大本命・阪神の藤川球児監督を悩ませる「僅差のゲーム」のリリーフ問題 石井大智、及川雅貴の不在でかつての「JFKとSHE」の棲み分けが成立しない状況に
今シーズンも独走で球団史上初の連覇が予想されていた藤川球児監督率いる阪神だが、多くの評論家が最下位に予想したヤクルトと意外にも首位争いで並走している。「今後の不安は僅差のゲームの戦い」と言うのは阪神OBのひとり。
打線は主砲・佐藤輝明を中心に好調だが、投手陣は競る展開で登板した中継ぎ、抑えが打たれて落とす試合がある。
4月21日のDeNA戦では、打線が9点を奪いながら投手陣が16失点。先発の才木浩人がKOされた後に打線が奮起して追いつくも、中継ぎのモレッタ、湯浅京己、岩貞祐太が10失点と炎上。ゲームを壊してしまった。翌22日も先発の茨木秀俊が初回に4点を失ったが、大山悠輔の2打席連続本塁打で一時逆転した。ところが、中継ぎの石黒佑弥、ドリスが失点。6対7と乱打戦を制することができなった。前出の阪神OBが言う。
「昨年は50試合連続無失点のプロ野球新記録を達成するなど53試合に登板して防御率0.17、36Hを記録した石井大智が左アキレス腱断裂で今季絶望となり、12球団最多の66試合に登板して防御率0.87、46Hをマークした及川雅貴も4月3日にファームに落ちたまま上がってこないのが痛い。2人の不在で藤川監督の現役時代のJFK(ウイリアムス、久保田、藤川)のような布陣を築けない。
藤川監督は石井の代役を決めかねている。モレッタにしようか、湯浅にしようかと使っているが、連投すると打たれてしまう。ドリスは目途がつき、岩崎優が連投した時はドリスを抑えに回すなど、併用しながらいずれはストッパーにと考えているようだが、問題はその前に投げるセットアッパー。
湯浅、モレッタ、桐敷拓馬とタマはあるが、連投すると炎上する。昨年の石井のような安定したタフネスがなく、投げてみないとわからないから代役は務まらない。2年目の木下里都、工藤泰成、3年目の石黒佑弥といった若い選手から育てようとしているが、こちらも投げてみないとわからないのが現状です」
「投手陣が立ち直る必要がある」
阪神でヘッドコーチや編成部長を歴任した野球評論家の黒田正宏氏はこう言う。
「今季はここまで、昨年以上の打線の好調さがある。1番から5番までが強力と言われていたが、今年は近本(光司)、大山の調子が上がり、木浪(聖也)、坂本(誠志郎)と1番から8番までつながってそれぞれが役割を果たしている。
ただ、打撃陣だけでは勝てないので、今のうちに投手陣が立ち直る必要がある。先発の村上頌樹、才木、大竹(耕太郎)らは6回、7回までしっかり試合を作り、試行錯誤のなかで中継ぎ以降を構築する。岩崎は3連投させないように使っていけば機能するでしょう。
主力打者が打った時に投手が抑えないと、チームが勝てなくなり投打のリズムが悪くなる傾向がある。クリーンアップが点を取った時は、終盤をしっかり抑えて勝ちゲームにしないといけないということです」
リリーフ陣をどう構築するかが連覇へのカギとなるわけだ。前出・阪神OBが続ける。
「前任の岡田彰布監督は勝っている時と負けている時で7、8、9回のパターンを決めていた。当時の阪神は点が取れなかったが、リードしている場面ではJFKで、同点やビハインドの場面ではSHE(桟原将司、橋本健太郎、江草仁貴)を投げさせた。SHEの登板時も逆転すると逃げ切る力は持っていた。リードの試合ではJFKで逃げ切り、ビハインドではSHEでリードを広げさせずに味方の援護を待つわけです。
今は最後は岩崎と決めているが、その前をリードしていてもビハインドでも湯浅、モレッタ、桐敷らを日替わりで使っている。石井と及川の不在が影響しているが、藤川監督が中継ぎの誰を信用しているかが見えてこない問題があります」
※週刊ポスト2026年5月8・15日号
