十分に目を引く。単なるスポーツカーではなく、スーパーカーのようなデザインを採用しているのだ。
標準モデルの『トロフィー』には、最高出力340ps、最大トルク48kg-mを発生するリアモーターが搭載されている。さらに約5000ポンド(約110万円)上乗せすれば、『GT』モデルが選べる。こちらはフロントに2基目のモーターを追加し、四輪駆動で合計510psと74kg-mを発揮する。
AUTOCAR UK編集部はより安価な後輪駆動モデルをおすすめする。軽量で、運転感覚も俊敏だからだ。デュアルモーターのGTは直線加速では速いが、真のスポーツカーと呼ぶには少々重すぎる印象を受ける。
8. BYDアット3
デザイン:6点 インテリア:6点 パフォーマンス:7点 乗り心地&ハンドリング:6点 コスト:8点
長所:価格の割に装備が充実している 広々とした室内空間とユニークなデザイン 柔らかく快適な乗り心地
短所:エアコンの操作が煩わしい 走りの洗練さが欠ける 不安定なスマホ連携
最大の特徴:インテリアのギミック
アット3は、巨大企業BYDが英国で販売した最初のモデルだ。

8. BYDアット3
「エアコンをオフにしても、外気導入は維持できる点が気に入っている」
――イリヤ・バプラート(UK記者)
SNSでは当時、縦向きから横向きに回転するタッチスクリーンや、ドアに組み込まれたギターの弦(率直に言って、あまりうまく機能しない)に注目が集まっていた。
しかし、ギミックに目を奪われず、全体をよく見れば、広々としていてよく考え抜かれた電動クロスオーバーであることがわかる。
実走行で320kmは余裕で走り、4年または12万kmの保証と、8年または20万kmのバッテリー保証は心強い。
9. MG ZS
デザイン:5点 インテリア:6点 パフォーマンス:6点 乗り心地&ハンドリング:6点 コスト:7点
長所:価格の割に広々とした室内空間 優れた燃費 ハイブリッドクロスオーバーとしては十分な加速性能
短所:重たいステアリング 硬く落ち着きのない乗り心地 煩わしいインフォテインメント・システム
最大の特徴:コストパフォーマンス
MGのもう1つの主力SUVであり、こちらもコストパフォーマンスを徹底的に追求したモデルだ。

9. MG ZS
「ZSは、この価格帯のクルマとしては予想以上に広々としており、機能的で装備も充実している」
――マット・ソーンダース(UK編集者)
1.5Lガソリンエンジン搭載車なら2万ポンド(約430万円)未満で手に入るが、わずか1000ポンド(約21万円)ほど上乗せすれば、実走行で20km/l近い低燃費を達成するフルハイブリッド車が手に入る。
AUTOCAR UK編集部がおすすめするのは、そのフルハイブリッド車だ。102psの1.5L直列4気筒アトキンソンサイクルガソリンエンジン、3速オートマティック・トランスミッション、そして136psの電気モーターで構成されたパワートレインを搭載している。
ほとんどの時間、モーターが走行を担い、ガソリンエンジンはスターターモーターを駆動して電気を供給する役割を果たす。
その働きは素晴らしい。市街地走行はEVとほとんど変わらない。キレがあり、静かで、力強い。もちろん充電の手間もなく、ガソリン満タンで約720kmは走れる。
10. BYDシール
デザイン:7点 インテリア:6点 パフォーマンス:7点 乗り心地&ハンドリング:7点 コスト:6点
長所:高速走行時の乗り心地が素晴らしい コストパフォーマンスが良い 価格の割にパワーがある
短所:ユーザーインターフェースがひどい 急速充電の速度が不安定 ADASの性能が低い
最大の特徴:高級感
可愛らしい車名にもかかわらず、シールは非常によくできたクルマだ。

10. BYDシール
「低速時の乗り心地の硬さを除けば、乗り心地とハンドリングはしっかりしており、特に英国の道路には適している」
――イリヤ・バプラート(UK記者)
上位にランクインしたアット3やドルフィンは、より小型で安価なセグメントをターゲットにしているが、シールは後輪駆動、大容量バッテリー、空力性能に優れたセダンとして、BYDのブランドイメージを高めている。
デュアルモーター仕様は驚異的な530psを誇り、0-100km/h加速は3.8秒を記録する。一方、後輪駆動モデルでも312psという十分なパワーを備えている。
常に心地よい軽快さを感じさせ、高速道路では抜群のサポート性を誇るシートのおかげで、まるでクッションの上を走っているかのような乗り心地だ。ただし、低速時には少々硬く感じられることもある。
