岡山出身の児童文学作家・天川栄人さん 出産を機にUターンして執筆活動中 青少年読書感想文全国コンクールの課題図書「わたしは食べるのが下手」執筆
岡山の出身で、地元で執筆活動をしている女性小説家の天川栄人(てんかわ えいと)さんをご存知でしょうか。「わたしは食べるのが下手」は、去年の青少年読書感想文全国コンクールで、中学校の部の課題図書にも選ばれています。大学進学以降、一度、岡山を離れましたが、第1子の出産を機にUターン。ふるさとへの思いや今後の活動について聞きました。
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「わたしは食べるのが下手」は課題図書にも
(小説家 天川栄人さん)
「書店員さんとか図書館の司書さんとかがすごくよくしてくださって、地元で書いている人を応援しようっていう力をすごく感じられて、物書きとしては本当に帰ってきてよかったなと思って、とてもやりやすい。仕事を楽しくこの1年はやれています」
岡山出身で、在住の小説家・天川栄人さん34歳です。これまでにライトノベルや児童文学の作品を多く手がけていて、天文学を扱った「セントエルモの光」と「アンドロメダの涙」で、おととし日本児童文芸家協会賞を受賞。また、食べることに悩みを抱える2人の中学生の葛藤と成長を描いた「わたしは食べるのが下手」は、去年の青少年読書感想文全国コンクールで、中学校の部の課題図書にもなっています。
(記者)
「岡山だからこそ書ける、今後書けそうな作品というのはありそうですか」
(小説家 天川栄人さん)
「いま、まさに書いているんですけど、多分この秋か冬くらいに発刊する予定で、岡山を舞台にしたものを、また書いているんですけど、以前に書いた『おにのまつり』っていう作品もそうですけど、私は方言で書くことが、すごく魅力的に感じていて、『何々でしょ』って書くよりも『何々じゃが』って書く方が、すごくその子が見える。その人にすごく近づける。読む人としても標準語にはない魅力があるんじゃないかなと思っていて、岡山弁で書くのは楽しいです」
高校の部活が私の物書きの原点
そもそも、なぜ、「小説を書こう」と思ったのでしょうか。
(小説家 天川栄人さん)
「岡山操山高校に通っていた時に、部活動で物を書いたということがきっかけです。放課後にみんなで集まって、物を書いて、それを高校生向けのコンクールに出したりとか、みんなの物を集めて部誌を編むみたいなことを、それに青春を捧げていたので、部活が私の物書きのスタート、原点です」
(記者)
「その頃から、将来は作家にっていう思いはあったんですか」
(小説家 天川栄人さん)
「まあ、ぼんやりとは『作家になりたい』、なりたいというか『なるんだろうな~』と思っていたんですけど、完全に図に乗っていたので。でも私は高校の時は“理系”だったので、星の研究をする人になりたかったので、両方あったというか、自分の中では物も書きたいし、物語とかも好きだけど、理系の星の研究もやりたいなと思ってぼんやりしていました」
進学した京都大学では、天文サークルで活動しながら創作にも打ち込み、在学中の2016年に作家としてデビュー。ただ、すぐ売れっ子にというわけではなく、卒業してからは大阪の会社で働きながら執筆を続けたといいます。その後、結婚し、作家としての仕事が軌道に乗り出したころ、第1子を妊娠。仕事と育児の両立を目指していたことから、保育園の確保などがスムーズに進む故郷・岡山へのUターンを決め、おととし(2024年)の年末に戻ってきたのです。
(小説家 天川栄人さん)
「便利さでいうと東京とか大阪の方が便利なのかもしれないですけど、子どもと一緒にゆったり暮らしながら家で静かに物を書いてっていう環境は、いまのところ、とても満足しています」
岡山はネタの宝庫 文学が好きな人をもっと育てたい
折しも岡山市が「文学のまち」としてのまちづくりを進めている真っただ中でした。そのプロジェクトの一員として参加できていることも大きいといいます。
(小説家 天川栄人さん)
「まちとして本が好きな人を育てていこう、みんなで盛り上げていこうっていう熱意を感じられるので、とてもいい環境だなと思っています」
先月21日、岡山市北区で開かれたイベントに天川さんの姿がありました。岡山市などが、市民により本を身近に感じてもらおうと実施している「おかやま文学フェスティバル」の一環で、トークショーに参加。創作の舞台裏などともに今後の取り組みへの思いも伝えました。
(小説家 天川栄人さん)
「毎年やっているのが『高校生文芸道場おかやま』っていう高校生の文芸部向けのワークショップは引き続きやっていくのと、今年は小学校高学年から参加できるようなものも、岡山市の司書さんと一緒に企画をしています。それと高校生向けに、できたらいろんな学校の子が交流できるような場を作りたいかなと思って、いま頑張って企画しているところです」
(訪れた人)
「こういう地方で、こうやって活動される方がいて、岡山を盛り上げるという、そういう文芸活動があるっていうのはすごく貴重ですし、尊いことだなと思っています」
「いろんな本を読んでみたいので、いろんなジャンルの本を書いてくれたらうれしいです」
「より岡山を盛り上げてくれるような小説とかを書いてくれたらいいなと」
(小説家 天川栄人さん)
「より本を身近に感じてほしいというか、あとは作家を身近に感じてほしいみたいな。なんか明治の文豪みたいに引きこもって紫煙をくゆらせながら一人孤独に書いているみたいなイメージがどうしても持たれるんですけど、作家もこういうひとりの人間で、ふつうにその辺に暮らしている人なので、より身近に思ってもらえると、本もより身近に感じてもらえると思いますので」
今月(4月)20日には、新たに「空と花のパレード」が発売されました。作家としての土壌を作ってくれた岡山に恩返しができればと、今後も筆を走らせます。
(小説家 天川栄人さん)
「岡山弁が出てくるとか岡山の実際にある場所だったりとか、岡山に伝わる伝承だったりとか、たくさん書けること、ネタの宝庫だと思っているので、いろんな切り口で岡山の作品を書いていけたらいいなと思っています。楽しんでくれれば、それが一番ですし、私の本に出てくるいろんなキャラクターを読んでもらって、世の中にはいろんな人がいるんだなってこと、それだけ伝わったら十分です」
もっともっと本のことを好きになってもらいたい。ふるさとでつむぐ物語はこれからも続きます。
