「帯状疱疹」はどのような基準で診断される?検査・治療法も解説!【医師監修】

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって発症する病気で、皮膚に強い痛みや赤い発疹、水ぶくれが現れるのが特徴です。多くの方が子どもの頃に水ぼうそうにかかっており、そのウイルスが体内に潜伏しているため、年齢や体調によっては誰にでも再発する可能性があります。

本記事では、帯状疱疹の検査・診断基準・治療法などを整理してご紹介します。症状の進行や合併症を防ぐために、どのようなタイミングで医療機関に相談するべきかも詳しく解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「帯状疱疹は何科」を受診すべき?受診の目安となる症状も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
林 良典(医師)

【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター

帯状疱疹の検査内容と診断基準

病院では帯状疱疹が疑われる患者さんにどのような検査を行いますか?

帯状疱疹は、皮膚にあらわれる発疹の特徴や痛みの出方など、診察時の所見から判断されることがほとんどです。ただし、発疹の形がはっきりしない場合や、ほかの病気との区別が難しいときには、ウイルスの有無を調べる検査が行われることもあります。

主な検査方法には、ツァンク検査(Tzanckテスト)や抗原検出法、PCR検査などがあります。ツァンク検査は水ぶくれの細胞を顕微鏡で観察する方法で、古くから使われています。抗原検出法には、蛍光抗体法やイムノクロマト法があり、患部を綿棒でこすってウイルスの成分を調べます。なかでもイムノクロマト法は短時間で結果が出るうえ、保険が適用されるため、現在は一般の医療機関でも使われています。

ほかに、ウイルスの遺伝子を調べるPCR検査や、ウイルスを培養する分離培養法、皮膚の組織を詳しく調べる病理検査などもありますが、これらは保険適用外で、通常の診療ではあまり行われません。

このように、帯状疱疹の検査にはいくつかの方法がありますが、実際の診断は症状の出方や発疹の分布などをもとに、医師が総合的に判断します。

帯状疱疹の診断基準を教えてください

帯状疱疹は、典型的な症状がそろっていれば、追加検査を行わずに診断できることが多い病気です。特に、神経の走行に沿って片側に現れる帯状の発疹と、それに一致した部位の神経痛がある場合には、臨床所見のみで診断が可能です。また、多くの患者さんには、水ぼうそうの既往がある点も診断の参考になります。

ただし、発疹が現れる前に痛みだけが先に出る前駆期や、非典型的な症状を示す場合は診断が難しくなることがあります。免疫力が低下している方や高齢者では、発疹がはっきり出ないケースもあるため、医師は経過観察を行いながら、検査を組み合わせて総合的に診断を進めます。

帯状疱疹の治療法

帯状疱疹の痛みや発疹がでている間はどのように治療しますか?

治療の中心となるのは、抗ウイルス薬の内服です。帯状疱疹のウイルスの増える力をおさえるために、バラシクロビルやファムシクロビルなどの飲み薬が使われます。これにより、発疹や痛みがひどくなるのを防ぎ、治りを早めるとともに、後に痛みが長く残る帯状疱疹後神経痛の予防にもつながります。

また、皮膚の赤みやかゆみを抑えるために、かゆみ止めや炎症をしずめる塗り薬を一緒に使うこともあります。発疹の部分には水ぶくれやかさぶたができるため、そこに細菌が入らないよう、皮膚を清潔に保つことも大切です。強くこすったり、むやみに触れたりしないよう注意しましょう。

帯状疱疹の痛みに対する治療法を教えてください

帯状疱疹による痛みは、皮膚だけでなく神経が傷つくことによって起こることが多く、これを神経障害性疼痛といいます。こうした痛みは、一般的な鎮痛薬だけでは十分に効かない場合があります。

そのため、神経の痛みに効果のある薬が使われることがあります。主に使われるのは、プレガバリン、ガバペンチン、ミロガバリンといった薬で、これらは神経から脳への痛みの信号をやわらげる働きがあります。ズキズキするような持続的な痛みや、触れただけで強く感じるような神経の痛みに対して処方されます。

また、痛みがとても強く、薬だけではつらい場合には、神経の近くに麻酔薬などを注射して痛みを和らげる神経ブロックという治療が行われることもあります。さらに、痛みの専門的な治療を行う麻酔科のペインクリニックを紹介されるケースもあります。これらの治療は、痛みが長引いて慢性化するのを防ぐためにも有効とされています。

編集部まとめ

帯状疱疹は、免疫力の低下をきっかけにウイルスが再活性化して起こる病気です。初期症状に気付いたら、ためらわず医療機関への相談が重要です。適切なタイミングで治療を受けることで、痛みの軽減や合併症の予防につながります。治療後も痛みが残る場合は、専門的な治療を受けましょう。

参考文献

日本皮膚科学会|帯状疱疹診療ガイドライン 2025

日本皮膚科学会|ヘルペスと帯状疱疹

眞鍋 治彦, 久米 克介, 加藤 治子, 前原 大, 平田 顕士, 急性期の帯状疱疹の治療, 日本臨床麻酔学会誌, 2008, 28 巻, 1 号, p. 2-11